【ADCC99】88キロ級。一本勝ちの山、台風の目クレイグ・ジョーンズは決勝でマテウス・ジニスに下る
【写真】サブミッション・ファイティングの名に相応しい戦いをやってのけたクレイグ・ジョーンズは準優勝に (C)SATOSHI NARITA
9月28日(土・現地時間)と29日(日・同)の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。
2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー18回目は88キロ以下級の戦いをお伝えしたい。
Text by Isamu Horiuchi
前回大会でレアンドロ・ロ、ムリーロ・サンタナから連続一本勝ち、一躍注目の的となった豪州のクレイグ・ジョーンズは1回戦、英国のベン・ダイソンの足を狙い続けて4分過ぎにヒールを極めた。
続く準々決勝でジョーンズは、米国代表強力なレスリングベースを持ち、さらに10th planet仕込みのハーフガードを駆使するメイソン・ファウラーと対戦。
加点時間帯にファウラーのハーフガードからのシングルレッグで倒され、あわや失点かという場面があるなど苦戦を強いられたジョーンズだが、終盤にファウラーが仕掛けてきたシングルレッグにギロチンを合わせて、残り35秒で極めて一本勝ちを収めた。
そして迎えた準決勝、ジョーンズはムリーロ・サンタナを倒して勝ち上がってきた米国のジョン・ブランクと対戦。アームインギロチンで上になったジョーンズは、果敢にも下から足関節を狙ってきたブランクの動きに対応してスピンしてバックを奪取。
そのまま4の字フックを入れてからチョークを極めて2分足らずで勝利。3試合連続の一本勝ちで初の決勝進出を決めたのだった。
もう一方のブロックは、準々決勝で優勝候補ガブリエル・アウジェスとのテイクダウンバトルを僅差のレフェリー判定で制したマテウス・ジニス(ブラジル)が、準決勝でベテランのジョシュ・ヒンガー(米国)とのマッチアップに。
上から攻めるジニスは終盤ハーフで胸を合わせることに成功すると、残り5秒で足を抜いてパスに成功。2-0でやはり初の決勝進出を決めた。
<88キロ以下級決勝/20分1R+ExR10分>
マテウス・ジニス(ブラジル)
Def. by 本戦 0-0 延長 2-0
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
試合開始後、ジョーンズはジニスの頭を掴んで足を飛ばす。ジニスが右足を掴むと、ジョーンズはあまり抵抗せずに下に。そこからはジョーンズがクローズドガードやニーシールドのポジションから仕掛けるが、ジニスが安定したベースでそれを防ぎ、逆に低いプレッシャーパスを試みる展開が続く。ジョーンズが下から足を絡める場面もあったが、警戒しているジニスはすぐに引き抜き、またジョーンズのガードの中に入った。
10分の加点時間帯が過ぎてもジニス上、ジョーンズ下の攻防が続行。終盤ジョーンズが立ってスタンドの攻防となるが、お互いテイクダウンを許さず20分の本戦が終了した。
お互いスタンドで開始した延長戦。ジニスは右足を取ってのテイクダウンを試みるが、ジョーンズも上からのギロチンで圧力をかけて逃れる。残り6分のところで、ジョーンズが逆にダブルレッグに入る。が、それを受け止めたジニスは右ワキを差してひねり倒す。ここでやや疲れの表情が見えるジョーンズはスクランブルを狙うことなく下になり、ジニスが2点を先取した。
その後は本戦と同様にジョーンズが下から仕掛け、ジニスが強力なベースで守る展開に。やがてジニスに消極性のマイナスポイントが与えられた。もう一つマイナスを受けると、先ほどのテイクダウンで奪った2点が相殺されて再延長にもつれこむことになる。
残り4分、下からは状況を打開できないと見たジョーンズは立ち上がる。スタンドで押してゆくジョーンズだが、腰の強いジニスのバランスは崩せない。残り1分半のところで、逆にジニスがジョーンズの右足を掴んでのテイクダウン狙いへ。それを片足でこらえたジョーンズはカニバサミにゆくが、ジニスも反応良くスプロウル。そのままジョーンズは下となり、引き込みのマイナスポイントを取られてしまった。
残り1分。ジョーンズはハーフからの仕掛け狙ってゆくが、ジニスは腰を引いて防御に徹する。この攻防のなか、ジニスに2つ目のマイナスポイントが宣告されるが、さきほどジョーンズが引き込みでマイナスを取られているためまだジニスがリードしている。最後にジョーンズは下から腕十字を仕掛けるが、ジニスはその腕を引き抜いてガードの中に入って低く固まった状態で試合終了。
終始重厚な──言い方を変えれば動きの少ない──試合展開のなか、強固なベースと低いプレッシャーでジョーンズの仕掛けを遮断したジニスが、初優勝を遂げた。
なお3位決定戦は、ジョシュ・ヒンガーがダン・ブラックと対戦。序盤に下から必殺のギロチンを仕掛けてマウントを奪ったヒンガーが、加点時間帯に入ってからも低く胸を合わせ続けて上をキープ。一度戻された片足をもう一度超えて再マウントしてポイントを獲得し、3-0で勝利した。
■88キロ以下級 リザルト
優勝 マテウス・ジニス(ブラジル)
準優勝 クレイグ・ジョーンズ(豪州)
3位 ジョシュ・ヒンガー(米国)