【ADCC2019】66キロ級準々決勝─03─16歳の青帯ルオトロが、またしても同門の先人=マントバーニ越え
【写真】16歳のルオトロがベスト4入りを果たす快挙中の快挙 (C)SATOSHI NARITA
9月28日（土・現地時間）と29日（日・同）の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。
2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー第7回は、全部が芯、そして金太郎飴のごとく注目カード品存在しない66キロ級準々決勝から──ATOSの世代抗争第2弾、タイ・ルオトロ✖パブロ・マントバーニの一戦をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi
＜66キロ以下級準々決勝／10分1R& ExR5分＞
タイ・ルオトロ（米国）
Def. by レフェリー判定
パブロ・マントバーニ（ブラジル）
初戦でアトスの大先輩にしてモダン柔術のパイオニア、フラザトを倒す大殊勲を挙げた16歳の青帯ルオトロの準々決勝の相手は、はまたしても同門の先輩、パブロ・マントバーニとなった。前回大会でタンキーニョを倒して4位入賞を果たしている現役の世界トップクラスの黒帯だ。
引き込んだマントバーニは、3分過ぎに果敢にニースライスを試みるルオトロの勢いを利用して回転して崩し、そのままバックテイクに成功する。両足フックを入れるが加点時間前なのでポイントは付かず。その後チョークを狙うマントバーニだが、5分過ぎ、ルオトロは釣り上げられた魚の如く暴れて体をずらしてヒザを入れ、脱出に成功した。
その後両者スタンドに戻ると、ルオトロがシングルレッグからマントバーニのバックに。マントバーニは亀の体勢を取って守り、時間が経過してそのポジションを確立してから前転して下にある。これだとテイクダウン成立とは解釈されないためにポイントは付かず。上になったルオトロは積極的に左右に動き、ニースライスを仕掛けて攻めてゆく。無尽蔵のスタミナで攻撃してくる16歳に対し、疲れ気味のマントバーニがなんとか対応するうちに本戦が終了した。
スタンドで再開された延長戦。ルオトロが本戦同様にシングルレッグに行くと、マントバーニは背中を見せる形で亀となる。背後を取ったルオトロは、フックを入れずにチョークの体勢に。それをマントバーニが凌ぐと再び背後から襲いかかるルオトロ。マントバーニはなんとか回転してオープンガードを取ることに成功した。
その後もルオトロはノンストップでパスを仕掛け、一時はハーフで胸を合わせてヒザを抜きかける場面まで作って試合終了。レフェリーは、後半圧倒的に攻め続けたルオトロの勝利を告げた。
世界屈指の黒帯にバックを取られながらも問答無用で暴れて脱出した16歳は、その後も粗い攻撃を捌かれ続けながらも、試合が進むにつれて勢いを増していき、最終的には完全に相手を飲み込んでの勝利──10代のこの時期にのみ、才能あるグラップラーに神が与える力を存分に発揮したルオトロが、またしても同門の大先輩を撃破し、世界にその名を轟かせた。
