【UFC106】宇野、“らしさ”見せ首の皮一枚残るドロー
■第2試合 ライト級/5分3R
宇野 薫(日本)
Draw.3R終了/判定1-0[29-27、28-28、28-28]
ファブリシオ・カモエス・モランゴ(ブラジル)
【写真】カモエスとのUFC復帰第2戦目は優勢ドローとなった宇野。ドローは2003年2月にBJ・ペンと行った王座戦において、5Rを戦い抜いて以来だ (C) ZUFFA
右ローを放った宇野に、モランゴが右ハイキックを返すと、観客席からどよめきが起こる。宇野の左ジャブに、シングルレッグを合わせたモランゴはここでテイクダウンに成功するが、宇野は首を与えながらもすぐに立ち上がる。
再び距離を取った両者、モランゴが首相撲からヒザを見舞い、宇野のパンチにダブルレッグから二度目のテイクダウン。パスを許さない宇野、立ち上がったモランゴのパウンドに合わせ宇野もすかさず立ち上がる。
スタンドでバランスを崩し、バックを許した宇野。モランゴはグラウンドへもつれ込み、すぐに両足をフックする。まずは左腕をのどに差し込み、チョークを仕掛けたモランゴだったが、宇野は右手を掴み、宇野逃げを披露して立ち上がる。
やや動きが遅くなったモランゴに、宇野はローで距離を詰めると、そのままケージ際でトップを制す。モランゴの両足をまたぎ、立たせない宇野。細かいパンチから、モランゴが足を戻してきたところに鋭いパウンド、鉄槌をタイミングよく落としていく。距離を詰めて、モランゴの足がきかないようにした宇野はパウンドを入れながら、1ラウンド終了を迎える。
2R、モランゴは両肩に汗を浮かべ、口も開き気味になっている。宇野のローにフックの連打で突進するモランゴは、首相撲からバックに回り大きくバックスローで投げ捨てる。が、ここでも宇野はらしさを発揮し、ロールからトップを奪取。クローズドガードのモランゴ、宇野は取られていた手首を解くと、モランゴがグラウンド状態でガードから顔を蹴りあげ、この攻撃で、モランゴは1ポイント減となる。この時点で、宇野は少なくともイーブンに戻し、ここからが勝負だ。
直後の腕十字をかわした宇野は右エルボーを落とす。かついで、バックへ回った宇野、もつれた状態で立ち上がるが、ここで左フック、さらに荒いパンチを浴びて、バックを許した。右へ回り、トップを奪い返した宇野は左エルボーを落とすが、勢いはあまりない。ガードから首をかけるモランゴは、かなり力に頼ったファイトになってきた。そのモランゴをケージにつめ、左エルボー、ハーフからヒジをこすりつける宇野。左エルボーを連打するが、場内は立ち上がることを望む野次が飛ぶ。立ち上がったモランゴが、強引なフックを振り回したところで2Rが終了した。
モランゴの減点があって、なお1Pビハインドがあることが予想される宇野。前に出たいところだが、モランゴの荒いパンチに前進を拒まれる。モランゴのシングルを切り、組みついてケージに詰めた宇野だが、すぐに距離を取られてしまう。足を使って戦うモランゴに、宇野はバランスを崩し尻持ちをついて立ち上がろうとしたところでパンチを受けそうになる。
構わず立ち上がった宇野は、ケージにモランゴを詰め、シングルレッグでテイクダウンを奪うことに成功する。左へ足を一本踏み出し、ハーフの状態を取った宇野だが、モランゴはすぐに足を戻す。立ちあがって右パウンドを落とした宇野は、首を固めにいくが、モランゴは宇野の右つま先を持って抵抗する。宇野はここで足を抜いてパス、サイドから背中を見せたモランゴのバックをとった。
残り時間は20秒、腕十字を狙う宇野に対し、モランゴはロールで逃れるが、宇野は逃がさず、パウンドを落とし、バックを奪取。ここで最終ラウンドが終了、宇野は運命の判定を待つ。モランゴの1ポイントのマイナスがあることから、28-28というスコアが予想されるが、果たして――。
ジャッジの裁定は一人が29-27で宇野、残りの二人が28-28、28-28となり、1-0の優勢ドローに。ただし、モランゴの反則がなければ28-29、28-29、29-28で判定負けだったことを考えれば、宇野得意の台詞でいうところの首の皮一枚を残した相手の反則含みのドロー。運良くという表現もできるが、その運を引き込んだのは、彼のこれまでの地道な努力と、生まれついた星にというしかないだろう。