【写真】今夜のONE JAPANもイベントで北方の✖修斗王者との対戦発表はあるのか???(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ7月の一番、第3弾は21日に行われたPancrase307から北方大地×砂辺光久の一戦を語らおう。

──7月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「北方大地✖砂辺光久ですね」

──つまりは北方選手が7月の青木アワードに。

「ハイ、まだ28歳なんですね。あの試合は……砂辺選手に消耗を感じましたね。砂辺選手は試合を纏めることができるという部分で、強い選手だと思っていたので意外な結果でした。前回も北方には逆転でしっかりと勝っているし。

実は前の試合に負けてから、今回挑戦権を得るまでの北方に特別な勝利はなかった。その北方が砂辺選手という10歳ぐらい上の世代にしっかりと勝つことに意義を感じた1戦でした。チャンピオンとして、皆、そこからいなくなるのが今の日本のMMA団体なんですけど、砂辺選手はずっと挑戦を受け続けるチャンピオンだった。そんな選手に若い選手が勝ったというのは、試合内容もそうだけど日本のMMAとして良かった試合です。

砂辺選手に北方がちゃんと勝ったということは日本のMMA界において、パンクラスという一つの団体のなかで物語を創ることができている。これは大きなことを成し遂げたことだと思います」

──その後、砂辺選手はパンクラス殿堂入りという名誉を得ることになりました。

「あれは逆に価値を無くすんじゃないですか。僕の周囲にも、それは北岡だろうっていう声が多いです。ここはちょっと話が逸れますが、砂辺選手はパンクラスという団体への愛、北岡はパンクラスという流派を守っている。愛の種類が違う。北岡があれだけ体を真っ黒にして、筋肉の隆起を見せて試合に出るって──正直、無駄じゃないですか（笑）」

──でも、そこが北岡選手のパンクラスだと?

「アレは信仰だから。プロレスで会った船木誠勝さんが『アイツはパンクラスを信じていた。アイツがパンクラス』って言っていたんですよ。でも、それをいうなら殿堂入りは船木さんであり、高橋義生さんであり、近藤有己さん然り。殿堂ってそういうことでしょうし。そこの順序を僕は大切にしてほしい」

──思うに酒井代表にとってのパンクラス殿堂なのかと思います。

「ですよね。酒井さんにとってパンクラスはイベントやコンテンツであって流派ではない。流派としてのパンクラスを大切にしていた選手は離れていった。砂辺選手はそのパンクラスの大会を盛り上げてきた功労者。砂辺選手の殿堂入りを価値あるモノにするために、船木さん、ケン・シャムロックというパンクラスを名の成すモノにした先人はどうっているのかという部分で、あの殿堂に関しては説明不足の感はありましたよね」

──なるほどぉ!!

「まぁ、それは置いておいて、あの大会は3試合のタイトルマッチがあって、ハファエル・シウバが金太郎に後頭部にガンガンにヒジを落とされて肩固めで勝ち、翔兵が上田将竜に勝った。上田が面白かったんですけどね」

──それはどういうことですか。

「九州ですよ。そして、蹴りが使えるスタイル。上田が勝ったら面白いということでも注目していました」

──勝った翔兵選手については?

「ストレングスが異常です。あの選手は素質です。尋常でない素質で、あの飛び込みでパンチを当てることができる。あれは元からの力があるから、練習をすることでなんとかなる攻撃です。その翔兵に勝っているから春日井たけしは、バンタム級でも日本のトップですよ。フライ級だったら扇久保（博正）に並ぶ。VJTのフライ級トーナメントで、扇久保と競っていますしね。DEEPの前座でやっているヤツがって思っていたら、あの試合も最後は取っているし。

春日井はフライ級が続けることができれば最強だと思うけど、もうUFCとかがないと体重を落とせないんでしょうね。でも春日井がフライ級だったら、全員やられていると思いますよ。

浮き沈みがありますけどね（笑）。春日井ならハファエル・シウバに勝つでしょうね」

──もはやイベント総論と化していますので、ボカン・マスンヤネについてはどのように思いましたか。

「あれは怖い（笑）。あれでストロー級に落ちるんですよね? 　なんかONEが狙っているという話も聞きますけど、あのスープレックスは反則だから（笑）。修斗の倉本一真さん、アレと同じ。ONEなら反則。パンクラスで戦うことがあるなら、北方とかにも怖い相手になりますね」

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