【DEEP88】元谷、最終回の猛攻も及ばず。ビクター・ヘンリーが新DEEPバンタム級チャンピオンに
【写真】テクニカルな打撃戦、根性の殴り合い、ゴチャゴチャした寝技。素晴らしいMMAが繰り広げられた (C)MMAPLANET
9日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP 88 IMAPACT。ここではDEEPフェザー級選手権試合の模様をレポートしたい。
<DEEPバンタム級選手権試合/5分3R>
ビクター・ヘンリー(米国)
Def.3―2:29-28.29-28. 28-28(マスト=ヘンリー). 28-28(マスト=元谷). 28-28(マスト=元谷)
元谷友貴(日本)
元谷が鋭い右ローを走らせる。ヘンリーはワンツーから前蹴り、そして右ローを蹴り返す。蹴りの後に体を一回転させた元谷を追いかけて、右ミドルを決めたヘンリーはその後も蹴りからパンチでやや優位に試合を進める。
蹴りとパンチで攻撃を散らし、腹に攻撃を加えるヘンリーが元谷の蹴りをキャッチ。ジャンピングガードから着地した元谷だが、左ボディから左右のボディ、そして左ジャブに続き右ボディストレートと徹底して腹を狙われる。ロー&左ジャブを入れた元谷に対し、ヘンリーは右ボディストレートを再び見舞い、右に回って右ストレートを当てる。
元谷の左フックに組みついたヘンリーがボディロックでケージに押し込み、離れた元谷に左ミドルを蹴りこむ。ワンツーを受けて下がった元谷はボディロックテイクダウンを許し、初回はヘンリーのラウンドとなった。
2R、元谷の左にヒザを合わせ、さらに左を被弾しながらも組んだヘンリー。元谷が押し込み返し、小外から腰に担ごうとして離れる。直後に左を見せた元谷がテイクダウンを狙う。ヘンリーが右に回り込んで外すと、目標を失いマットに手をついた元谷のアゴを右のサッカーボールキックで蹴り抜く。後方に腰から崩れた元谷の足関節狙いに対し、体をねじって防いたヘンリーが、顔面に鉄槌&パンチを連打する。
何とかニーシールド&右手をオーバーフックで固めた元谷は、下になって回復に努める。ヘンリーは足を一本抜き、鉄槌&エルボーで元谷を削り、立ち上がってサッカーボールキックを狙う。ここは体を横回転させ防いだ元谷は、足を効かせて追撃のパウンドを許さない。
ヘンリーがガードの中に入り、細かいパンチでさらに削ろうとするが、元谷は立ち上がることに成功する。続くダブルレッグを切った元谷はボディロックテイクダウンへ。その瞬間にヘンリーは体を沈めて元谷の股間の下に頭を入れると、そのままリフトしつつ後方に倒れこんでスラム。
さらにハーフで固めるが、元谷がシングルを仕掛けながら立ち上がる。離れた元谷は左ジャブから前に出て、左右のフックをヒット、さらに首相撲でヒザを突き上げるが、ヘンリーが粘って首投げを決める。
下になった元谷は、ヘンリーの顔に足をかけていく。嫌がって離れたヘンリーに、元谷はシングルレッグを仕掛ける。ヘンリーはパワーギロチンで反応すると、元谷は自ら背中をマットにつけて防御しハーフガードへ。ヘンリーは立ち上がって、ここでサッカーボールキックを狙う。
蹴られることなくスタンドに戻った元谷が右エルボーからヒザ蹴り、さらにエルボーを2発入れる。離れたヘンリーに左右のフックを元谷がヒットさせ、2Rが終わった。
ダウンこそ喫したが、終盤の反撃でポイント的には元谷は9-10で踏みとどまったか。最終回、開始直後から激しくパンチを交錯させる両者。元谷は組まれてボディロックテイクダウンを奪われそうになるが、上手く左足をヘンリーの右太腿の上に乗せ、一本足で立ちながら体を捻るようにして上を取りに行く。
ヘンリーはスクランブルを避け、下を選択してバタフライガードの態勢へ。
元谷はクローズ―ドを取ったヘンリーに左右のエルボーを打ちつけ、さらに勢いをつけたヒジを落とす。ヘンリーのガードがオープンになると、足を一本抜いた元谷が肩固めを狙う。ヘンリーは背中を見せ、乗ってきた元谷を巻き込んで体を横回転させる。
上を取ったヘンリーの袈裟固めにも、ブリッジからワキを潜った元谷が後方へ。ここもヘンリーはウィザードで粘ることができず、前転から足関節を仕掛ける。スクランブルを逃げての関節技は迫力もなく、元谷は足を抜いて立ち上がる。
殴りながらガードの中に入った元谷は、三角狙いに頭を抜き、オモプラッタには担ぎパスのカウンターで攻める。パスからすぐにマウントに移行した元谷は、ヘンリーのブリッジを潰してバックをキープ。ヘンリーはここでハーフに戻したが、上を向くと足を抜かれてマウントを許す。
背中を見せスクランブルに持ち込みたいヘンリーだが、元谷の勢いのあるパンチを被弾する。さらに元谷はマウントから強いパンチを連打し、背中を見せたヘンリーの顔面を殴り続ける。亀になったヘンリーに対し、元谷はRNCを仕掛ける。
残り10秒、ヘンリーの前転を潰し、マウントから思い切りパウンドを連打した元谷は試合終了の合図とともにうなり声をあげた。
初回はヘンリー、2Rもヘンリー。最終回は元谷のビッグラウンドとなり、28‐28──マストで元谷か……。
結果、ジャッジ1人目は28‐28のマストで元谷、2人目は29‐28でヘンリー、3人目は28‐28のマストで元谷、4人目が28-28のマストでヘンリー。ここまで2‐2、最後のジャッジは29‐28でヘンリーを支持し、新バンタム級王者が誕生した。
「この機会を与えてくれ、3Rに俺をギタギタにし地獄のような気分を味合わせてくれたモトヤに感謝したい。それとミスター・イシワタリ、ミスター・ウエダに感謝の言葉を伝えたい。2人と戦い、僕は今ここにいることができる。そしてUFCやRIZINで戦う時が来ただろう。TVで凄い試合をしたい」とヘンリーはマイクで語った。