【HEAT44】殴り、倒され、倒して殴る激闘の末、トム・サントスがオク・レユンからライト級王座奪取
【写真】坂本靖氏がケージサイドで見守っていた──この戦いがパンクラスへ波及するか(C)MMAPLANET
2日(土)、HEAT44が名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催された。ここではHEATの面目躍如、韓国✖ブラジル対決となったライト級選手権試合をレポートする。
<HEAT総合ライト級選手権試合/5分5R>
トム・サントス(ブラジル)
Def.3-0:49-45.49-46.49-46
オク・レユン(韓国)
王者オク・レユンの右ローを受けて、軸が乱れたサントスは自らもローを返す。ローをチェックするようになったサントスが豪快な右オーバーハンドを振るっていく。サントスのジャブや右ストレートに対し、オク・レユンが前蹴りで距離を取ろうとする。
右ストレートの打ち合い、左フックの空振りで姿勢を乱したチャンピオンがケージ際に下がる。すぐに距離を詰めたサントスは、左フックに右ストレートを合わせる。
打撃戦はサントスの勢いが王者を上回るなか、左ジャブに左フックを当てさらに優位に立ったチャレンジャーは左に右クロスを打ち込みダウンを奪う。鉄槌を落とし、立ち上がり際にアッパーを狙い、ノーガードの打ち合いになる首相撲からヒザ、さらに右フックに右を合わせたサントスが2度目のダウンを奪う。直後に初回が終わり、サントスのビッグラウンドとなった。
ここでオク・レユン陣営を自陣のマットに水たまりを作ってしまい遅延行為で減点1が与えられてしまう。痛いハンデを背負ったチャンピオンはダメージを回復させ、距離をアジャスト。パンチが交錯するとサントスの方が体を揺らす場面が増えてくる。
体を振りサントスの左をかわして、自らの左を当てるようになったオク・レユン。サントスが組みに行くが、離れて左右のローを効かせていく。サントスも左ジャブを当てる場面があったが、ジャブでも王者の精度が高くなる。さらに挑戦者の右の打ち終わりに右を入れたオク・レユンが左フックを受ける場面もあったが、流れを挽回したラウンドとなった。
3R、前に出てリズムを挽回したサントスはパンチから組んでいくが、逆にオク・レユンが両ワキを差してケージに押し込む。小外でトップを奪ったチャンピオンだが、しばらく上にいるとレフェリーがブレイクを命じる。打撃戦でもやや優位に立つオク・レユンは組まれても、再びサントスをケージに押し込んでいく。
ここでケージを蹴り、一度は組み勝ったサントスだがすぐにスクランブルに持ち込まれる。再びブレイクが掛かり、スタンドで勝負が再開されると打撃戦のなかでサントスが右ロングフックをヒットさせ、王者が後方に崩れる。
パウンドを狙いつつも、蹴り上げが来るとスタンドで待ち受けたチャレンジャー。押され気味のなかサントスが、右一発で大切なラウンドをモノにした。
4R、前のラウンドで起死回生の一発を当てたチャレンジャーだが、勢いは持続せずオク・レユンが左ジャブを当て、右ストレートにつなげる。サントスは右からの右のパンチで姿勢を乱し、ヒザをマットにつけながらダブルレッグへ。
尻もちをついたオク・レユンは、起き上りながら組み付いてケージに押し込む。ケージ際の攻防がしばらく続くと、チャンピオンが小外掛けでテイクダウンを奪取しパスを狙う。
細かいパンチ、ヒジを落とすチャンピオンに対し、サントスもポジションをそれ以上許さず、勢いのあるパンチを受けないようガードワークを駆使する。それでも終盤にパスガードしたオク・レユンが、頭を抱えに来たサントスからマウントを奪い左右のパンチを落とし逆転の芽を残して最終回へ。
疲れが目立つチャレンジャーは足が前に出ず、手打ちのパンチが増える。こうなると打撃でも勢いづいたオク・レユンは、首相撲&ヒザ蹴りで優位に立ち、ボディロックからバックに回り込む。足を一本入れ、亀のサントスに右を連打したオク・レユンが背中に乗ってRNCを仕掛ける。
背中が伸びかけたサントスは、ここでガードを選択。上を向いて絞めから逃れる。スクランブルでなく、柔術的な動きで防御に徹しハーフガードでフィニッシュだけはされまいとしたサントス。
オク・レユンはそのままトップを維持し、終盤には上体を起こして勢いのあるパンチを落とすもタイムアップに。ユニファイド的な判断では初回が10-8に加え減点で3Pリードしたチャレンジャー。3Rもダウンを奪ったことで1Pをさらに広げたと思われる。
王者は2Rと4Rを10-9、最終回を10-8で取ったとすると──46-46もありえたが、ジャッジの裁定は49-46が2人、49-45が1人でトム・サントスが新HEATライト級チャンピオンに輝いた。