【HEAT44】清水俊一戦に向けて、春日井たけし─02─「清水選手に負けるようだと終わりです」
【写真】苦しいときも乗り切れた。それは格闘技への想いがあったから。楽しさを求めるのも、格闘技への想い。表裏一体だ(C) MMAPLANET
3月2日(土)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT44で清水俊一と対戦する春日井たけしインタビュー後編。
日本拳法との出会いが、春日井にまた格闘技をする楽しさを感じさせることとなった。格闘技とともにあるため、ここで辞めてなんていられない──が故の負ければ終わり発言。
春日井のMMA、格闘技に対する魂の叫びが聞かれたようなインタビューとなった。
<春日井たけしインタビューPart.01はコチラから>
──日拳の練習をすると、パンチが速くなりますか。
「なりますね。日拳は引きが大事なので、引きを意識するとパンチは速くなると思います。僕はこれまで右ストレートでもなんでもパンチは打ちっぱなしだったんですけど、それが日拳をやると若干速くなりました。それとワキが開き気味だったのが、これも日拳ではしっかりと閉めないといけなくて。そうするとパンチも伸びるようになったんです。まだまだ、ワキは開いてしまうのですが……」
──近距離で殴り合いが続くことがない競技性なので、踏み込みという点はいかがでしょうか。
「そうですね、一本があるので打ち合いにはならないですね。その踏み込みのタイミングでテイクダウンを仕掛けても良いですし。日拳の練習も試合も楽しくて、準優勝でなくもう少し上を目指して続けたいです」
──日拳愛好家のような感じもしてしまいますが、土曜日の相手の清水選手にはどのような印象を持っていますか。
「ちょこまか動く……寝技の印象が強いです。う~ん、僕がここまで戦ってきた相手と比較しても……確かにこの階級のトップではないと思っています。でも試合ですし、何が起こるか分からないです。彼の形に入るとやられる可能性はあります。曲者ですよね。
だからこそ、負けられないです。志村館長からも『3連敗はないからな』と言われています。自分でもそう思っています。また違う角度で格闘技を追及できるかもしれないという気持ちを振り起すつもりで、日拳も始めました。そして、また格闘技は楽しいと思えるようになり、そこで培った技術を出すことができれば、僕もまだできるっていう自信になると思っています。
だから、この試合は僕にとってまた格闘技を楽しめるようになるためのラストチャンスです。ここで自分なりに工夫してやってきた格闘技が出すことができれば、今一番欠けている自信を……昔のように取り戻せるかと。
そういう意味でも清水選手に負けるようなことがあれば、僕の格闘技キャリアは終わりです。それは終わりですよ。清水選手も僕に勝つために……勝つ自信があってオファーを受けたのだろうし。全く彼を軽く見るつもりはないですけど、彼に負けるようだと終わりです。少しでも進歩したところを出せる試合にしたいです」
──それだけの覚悟ができている試合に関して、どのような調整をしてきたのでしょうか。
「外でやることは少なくなりましたね。指導もありますし、大学を卒業して、ボクシングからMMAで戦いたいという子が志村道場にいて。バイトをしながら格闘技をやっている子なので時間も自由ですし、一緒に相談しながら練習したりとかしています。
そうやって彼と練習したり、やはり新しい格闘技との付き合い方を模索しているんだと自分でも思うんです。UFC、UFCって言ってやってきて、このまま終われないです。辞めたくない、納得いかないという気持ちはあるんです。
ただ、何も考えずに邁進できるほど僕は強くない。本当はそういう奴だと思っていました、自分のことを。でも、最近は周りの目を気にしてしまう自分がいて……。以前は、自分が強くなるためには周りのことなんて、何も気にしていなかったのに……自分のやりたいことをやるだけで」
──人間的には成長したということではないでしょうか(笑)。
「でも、人のことなんて気にしない奴のほうが強いじゃないですか。人間としてどうかと思うけど、そういう奴が強い」
──尊敬してやまない日沖選手もそうですか。
「アッ……(日沖)発さんとか、久米(鷹介)さんとか周囲に気配りできて強い人がいますよね……今、言われて気付きました。あんな2人が周囲にいてくれたのに……なんで、自分はそうなれなかったのか。僕は本当に自己中でした」
──自己中でなくなり始めた春日井選手と格闘技の付き合いが始まったのかもしれないですね。
「そういう今の自分がいて……清水選手との試合は僕がどこまで格闘技を続けることができるのか、試される試合になります。格闘技を通して幸せになれることが一番なので。引退したときに、格闘技をやってきて良かったと思いたいんです。
僕はサッカーをやっていても一度もレギュラーになれなくて、人に自慢できることは中高皆勤賞と小学校の時に蟯虫検査に引っかかったことぐらいです!!
でも、そんな僕が格闘技をやってHEATでベルトを巻かせてもらった。幸せになるために格闘技を始めて、自分の人生の全てを格闘技に賭けてきました。もともとは普通のサラリーマン家庭に育って、そういうことが人間にとって幸せだと思っていました。でも、格闘技を始めて……人間はどうせ死ぬんだから、やったもの勝ちだっていう違う形の幸せを求めることができたんです。本当に……」
──格闘技を続けたいがための、負けたら終わり発言としか思えないです。
「ハイ、続けたいです。今回もそうだし、過去にもどうでも良いと思った試合なんて1つもないです。僕がどれだけ格闘技を好きだったかをぶつけ、感じられる試合にしたいです。倒しに行きます」
■HEAT44 対戦カード
<HEAT総合ヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]カルリ・ギブレイン(ブラジル)
[挑戦者]石井慧(日本)
<キック・スーパーヘビー級/3分3R>
ジェロム・レバンナ(フランス)
楠ジャイロ(ブラジル)
<HEAT総合ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]オク・レユン(韓国)
[挑戦者]トム・サントス(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
春日井たけし(日本)
清水俊一(日本)
<ヘビー級/5分3R>
チョン・ダウン(韓国)
サシャ・ミリンコヴィッチ(クロアチア)
<55キロ契約/5分2R>
鈴木万李弥(日本)
本野美樹(日本)
<キック・スーパーライト級/3分3R>
ヴィトル・トファネリ(ブラジル)
石田勝希(日本)
<キック・ミドル級/3分3R>
ヒマラヤン・チーター(ネパール)
チョ・ギョンジェ(韓国)
<キック65キロ契約/3分3R>
安川侑己(日本)
加藤駿(日本)
<キック・ライト級トーナメント1回戦/3分3R>
チャオ・ロゲート(タイ)
将輝(日本)
<キック・ライト級トーナメント1回戦/3分3R>
ヘンリー・セーハス(ボリビア)
ジュ・ギフン(韓国)