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【HEAT44】清水俊一戦に向けて、春日井たけし─01─「11月に日本拳法の試合に出ました」

Kasugai【写真】志村道場ではなく、同心会館の春日井たけし(C)TAKASHI KASUGAI

3月2日(土)に名古屋市熱田区の名古屋国際会議場イベントホールで開催されるHEAT44で春日井たけしが、清水俊一と対戦する。

そのエキセントリックなまでにストイックな姿勢でUFCを目指し、MMAを戦っていた春日井。しかし、UFCで戦う機会は訪れず、一昨年12月にはアザマット・カレフォフに敗れ、昨年4月のパンクラスでのマモル戦は負傷欠場。さらに9月にはバンタム級に戻してキム・ミョンギュの持つHEATバンタム級王座に挑むもRNCに敗れた。

それでいて試合後も、サバサバとしていた春日井に対し、もうMMAを戦う情熱を失ったように感じた。あれから半年、清水と戦う春日井は、これからに関して結論は出ていないが、良い意味で格闘技との違った角度で向かい合うようになっていた。


──昨年9月にバンタム級に転向し、キム・ミョンギュの持つHEATバンタム級王座に挑戦し敗れました。実はあの試合前のインタビューや負けた後の春日井選手の様子を見て、もう気持ちがないのかと思っていたのです。

「それはもう……本当に申し訳ないのですが、マモル選手との試合を飛ばしてしまった後は練習をする気もならないし、格闘技が嫌いなんじゃないかという気持ちになっていました。自分のなかではガムシャラに格闘技を続けてきて、チョ・ナムジンに勝ってもUFCと契約できなかったことで、精神的にも厳しくなっていたのは事実です。

でもUFCに行ける人間は、きっとそうなっても頑張ることができるんです。そういう奴だけがUFCで戦うことができる。対して僕はあそこで格闘技に対して、プツンと糸が切れたようになりました。

30歳までに辞めると言っていて、その30歳になりましたし。自分と同い年の人間がバリバリ働いている時間に練習をして……でも、練習ではお金は入ってこない。それなら、きっぱりと格闘技から離れて、違うことをやったほうが良いのではないかという気もしています」

──しているというのは過去形ではないですね。

「そうかと思うと、『いや、やっぱり頑張るんだ』とやる気になったり、すぐに途切れたり。チョ・ナムジンに勝ってからは、そんなことの繰り返しでした。それでアザマット・カレフォフに負けて、バンタム級でもタイトル奪取に失敗した。正直、先ほど言われたようにキム・ミョンギュに負けても悔しくなかったんです」

──やはり。やけにサバサバしていました。

「悔しくなかった。そんな自分に気付いたときには、応援してくれる人たちに本当に申し訳ない気持ちになりました。だから、もう辞めた方が良いんじゃないのかとも考えました」

──その気持ちというのは、今は?

「正直なところ今も分かっていないです……自分の本当の気持ちがどこにあるのかハッキリせず、中途半端なままです。格闘技をやってきたので海外……大きな舞台で試合をしたいという気持ちもありますが、ここでちゃんと勝っても何も変わらなければ……というのはやはりあります。

ただ、今回の試合に向けて練習は前回の試合よりも、しっかりと考えてやってきました。志村道場の皆が助けてくれますし、試合に関してやらないといけないことはやっています。練習方法も変えたんです。息上げはしても、ガチ・スパーリングを週に3、4回やってきたのを1度に減らしました。ケガのリスクを避け、疲労の回復を考えるようにして。

これまでは毎回、ボロボロにならないとやった気がしなかったので、練習でダメージを蓄積していたと思います。ただ、そんなことを言っても後の祭りですし、今の自分に合っている練習はできています。それと日本拳法をやることになったのも大きいです」

──日拳ですか!! もともと志村道場の志村民雄館長は日本拳法出身ですが、いよいよ春日井選手も日拳の稽古をするようになったのですね。

「もう、それは本当にたまたまなんです。志村道場には同心会館という日拳部門があったのですが、なかなか道場生も増えないというか……時代もあるので減っている感じで、もう閉めようかという話もあったんです。

今は館長も忙しくて指導から離れていますし、そんなときになくす前に試合に出ておこうという感じになったんです。志村館長からも、僕が格闘技に対して迷いがあることを分かっていて11月の日拳の大会に『お前、試合間隔も空いているし、どうだ?』という風に発破をかけられました。もともと日拳をやる気はなかったし、ルールを知るために防具をつけて1度練習してトーナメントに出たんです(苦笑)」

──結果は?

「準優勝でした。参加者も38人と多くて、1日に4試合とか戦って。決勝で負けた時は悔しかったし、またやりたいと思いました。何より、試合をしていて楽しかったです。

で、そのトーナメントに出たことをきっかけに──志村館長に言わせると、遊びみたいなもんなのですが新生同心会館として日拳の活動を続けることになったんです。道場には三段の方もいて、『午前中だったら指導できるよ』と言っていただき、水曜日と土曜日の午前中にクラスを続けてもらうことになりました。そうしたら、徐々に人数が増えて……今では午前中なのに7名ほどで稽古をしています」

──もともと日拳にはどのようなイメージを持っていたのでしょうか。

「防具があるし、全く自分には関係ないと思っていました。でも、いざ稽古をしてみると日拳は元祖・総合格闘技ですね」

──防具があることで、本気の打撃を練習で経験できると日拳出身の中村優作選手や田中路教選手から伺ったことがあります。

「そうなんです。それで当て感も養うことができます。ただ、防具だからこそ頭に響くし、首に負担も掛かるので週に1度は面なしで打ち込みの稽古をしています。これからも日拳の試合には出ていこうと思いますし、同心会館を盛り上げていきたいですね」

──MMAの話よりも、随分と楽しそうなことが若干気になります……。

「純粋に楽しんでいる部分もありますけど、もちろんMMAに生きると思っているのでやっています。結局、僕はいつまで経っても組んでしか戦えなくて、打撃に対して恐怖心を持っていました。その怖さが、日拳をやるようになって薄れましたし、単純にパンチが速くなったんです」

<この項、続く

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