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【Special】月刊、青木真也のこの一番:12月─その参─中原由貴✖中村晃司「マクロとミクロの見方」

Nakahara【写真】2018年12月度のアオキ・アワード受賞は中原由貴に (C)PANCRASE

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ12月の一番、第3弾は9日に行われたPancrase302から中原由貴×中村晃司の一戦を語らおう。


──12月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「中原由貴✖中村晃司ですね。上田正竜選手が小川徹選手に勝った試合も僕のなかではありだったんですけど、上田選手が31歳だったので対象外で。上田選手が蹴って、蹴って、蹴って勝った。ミドルがあったから、最後のハイが決まったというのをアオキ・アワードの技術解説で振り返りたかったですね。中原選手は相手が相手というのもありましたし……。」

──もとは中島太一選手との対戦が、中村晃司選手に代わり51秒でTKO勝ち。順当ながら圧勝でした。

「中原選手は強い、地力があると思います。単純に強い。これまでに何度か、ハマって来なかった。上に行けなかったし、次への期待を込めて選ばせてもらいました」

──中原選手はマッハ道場所属ですが……揉めないですか(笑)。

「それは絶対ない(笑)。何言っているんですか……やめてくださいよ。アオキ・アワードに関しては、僕の格闘技が本当に好きっていう部分でやっているので、そういうのはなしでお願いしますよ(笑)」

──マッハ選手は分かってなくて、仕掛けがあるかもしれないですよ。

「いやぁ……それは困ります。だってチャンネル違うんだから」

──ギター持って現れそうです(笑)。

「そうなったら中原選手と3人で歌うしかない(笑)。真面目な話、でも中原選手のこれからは楽しみですね」

──UFCなのか、ONEなのか(※収録後に2月16日のONEバンコク大会でエミリオ・ウルティアと対戦することがアナウンスされた)。

「いやぁ、パンクラスのタイトルを目指してほしいッスね。やっぱりね、日本の若い選手は1度で良いから国内の団体……彼の場合はパンクラスで戦ってきたんだから、パンクラスのベルトを取って欲しいですよ。

だってパンクラスはナザレノ・マレガリエというチャンピオンがいて、暫定王者はISAO選手で。そこはケジメとして、彼らに挑戦する試合が必要だし、それが中原選手を強くすると思います。

いや、高島さんッ!! このままいくと、日本人は本当に弱くなっちゃいますよ。国内で厳しい生き残り合戦がなくて、格闘代理戦争でデビュー前の子ばっかが注目を浴びてもっ!!」

──2ランク、3ランク上の格闘代理戦争が必要ということでしょうか。もう党派を超えて、団体ではなくイベントだけが必要な時代に来ているのかもしれないです。

「いやぁ……本当、そうじゃないと日本人は弱くなる。強い選手が抜けて、興行は盛り上がらないし。団体のチャンピオンシップを目指さないんだったら、そこで戦う意味ないです。それはね、もう途中で抜けていくなら、その団体にも意味はないし。団体もそれを歓迎するなってことで。

でもなぁ……海外に行くなとも言えないしなぁ……」

──国内でチャンピオンを目指すレベルの選手が、生活ができない。より良い条件の試合が、海外にある。

「そう、もう何も言えないですね。今の状況は。頑張ってもUFCが取ってくれなかった。だから選手を責めることはできないし。格闘代理戦争のような番組って凄いチャンスだと思うんですけど、アレをもう一個上でやらないといけない──ということですよね。

もう一つ、二つ上のレベルでリアリティTVショーをやって、そこからONEとかUFCに行くようにしないと。そうじゃないと、今のままの中抜けじゃ繋がらないです。これだけ日本人選手がONEに集中してしまっても、ONEの良さも消えちゃうし。

そういう意味ではGRCHANの阪本洋平が、修斗に出ていくとか。ああいうのは繋がりはあって良いですね。2019年、その修斗にレコンキスタはありますかね?

まあマクロで見れば日本人が強くなるために、国内の王座や凌ぎ合いを軽視してはいけなくて。でもミクロで見ると、選手は食っていかないといけないし、海外に出るべきで。そういうことになるんですよね」

──青木選手、深い話をありがとうございました。とにもかくも2018年12月のアオキ・アワードは中原選手ということで。ではシンガポールへの道中、現地では気を付けてください。

「ハイ、ありがとうございます!」

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