【WEF Global14&Arzalet】キルギスで王座挑戦、マルコス・ソウザ─02─「武器は腕や足じゃない。心だ」
【写真】非常に落ち着き払っていたマルキーニョス。改めて年齢と経験は一致しないと教わった (C) MMAPLANET
10日(土・現地時間)にキルギスの首都ビシュケクにあるスポルトパラス・コズホムクルで行われるWEF Global14 & ArzaletでWEFミドル級王者ヌルスルタン・ルジボエフに挑戦するマルコス・ソウザ・インタビュー後編。
初のキルギスでの試合、未知の対戦相手。そして指導とファイトの板挟みという状況にもマルキーニョスは非常に穏やかに言葉を続けた。
そこには父アジウソンから受け継いだ一族の柔術への絶対の自信が存在した。
<マルコス・ソウザ・インタビューPart.01はコチラから>
──そのような大きな挑戦が控えているとなると、今回のキルギス遠征は非常に大切になってきますし、ある意味リスキーですね。
「人生にはトライする刻というのは、存在するんだよ。チャレンジは必要だ。試合に出るということは、いつだって勝つ確率は50パーセントで、半分は負ける可能性がある。でも、勝つことしか考えていない。事実として敗北を喫することはあるけど、負けたらどうしようということを考えて試合の臨むことはないんだ」
────サトシ選手がセコンドのようですが、そのサトシ選手は11月24日に韓国で試合します。クレベルは12月1日にポーランド、まだ発表されていないモノも含め11月終盤から12月にかけてチームメイトの試合が続きます。
「試合のスケジュールをコントロールすることはできないからね。みな、それぞれの生活がある。そしてファイトマネーは必要だ。だから、こんな風に皆の試合が集中するケースも当然生まれてきてしまう。
だからこそ、僕は現役生活を区切った。いつだって彼らを100パーセント、サポートしたいから。それに僕の生徒の多くが柔術家だ。昨日なんて柔術のトーナメントが2つあって、MMAではZSTもあった。月曜日から土曜日まで柔術のクラスがあり、クラスがないのは日曜日だけ。でも、その日曜日は大会が集中することもある。家族のことを考えると、やはり自分の時間は必要になってくるしね」
──では、次の試合でどのようなファイトをしたいと思っていますか。
「とにかく勝つこと。勝つためにキルギスに行く。勝ち方は問わない。KOだろうが、一本勝ちだろうが、例え退屈な試合だったと言われても構わない。勝つことが最重要だよ。持ちうる力を使って勝つこと、それが僕のやるべきことだ」
──ボンサイ柔術の強さを見せるという気持ちもないですか。
「それはホイス・グレイシーの頃の考えだよ(笑)。僕はちょっと考え方が違う。タフな相手と戦えば、負けることだってある。それが分かって戦っているから。
テイクダウンしてサブミット、僕のスタイルはシンプルだ。ただ、そう簡単にいかないのがファイトだし、そうするためにも相手のミスを待つことになる。ただし、全力で戦うことには違いない。とにかく自分の戦いに相手を引きずり込むことだよ」
──MMAの試合前、以前のマルキーニョスはもっとナーバスになっているように感じていました。
「確かにね(笑)。実は日本で試合をするほうが精神的に厳しんだ。やはり生徒の眼もある、負けられないという気持ちが大きくなってしまう。日本では柔術を含め、僕が負ける姿を見たことがない人が多い。そこは実際重荷になる。だから今回もそうだし、7月に韓国で戦った時もそれほどプレッシャーを感じていなかったから、そう見えるんだろうね。
キルギスの試合は対戦相手が正真正銘のチャンピオンで、僕はチャレンジャーだ。ただベルトを獲ることだけを考えていれば良いのさ。
今はリラックスできている。ただ、試合というのは僕の顔を殴ろうとしている相手と向き合うのだから、放っておいてもスイッチが入る。だからこそ、自信を持って試合に臨むんだ。
僕にとって一番タフな試合だったのは、5年前に北京でポーランドのマテウス・ピスコ―スと戦った試合だった。相手の打撃が強くて、2Rまでロッキーのようにパンチを被弾していた。でも僕は1分間、グラウンドで1分間戦うことができると勝てる。そう思って戦っていた。そして3Rに相手の背中をマットにつかせると、パスガードしてバックを取りRNCで勝てた。
あの試合の後、ヒクソン・グレイシーに『君は本当に侍だ。一度として諦めることがなかった』と言って貰えたんだ。自分自身、僕の柔術に自信を持っているから勝てた試合だった。僕の家族が育んできた柔術に絶対の自信を持っている」
──キルギスでもマルキーニョスらしい、そのスタンスが表れた試合を期待しています。
「どれだけ殴られても、一つのテイクダウン。そして1分あれば僕は勝てる。そう信じて戦うよ。人生と同じで、ハードな時間が僕を成長させてくれる。ハートはレコードに表れないからね。そこが一番大切だよ。
クインテットで戦っている時、本当のチャンピオンになれたと思ったと最初に言ったけど、そういうつもりで今回も戦う。あの気持ちをキルギスに持っていくよ。僕の武器は腕や足じゃない。それは心だからね」