【ONE】187億円の投資を受けることが決まったONE、チャトリ・シットヨートンCEO「全てはここから」
【写真】我々がMMAを見て来た景色と違う光景がチャトリCEOの眼には映っているのだろう (C)MMAPLANET
8日（月・現地時間）、ONE Championshipが米国を代表するベンチャー・キャピタルであるセコイア・キャピタルよりシリーズ4となる1億6600万ドル（約187億円）の投資を受けることを発表した。
セコイア・キャピタルはクライナー・パーキンスと並ぶ二大ベンチャー・キャピタルで1兆5000億ドルの資産運用をしているとされている。ベンチャー・キャピタルとは株式未上場のベンチャー企業への株式運用など引き受ける投資を行い、株式公開した際のキャピタルゲイン（投資額と売却額との差額）を得る──ハイリターンを狙った投資会社で、ONEのチャトリ・シットヨートンCEO自身がNYのウォール街で手掛けていたビジネスでもある。
これによりシンガポール政府/シンガポール財務省が保有する投資会社テマセク・ホールディングスらからの投資額を含めると、ONEは2億5000万ドルを超える投資を受けることとなった。今回の発表を受けチャトリ・シットヨートンCEOにバンコク大会、UFCで起こった乱闘劇なども踏まえ緊急ショートインタビューを行なった。
──今回、米国二大ベンチャー・キャピタルであるセコイア・キャピタルから1億6600万ドルもの投資を得ることになりました。シリーズAやBでもCでもなく、シリーズDの投資（額が大きい=成長が見込める企業への投資）の持つ意味合いとはいかなるモノなのでしょうか。
「セコイア・キャピタルがONEを信じ、これだけの投資をしてくれることを心の底から感謝し、有難いと思っている。セコイア・キャピタルはベンチャー・キャピタル界の巨星で、数千万ドル単位の投資をアップル、グーグル、インスタグラム、ワッツアップ、シスコ・システムズ（コンピューターネットワーク機器開発会社）に行ってきた。これらの巨大企業にONEが続くことができることを願っているよ」
──既にテマセクやグリーンノークスらから投資を受けてきましたが、セコイアからの投資など格闘技界ではあまり聞くことのない話題です。
「私が言えることは……ONEは幾多のマーシャルアーツ団体が存在するなか、2億5000万ドルという投資をセコイアやテマセクという超一流の投資会社から受ける唯一の存在だということだよ。ただ断言しておきたいことは、全てはここからだということなんだ。
ONEはメトリクスという数値指標からも、その成長は絶対的に確認されている。例えばオンライン視聴者は2015年には30万だったのが、2018年には40億を数えている。フェイスブックのファンも100万人だったのが、1000万人となった。ONEの主要国ではNBAやF1、英国のプレミアムリーグというグローバルスポーツに並ぶ存在となっている。もちろん健全かつ潤沢な資金によって経営が保たれているからこそ、この成長があったんだ」
──私どもはこの手の経済的な知識が著しく欠けているのですが、ベンチャー・キャピタルの投資を受けるということは、チャトリCEOは株式上場を考えているということでしょうか。
「その通りだよ。ONEは将来的に香港かニューヨーク証券取引所での上場を予定している。我々の資産価値は既に100億ドル規模であるけど、NFLの7500億ドルには遠く及ばない。私の夢はONEをNFLを越えた世界一の国際的なスポーツ・メディアに発展させることだからね」
──だからこその『全てはここから』という発言なのですね。ところで母国タイでの先日のイベントは、ONEバンコク大会で最も多くの観客が集まった大会となりました。
「これまでで一番多くのファンが集まってくれた。ばかりでなくニールセンから視聴率が発表されたけど、ピーク時の視聴率はタイ全体で58.5パーセントだったことが分かったんだ」
──58.5パーセントとは……物凄い数字を叩きだしましたね。
「今日、分かったばかりなんだ。タイ以外のASEAN諸国での視聴率も相当良かったようだ。ONEはマーシャルアーツのホームだよ。アジアで5000年の歴史を誇る、最高の文化を継承しているんだ」
──そんなONEバンコク大会の半日後にUFCではメインの世界戦後に大乱闘劇が起こってしまいました。これは決してヌルマゴメドフとマクレガーという2人が犯した事件でなく、業界全体の空気があったうえで起こってしまった事件だと思うのですが、その辺りに関してチャトリCEOはどのように考えていますか。
「UFCはマーシャルアーツではないんだ。UFCは憎悪、侮辱、屈辱というネガティブな側面で利用してきた。それはマーシャルアーツの本質である誠実さ、謙虚さ、尊敬、勇気、規律、思い遣りとは対極にある。ONEではアスリートが対戦相手を敬わない態度は絶対に許さない。ONEの選手は社会の模範となるべきアスリートが揃っている。ONEは正真正銘のマーシャルアーツを体現していくよ。
今、世界はUFCとONEの違いを理解し始めているはずだよ。私自身、34年間マーシャルアーツを経験してきた。今も毎日のように練習をしている。ONEはその価値観、選手達が紡いでいくストーリーをもって、マーシャルアーツの本質を伝えていくんだ」
