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【Grachan36】フェザー級王座防衛に成功した阪本洋平が、神立大輝さんにエール=「意志の力が一番強い」

Yohei Sakamoto【写真】マイクで神立さんを激励した阪本(C)MMAPALANET

9日(日)、東京都大田区の大田区総合体育館で開催されたGRACHAN36のメインで、Grachanフェザー級チャンピオンの阪本洋平が、原井徹の挑戦を受け1R4分06秒、パウンドアウトで王座初防衛に成功した。

試合後、その阪本の口からマイクで語られたのは白血病から脳への転移が見られ入院中の若者への叱咤激励の言葉だった。



──T-Bloodの練習仲間である神立大輝さんへの呼びかけが、Grachan36の終幕となりました。

「神立君は去年の大澤茂樹戦の前に白血病が発覚して、試合前からラインとか結構もらっていたんです。試合後もクール毎に病院で会って話をして。全5クールの化学療法を昨年末に終えて退院し、必ず僕の試合を見に来るって言っていたんです。

維持療法をその後も続けていて元気にやっていて、2週間前ですかね……一緒にご飯も食べて。僕、性格悪いんで別に神立君のことを想って会っていたのではなくて、人に見えないモノを見たい性質だから、人間は追いつめられると地が出るので、20歳で白血病と戦う人間が何を見ているのかを知りたくて会っていたんです。

それは神立君にも『何が見えているか教えてくれ』って言っていました。彼も治療が終わったらまた格闘技がしたいとか、僕に指導してほしいとも言っていて。まだ練習はできていないけど、ジムには顔を出したりしていたんです。で、2週間前に『勝つために会いたい』と言って話をしました。神立君も理由を知りたがっていたけど、それは終わってから伝えるわっていう風に言っていたんです。

それで……ちょうど試合の1週間前に白血病からの脳への転移が見られて入院することになったので、今日の試合を見に来ることはできなくなりました」

──なのでケージの中で『嘘は嘘。チャンと治して見に来い。約束を守れ』という言葉を送ったのですね。

「この試合を神立君に見てもらうために戦う。それがモチベーションだったので、その意志を確認するために2週間前に食事をしたんです。だから、神立君本人にこのインタビューも読んでほしいし、さっきのマイクも動画で視てほしいです。

なんて言うんですかね……格闘技でも闘病でもなんでもそうですけど、スキルとかそういうモノよりも、意志の力が一番強いと思っています。だから……今回はそういうことがあったので、この試合は絶対に負けられなかった。でも、どんな状況でも闘病に関しても、同じことが言えると思うので、絶対に諦めるなというのは伝えたいですし、伝えます。

今回、実は最後の減量で失敗してしまったんです。残り1キロぐらいでサウナスーツを着て、外を走ったら熱中症と脱水で歩けなくなって(苦笑)。休みながら家まで戻っていたのですが、最後の200メートルか300メートルで立てなくなったんです」

──そんなことがあったのですか!!

「でも、それは単に僕の失敗です。フィットネスクラブのマシーンで走れば良かったことなので。それを外で遠くまで走って……低血圧になっているから立ち上がると気絶するという状況でした。あそこで諦めていたら、意識が飛んで救急車で運ばれていたので、試合は中止になっていました。それも同じことだし、神立君に伝えたかったです。

匍匐前進で家に戻って、たまたま母親が家に来ていたので壁を叩いて呼んで、ひたすら頭に水をかけてもらって回復させました」

──試合に影響はなかったですか。

「それはなかったです」

──序盤、少し動きが堅かったように感じましたが。

「正直、少し力の差があることは分かっていました。格闘家って誰でも、ぶっちゃけ負けそうな相手と戦いたくないっていう気持ちがあると思うんです。グラチャンのなかでもそう思っている選手もいるでしょうし。

そういうなかで原井選手は僕とやりたいと挑戦してきた。意志の強い相手なので、それ以上のモノが必要になって来る。だから神立君にこの試合を見てほしかった。

ただし意志の強い相手は厄介だと思っている一方で、力の差が存在する。そのなかで分かっていても油断することがあったんだと本当にそう思いました」

──テイクダウンを奪われ、打撃で反撃に成功した際にスピニングバックフィストによってダメージがあったようにも見えました。

「それは……川尻さんや岩瀬さんにも同じような指摘されたんですけど、かなり余裕があったと思っています。あれで倒されるということはなかったです。右のオーバーハンドの出力が想定より上だというのはあったけど、バックハンドが効いたというのはなかった。ただ……この試合は油断をするから、そんなことないようにって気を付けていたのに防げないもんなんだって」

──だからこそ、阪本選手が余裕を持たない相手との試合が見てみたいです。

「去年、実は色々な有名な選手との話もいただいていたんです。諸事情で流れてしまったのですが……。僕は自分の想ったことしか言わないので、最終目標は髙谷(裕之)さんとやりたいというのは変わりないです。

そこを目指して上の選手、名前のある選手と戦うとか、各団体の何かを取りに行っても良いと思っています。強い選手とやるとしても、髙谷戦に近づかない相手とは戦いたくないです。そこは変わらない。実績を積めばやれるとか、そんな簡単なものじゃないことは分かっています。そこを解決するために、強い選手とどこででもやりたいです。髙谷さんに近づくなら、他の大会に出ても構わないです。

強い相手と戦って、絶対に髙谷戦を実現させます。神立君に退院してもらって、髙谷戦を観戦してほしいので」

■Grachan36 試合結果

<Grachanフェザー級選手権試合/5分3R>
阪本洋平(日本)
Def.1R4分06秒by TKO
原井徹(日本)

<Grachanライト級王座決定戦/5分3R>
山本琢也(日本)
Def.3-0
岸本泰昭(日本)

<フェザー級/5分2R>
昇侍(日本)
Def.1R4分20秒by TKO
近藤淳平(日本)

<ミドル級/5分2R>
圭太郎(日本)
Def.1R2分35秒by TKO
清水来人(日本)

<バンタム級/5分2R>
米山千隼(日本)
Def.3-0
中村謙作(日本)

<女子アトム級/5分2R>
沙弥子(日本)
Def.1R2分38秒by TKO
チェ・ジュ(韓国)

<Grachanフライ級王座決定戦/5分3R>
松場貴志(日本)
Def.3R3分53秒by TKO
山本聖悟(日本)

<Grachanバンタム級選手権試合/5分3R>
堀友彦(日本)
Def.2-1
手塚基伸(日本)

<フェザー級/5分2R>
伊藤空也(日本)
Def.3-0
遠藤来生(日本)

<フェザー級/5分2R>
AYA(日本)
Def.1R0分59秒by TKO
サン・アルン(韓国)

<フライ級/5分2R>
ネコ☆佐々木(日本)
Def.2-0
吉澤勇人(日本)

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