【UFC227】人類が到達しうる最高レベルのMMAを体現──DJが12度目のUFC世界フライ級王座防衛に臨む
【写真】レイ・ボーグに決めたスープレックスアームバー、こんなことDJ以外の誰ができるというのか (C)Zuffa LLC/Getty Images
4日(土・現地時間)、UFC227「Dillashaw vs Garbrandt 2」がカリフォルニア州ロサンゼルスのステイプル・センターで開催される。メインでUFC世界バンタム級選手権試合=王者TJ・ディラショー×挑戦者コディー・ガーブラントが組まれている今大会は、UFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンが12度目の王座防衛戦を戦う。
最高峰UFCでは世界中からトップファイターが集結し、どこよりも激しい生存競争が展開されている。特に過去数年のMMAの世界中の伝播により、地域格差が急激になくなってきたことでレベルアップは著しく、GSPやアンデウソン・シウバの時代のようにオクタゴンには絶対王者は存在しなくなってきた。
そのようななかでDJだけは別だ。かつてはスタンド、テイクダウン、グラウンドと完全ドミネイトのスタイルがマイナスに働き、試合内容を酷評されることもあった。それも実力差が成せる業なのだが、世界で2番目に強い挑戦者たちにDJは、フィニッシュという形で力の差を見せつけるようになってきた。
今回のチャレンジャーであるヘンリー・セフードも、北京五輪フリースタイルレスリング55キロ級金メダリストという世界の頂点を究めたアスリートが有する運動神経とフィジカルを武器にキャリア11戦目でDJに挑んだ──世界で2番目に強いファイターだった。2年前の4月にDJと相対したセフードは、ボディへのヒザを効かされ僅か169秒でDJの軍門に下った。
その後、ジョセフ・ベナビデスとのタフマッチを落としたセフードだが、ウィルソン・ヘイスとセルジオ・ペティスに連勝し、今回2度目のチャレンジを実現させた。ただ、セフード戦後のDJは以前に増してパーフェクト振りを発揮している。ディフェンスに徹したティム・エリオット戦こそ、判定に持ち込まれたものの大袈裟でなく、ギロチンを抜けた以降はほぼ危ない場面はなかった。
続くヘイスとの防衛戦でも、全ての局面でヘイスの狙いを潰し、心を折っての腕十字による一本勝ち。さらに昨年10月のレイ・ボーグ戦に至ってはまさにDJの一人芝居。その結末では、バックスープレックスでボーグを持ち上げ、体をすかして落下させての空中腕十字という、誰も見せたことがないフィニッシュを披露した。
もはや絶対王者というよりも、神チャンピオンの域に到達しているDJ。セフードに勝機があるとすれば、徹底した距離のコントロールと打撃を被弾する覚悟で、テイクダウンを切ること。パンチを被弾する距離でテイクダウン防御に徹し、その距離で逆にテイクダウンを奪う。DJの流れでなく、あくまでも自分の流れで動くことで、ヘイスを倒した右ストレートという大砲が爆発させることも有り得るだろう。
もちろん、そのような流れをDJ相手にセフードが見せることができれば、それこそ神対応なのだが……。UFC以外ではBellatorもPFLもフライ級王座を制定していない。全米のフライ級のベルトは、UFCに出場するためのチケットだ。それだけフライ級という階級が軽視される現状は、今も変わりなく──それが北米MMA界の事実であることは間違いない。そのなかで神チャンピオンが、どのような戦いを見せるのか。まさに孤高の存在、完全無欠のMMAファイター=DJの人類が到達できる最高レベルのMMAに期待したい。
■ UFN227対戦カード
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]TJ・ディラショー(米国)
[挑戦者]コディー・ガーブラント(米国)
<UFC世界フライ級選手権試合/5分5R>
[王者]デメトリウス・ジョンソン(米国)
[挑戦者]ヘンリー・セジュード(米国)
<フェザー級/5分3R>
カブ・スワンソン(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
ポリアナ・ヴィアナ(ブラジル)
JJ・アルドリッチ(米国)
<ミドル級/5分3R>
チアゴ・マヘタ(ブラジル)
ケヴィン・ホランド(米国)
<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス(ブラジル)
ブレット・ジョンズ(英国)
<バンタム級/5分3R>
リッキー・サイモン(米国)
モンテル・ジャクソン(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
ベチ・コヘイア(ブラジル)
アイリーン・アルダナ(メキシコ)
<フェザー級/5分3R>
シェイモン・モラエス(ブラジル)
マット・セイレス(米国)
<フライ級/5分3R>
ホゼ・トーレス(米国)
アレックス・ペレス(米国)
<バンタム級/5分3R>
カン・ギョンホ(韓国)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
ダニエル・テイラー(米国)
ジャン・ウェイリ(中国)
<バンタム級/5分3R>
マルロン・ヴェラ(エクアドル)
ウリジブレン(中国)