【AJJC2018】夫唱婦随?! 揃って出場&連覇中、芝本幸司・さおり夫妻─01─「たまたまですよ」(幸司)
【写真】柔術家同士のカップルではなく、カップルになってから夫人が柔術を始めたという芝本夫妻 (C)TSUBASA ITO
8月5日(日)、東京都大田区にある大田区総合体育館において「第19回全日本ブラジリアン柔術選手権」が開催される。
昨年、一昨年とブラジリアン柔術日本一を決める同選手権で夫婦揃ってアダルト黒帯を制したのが、芝本幸司・さおり夫妻だ。今年も揃ってエントリーしている全日本選手権をはじめ、さおりが柔術を始めるきっかけや私生活についても話を訊いた。
Text by Tsubasa Ito
――今年はさおり選手もムンジアルの女子アダルト黒帯ライトフェザー級に出場しました。
さおり 世界選手権は初めてだったんですけど、強い相手と試合ができて凄く楽しかったです。国内では同じ階級の女子が少ないこともあって、なかなか試合ができないので。練習でも、競技志向でやっている女性じゃないとスパーリングをするのも難しいですからね。
幸司 期待していないと言ったら変ですけど、彼女の場合は趣味なので、どちらかというと私が『一回くらい出てみたら?』と促して無理矢理出したような感じだったんです。もちろん、勝ってくれればさらに良かったんでしょうけど、それ以上に彼女が世界選手権のマットに立って試合をしたことが嬉しかったです」
――黒帯でムンジアルに出場というのは、もはや趣味の域を越えているようにも感じます(笑)。
幸司 彼女はもともと柔術をやっていたわけではなく、私と結婚して私がこういう仕事をしているから、それだったらちょっとでも何か手伝えればという感じで始めただけなんですよ。毎日練習しているから、それであれば試合も挑戦したいというモチベーションなんですよね。試合ありきの練習じゃないんです。
さおり そうですね。もともと私たちは同じ職場(スポーツクラブ)で知り合ったんですけど、結婚して私が退職したので話題になるものがないことが寂しくて、柔術をやれば同じ話題を持てるのかなと思って始めました。
――さおり選手が柔術を始めたのはいつですか。
さおり 2008年ですね。五反田のトライフォースがオープンしたタイミングでした。
幸司 私が巣鴨でやっている時は始めなかったんです。五反田がオープンするのをきっかけに、じゃあ五反田に入ろうという形で。
さおり 同じところというのは何となく気まずくて(笑)。その後に本部に移籍しました。
――柔術を始めるまで、何かスポーツはやっていたのでしょうか。
さおり 中学までですね。水泳とかバレーボールくらいです。格闘技は全然、興味がなかったです。
――試合に出始めたのはいつですか。
さおり 白帯の時から出ています。最初から主人が選手でやっていたので、柔術って試合に出るものなんだという認識でした。いつまで続けるとか、そんなことは考えたことがなかったです。
――2016年には黒帯を取得するまでになりました。
幸司 でも、たまたまですよ。僕と結婚しなければ、たぶん柔術の存在すら知らないまま終わったでしょうから。向いていたのかどうかは分からないですけど、やってみて嫌にならなかったということですよね。
――ご夫婦で柔術をするメリットはありますか。
幸司 うーん……。たとえば技の確認とか、打ち込みをしたい時に気を遣わずに頼めることですかね。相手も練習したいでしょうから、仲間であっても気を遣う部分じゃないですか。自分の技だけ受けてくれというお願いの仕方は、マナー違反だと思うんですよ。それをできてしまうのがメリットかなと。
一般の女性に技をかけるわけにはいかないですし、相手が柔術の動きを理解していないと上手く受けることもできないじゃないですか。思い浮かぶのはそれくらいですね。
――ご自宅でさおり選手から技術的な質問されることもありますか。
幸司 あったりなかったりですね。彼女も毎日道場に来ますし、家まで一緒に帰る時にその日の練習の話もするじゃないですか。それが長引けば家についた後もしますからね。
――お互いが凄いなと感じるのはどのような部分ですか。
幸司 彼女は朝から夕方まで仕事をした後に道場に来て練習して、私と一緒に帰ると家に着くのが夜中の12時とか1時とかになるんですよ。翌日の道場自体が遅めの時間なので私はゆっくり眠ることができるのですが、彼女は朝の5時6時に起きて、仕事に行きますからね。自分だったらできないです。それをずっと続けられるのはヤバいですよね。
――柔術が好きでなければできないことですね。
幸司 そうなんです。だから、たまたまというのはそういうことなんですよね。たまたま私がやっていた柔術を、彼女もハマってくれたんです。嫌だったら続かないでしょうし。仕事を理由にいくらでも休めますから。選手としてやっているわけでもないですし。
<この項、続く>