【Pancrase298】ストロー級QOP決定戦でヴィヴィアニと対戦、漢・藤野恵実「ファイターだけの評価を」
【写真】今日の会見は「BBA舐めるな」モードより、美白の女王モードだった模様の藤野恵実 (C)MMAPLANET
5日(火)、東京都新宿区のパンクラス事業本部で8月5日(日)に江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase298において、ヴィヴィアニ・アロージョとストロー級クイーン・オブ・パンクラシスト王座決定戦で戦うことが決まった藤野恵実の記者会見が行われた。
ヴィヴィアニは昨年10月にパンクラスに初来日し、三浦彩佳に対して圧倒的な強さを見せつけ、TKO勝ち。パンクラスが年間契約を結んだほどのインパクトを残した。一方、藤野は5月20日にシャロン・ジェイコブセンとの激闘を制し、今回のタイトル戦が決まった。なお同王座は朱里の返上を受けて実現に至ったことになる。
パンクラスがこの対戦に向けて作成したヴィヴィアニ×藤野Tシャツを着用して臨んだ会見、まず藤野は「Tシャツは嫌がらせだなと思いました(笑)。このデザインを見た時からプレッシャーが強くなりました」と笑顔を見せ、「ベルトは欲しいと思っていたのですが、5年振りに試合をしてすぐにタイトルマッチが来るということはなかなかないと思っていたので、ビックリしています。同時にすぐにチャンスを頂けてありがたいなという気持ちがあります。こないだの試合が終わって、次はどこで戦おうかと暫く悩みましたが、キャリアの最終地点ということを踏まえて、ベルトに拘りたいと思いました。タイトルマッチができるのも、これが最後だという気持ちがあるので受けさせてもらいました」という挨拶に続き、質疑応答が始まった(要約)。
──ヴィヴィアニの印象を教えてください。
「三浦のセコンドだったので、凄く近くで見ていました。凄く強いですよね、1Rが終わった時点で一方的な展開で、本当に強いなと思いました。その時、いつか戦いたいと正直思ったので、戦えて嬉しいです。ただ彼女は三浦との試合からやっていないので、どの程度なのか分からない点もありますが、打撃は強いですけど粗いと思っています。
シャープというよりも荒々しくて、柔術の黒帯ですし寝てからの方が強いですね。三浦の首投げ後に袈裟を許さず、バックを取った動きが速かったです。テイクダウンされることが怖くなくて、下からもできるので面倒くさい相手です」
──戦績は少ないですが、実力的には過去の相手と比較して、どの程度だと考えていますか。
「かなり上の方の選手だと思っています」
──前回の試合、評価がかなり高かったです。
「試合中は押しこみの攻防が多くて、つまらない展開だと思っていたので、終わったあと周りから褒められて驚きました」
──男前の試合という評価でした。
「男前というか……『藤野さん、パンチを避けないのですか』と聞かれて(笑)。避けているつもりですけどって返答して……(苦笑)」
──その反省を生かしタイトルマッチでは、どのような試合をしたいですか。
「基本的に自分のスタイルは確立されているので、できることも変わりません。精度を上げて、自分がやりたいことをやるだけです。一本やKOできる相手だと思っていないので、25分間で全てを出し切るつもりでいます」
──BBA舐めるなという決まり文句ができましたが、その辺りの気持ちは?
「7月も女子で大きな試合があると思うのですが、持ち上げられている選手じゃなくて、こっちは這い上がってきたんだというのがあります。だから、這い上がってきた強さを見せたいです。この世代を越えなくて、自分が女子格の中心とか言うなよ、と」
──試合の強さを見てくれということですかね。「う~ん、這い上がってきた世代は皆強いと思っているので。技術も体も気持ちも全部、そこの強さを見せたいと思っています」
──パンクラスのベルトを目の前にして、改めて想いを。
「タイトルマッチ、3回ぐらいやってきましたが、これが本当に最後だと思うので、このベルトを自分のモノにしたいと思っています。
手にできたら、その瞬間に辞めても良いぐらいの気持ちで挑みます」
ヴィヴィアニ・アロージョのコメント
またパンクラスに動画で届いたヴィヴィアニのコメントは以下の通りだ。
ヴィヴィアニ・アロージョ
「みんな、元気? パンクラス298という日本で最も大きなMMAイベントに、ストロー級タイトルマッチのオファーを受けて参加できるなんて凄くハッピーよ。
私の相手は地元のエミ・フジノだけど、8月5日は凄い試合をUFC Fight Passで見て、私の応援してね。押忍!」
会見後の単独インタビュー「アメリカとベルトを考え、ベルトを選んだ形です」
なおMMAPLANETでは──公共交通の運転見合わせという事態が関係し、当会見終了間際に会見場に到着したということもあり、パンクラスより特別な配慮を頂き、藤野の個別インタビューを以下のように行った。
──8月5日にパンクラスでのタイトル戦が決まりましたが、我々記者の間では同じ月に名古屋で開催されるRIZINという線も、豊橋出身の藤野選手にはあるのではないかという風に噂されていました。
「ありがたいことにパンクラスさんと同時期にRIZINにも声を掛けてもらい、少し後にROAD FCもオファーをくれていました。私やファイトフォームとしては5月の試合はINVICTA FCに出るために戦ったので、9月のインヴィクタFCで出場できないかという気持ちもありました。
チームも津田(勝憲※夫君及びトレーナー)も『自分で選べ!!』ということになって、自分の気持ちとしてはインヴィクタかパンクラスでほぼ決まっていました。アメリカかベルト、それはずっと私のなかで目標だったので」
──結果、パンクラスのタイトル戦を選んだ一番の要因は何だったのでしょうか。
「いつも言っているように、いつ最後になるか分からないです。体もごまかしながらやっていることもありますし、古傷がいつ爆発するのかも分からない。『次が最後になるかもしれない』と思った時、念願の米国での試合──でもアンダーカードとかで、UFC ファイトパスぐらいでしか、応援し支えてきてくれた日本の人に見てもらえない。
対して、こないだのパンクラスの試合は凄く回りの人が喜んでくれたんです。女子がパンクラスでメインを張れるっていうのは有り難いです。そして相手は誰もが強いと認めるヴィヴィアニです。アメリカとベルト……を考えベルトを選んだ形です」
──ここに勝ってインヴィクタFC、あるいはUFCということはもう考えていないということでしょうか。
「勝てたら、繋がると思います。でも、そのことを考えるのは勝ってからです。この試合は、次を考えることができるほど簡単なモノじゃないです。ファイターとして、私を評価し、私をメインで使ってくれる──なので全力で戦います」
──RIZINという舞台で『BBA舐めるな』という台詞があれば、藤野選手も全国区になれたのではという気もしていたのですが……。
「その先に何がありますか? RIZINがファイターとしてだけの私を評価してくれたなら、名古屋大会でなくて7月のさいたまスーパーアリーナだったはず。当然、うちの実家がパチンコ屋をやっているのも知ってのオファーだったろうし、そういうことも含めて評価されるということなのでしょうが……ファイターとしての藤野恵実をパンクラスさんは評価してくれました。
私はずっとファイターとしてだけの評価が欲しくて、海外に行きたいと思ってやってきたんです。日本にいる限りは他の要因が絡んでくる。チケットをどれだけ売れるのか、女子ならそれこそビジュアルも。さっきも言ったように、そこも含めてプロフェッショナル・ファイターなんですけど、そういう背景も関係なくファイターとして評価をしてくれたタイトルマッチなので、これが最後になってもというつもりで戦い抜きます」