【Grandslam07】ザ・潰し合い。工藤諒司の対戦相手は、ブラジリアン柔術の使い手=鈴木琢仁に!!
【写真】若手×ベテランという風潮が強い最近の日本のMMA界にあって、期待の新鋭同士の潰し合いがグランドスラムで実現する(C)PANCRASE & KAORI SUGAWARA
13日(火)、GRANDSLAMより25日(日)に東京都江東区のディファ有明で開催されるGrandslama07に出場が決まっていた工藤諒司の対戦相手が、鈴木琢仁に決まったことが発表された。
インハイ出場経験があるレスリングベースかつ空手の経験を持つ工藤は、昨年7月にアマ修斗関東選手権でぶっちぎりの強さを見せつけて優勝、10月のTTFC07でプロデビューを果たし12月にはプロ修斗で勝利、2試合連続TKO勝ちの注目のルーキーだ。
今大会には早々と出場が決定していたが、なかなか対戦相手が決まらなかった。その背景には3月と4月に国内MMA大会の開催が多いことも関係しているだろうが、キャリア3戦目の割には、その強さが群を抜いているという評判の工藤との対戦を避けるという向きもあったようだ。
そんな工藤戦のオファーを二つ返事で師匠クレベル・コイケとともに了承したのはブルテリアボンサイ所属、競技ブラジリアン柔術をケージで実践する鈴木だ。一昨年のネオブラ優勝者は昨年2月に牛久潤太郎との新世代対決を制するも、11月には田村一聖に完敗。
得意のガードからの仕掛けを、完全に潰された形となった鈴木は工藤戦というキャリア再構築に際し、リスクの高い一戦を買って出たことになる。ネオブラ優勝はJ-MMA界においてプロ修斗新人王と並び、将来が嘱望されるファイターだけが手にできる特急券だ。
鈴木もその切符を手に杉山和史戦を経て田村戦という、勝てばフェザー級第一線に躍り出る機会を得た。まだその切符が使用期限が残っている状況で、キャリア2勝の工藤戦に臨む鈴木。今や十人十色のキャリアアップ方法が存在するなかで、巡ってきた機会を逃さないという彼の気概の表われといえる。
下になることはMMAにあって悪、上を取るのが正解のなかで敢えてガードワークからスイープやサブミッションを狙う鈴木のようなタイプのMMAファイターは珍しい。グラップリングでは、その手のスタイルの持ち主と練習ができてもMMAでハーフから潜りや極めへの連係を想定して戦う機会は非常に稀だ。
いわば工藤にとっても、鈴木とのマッチアップは未知の領域にチャレンジすることになる──要・注目の対戦だ。また今回の発表ではライカの対戦相手が、韓国のジョン・スルギに決定したことも併せて明らかになっている。MMAではプロ&アマを通して1勝1敗のスルギは、ウーシュウ(=武術)・クィーンの異名を持つキックボクサーで、立ち技戦績は13勝7敗のキックボクサーだ。
2012年ウーシュウ=散打のアジアン・ゲーム銅メダリストで韓国の散打ナショナルメンバーでもある彼女はチョルラド(全羅道)ナムウォン(南原)のキック王者でもある。韓国の女子散打は本場中国、そしてフィリピンなど散打が盛んな地域と違い、女子の立ち技格闘技の試合数が少ないためにキック系の選手が出場する傾向が強い。
つまり散打特有のサイドキックや首投げという技術をジョン・スルギがどこまで有しているかは未知数といえる。MMAの経験値は少ないスルギだが、ライカの接近戦を許さない足技、ゼロ距離になった時の投げ技があると、かなり怖い相手になる可能性もある。