【EJJC2018】ルースター級、澤田伸大──攻めた結果の初戦敗退
16日(現地時間・火)から21日(同・日)にかけてポルトガル、リスボンにあるパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスにてIBJJF(国際柔術連盟)主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催された。ヨーロッパを中心に、各国から強豪が参戦したこの大会の模様を、日本人選手の活躍を中心にレポートしたい。まずは初出場の澤田伸大のルースター級での奮闘ぶりからお届けしたい。
<ルースター級1回戦/10分1R>
ヴァンサン・グエン (フランス)
Def. by レフェリー判定 (ポイント2-2 アドバンテージ1-1 ペナルティ1-1)
澤田伸大 (日本)
試合開始後、同時に座る両者。そのままお互いに下を譲らず、べリンボロを仕掛け合ってはブレイクされる展開が続く。お互いペナルティを1つもらった後、グエンの方が上を選択してアドバンテージを獲得した。
澤田はラッソーやスパイラルガードで足を絡めつつ、グエンの体を引きつけて崩しにかかる。しかしグエンも胸を張って耐えては膝を入れ、また澤田の足をさばいて横に動いてのパス狙いを見せる。それに対して足を効かせて下から仕掛ける澤田という、上対下の攻防が続いた。
残り4分過ぎとなったところで、グエンの左腕を下から脇を抱えた澤田は、強烈に引きつけてグエンのバランスを崩してトップを奪取する。2点先制した澤田は、グエンの左脇を刺して胸を合わせ、必殺の澤田バー(独自の仕掛けからの腕十字)を狙える体勢に。しかしグエンもディープハーフの形で足を絡めながら、差された左腕で澤田のギの裾を掴んで防御する。
続いてグエンは澤田の裾を右に持ち替え、さらに澤田の股間越しに通した左に再び持ち替える。やや前のめりの体勢の澤田は足を抜きにかかるが、グエンは空いた右腕も使ってそれを許さない。残り2分半あたりで、グエンはディープハーフから横回転して腹ばいになるような形で上に。が、澤田が腕を狙い続けていることでまだポイントは入らない。
相変わらずグエンの左脇を取っている澤田は、下から左足をグエンの脇にこじ入れると、澤田バーへ。グエンの左腕を伸ばしフィニッシュを狙うが、グエンは思い切って前方回転。仰向けになると同時にヒジをずらしてエスケープし、体を翻して上になってみせた。これで澤田に腕狙いのアドバンテージが与えられると同時に、グエンには2点が与えられることに。
残り1分、ポイントは2-2でアドバンテージもマイナスポイントも全く並んだ両者。澤田は再び下から腕を狙い、またバタフライガードで崩そうとするが、グエンもバランスを保ち続けて同点のまま時間切れに。
レフェリー判定は、なんとグエンに。上下が成立した後、澤田の方が下から攻撃する時間が多く、さらにあわや一本という場面まで作って見せたことを考えると、不可解とも思える判定だ。しかし、序盤はお互い下を譲らず、このまま続けば両者反則失格という流れの中であえて上を選択したのがグエンの方なのも事実。
点差が付かなかった場合、いつまでも続きかねないダブルガードの膠着を良しとせず、不利を覚悟の上で上下の攻防を成立させた側を勝者とする判断は、あながち間違いともいえないだろう。
とまれ、澤田が初の黒帯国際舞台において、前回3位の強豪を追い詰めたことは特筆に値する。選手たちがベリンボロ等モダン系スイープを狙う姿が目立つ軽量級において、独自の技術で一本を狙う澤田の戦いは新鮮だった。今後ますますこの技を磨き、世界が恐れる必殺技に仕上げてほしいところだ。