【ONE63】アレックス・シウバの挑戦を受ける内藤のび太 「恐怖心しかない。本当に未知の世界」
【写真『みどりのマキバオー』の漫画家、つの丸氏によるのび太が描かれたTシャツを着たチャンピオン。UNDEFEATEDの文字が力強い(C)MMAPLANET
タイのバンコク、インパクトアリーナで9日(土・現地時間)に開催されるONE63「Warriors of the World」。同大会のメインで内藤のび太がアレックス・シウバを相手にONE世界ストロー級王座2度目の防衛戦に臨む。
昨年5月に同じインパクトアリーナでデェダムロン・ソーアミュアイシルチョークを倒し、王者となったのび太は10月にジョシュ・パシオを下し初防衛に成功も、そこから1年2カ月も試合がなかった。
思い出の地、バンコックで迎える初めての組み技の猛者との対戦を前にのび太の心境を尋ねた。
――去年の10月にジョシュ・パシオとの初防衛戦以来、14カ月振りの実戦となりました。パシオ戦後はどのような2017年を思い描いていましたか。
「前半か夏ぐらいには防衛戦が組まれると思っていましたが、ちょっと時間が空いてしまいましたね。ハハハハ」
――笑っていますが、笑い事でもなかったかと……。
「まぁ、焦ってもしょうがないですし……お金は切迫していますけど(笑)。夏にはあるかなと思っていたので。そこがない状況から、あるかも、ないかもという状態で急に今回の試合が決まった形です」
――コンテンダーに相応しい連勝をしている選手がいなかったのも影響した感はありますね。
「色々とONEにも思惑はあったでしょうし、試合がなくてもチャンピオンでいる期間が長くなるのも良いかなって。アハハハハ」
――そのなかで8月に鈴木隼人選手がパシオをRNCで仕留めて、ストロー級戦線に加わってきました。
「鈴木選手が勝った時、次はやることになるだろうと思っていたんですけど、やっぱり日本人同士は嫌なのかなと。僕は鈴木選手がパシオに勝ったのだから、挑戦者に相応しいと思っていました。
鈴木選手の実力を知っているので。僕がたまたまタイミング的に早くONEに上がることになって、いきなり挑戦できたのですが、逆だったら鈴木選手が先に挑戦して、僕が1試合、2試合と勝たないと挑戦できていなかったと思います。
鈴木選手には申し訳ないという気持ちもあります。だから、この立場はいつか逆転することだってあるかと思います」
――先月の鈴木選手とアレックス・シウバの一戦、試合前の勝者予想はどちらでしたか。
「鈴木選手が勝つと思っていました。多分、あそこの腕十字を防ぐことができていたら、鈴木選手が勝っていたと思います」
――シウバに関して、それまでに意識をしたことはありましたか。
「一度、黒帯の強い人がいるから対戦するかもという話もあったんです」
――そういうことがあったのですね。シウバに関しては、勝ってきた相手を見ると、今一つ実力を測り切れないところがあります。
「ただ、あれだけ皆が知っているのに極まるというのは、あの腕十字はシステムがなにか確立されているのでしょうね。鈴木選手に勝った試合では、足で頭を抱えていなかったのに極めていますからね」
――確かに顔を足で刈っていなかったですね。
「あの十字を日本でやってくる人はいないです。巴十字も上手いですし。アレを逃げられても、逆の腕を取ることができるから相当ヤバいなって思いました。チョークや足関節でも勝っていますし、一応は全部できるんでしょうね」
――王座に挑戦した時のデェダムロン戦と比べて、寝技ができるブラジル人と戦う今回と、精神的にはどちらの方がプレッシャーを感じていますか。
「置かれた立場として、デェダムロンと戦う前の方が怖かったです。修斗の世界王座を返上して、いきなり挑戦する試合だったので勝てなかったらどうしようという部分で。絶対に負けられなかった試合でしたから。
ただアレックス・シウバ個人に対しては、恐怖心しかないです。自分より寝技の強い人と戦うのは、本当に未知の世界なのでどうなるのかは分からないです。僕は凄く嫌ですけど、見てくれる人は面白いかと……。分からないですけど(苦笑)。
ブラジリアン柔術黒帯と戦ったことはないですし、柔術の大会でも優勝しているのは、本当に強いでしょうし。人としては今回の方が脅威を感じています。デェダムロン戦は倒せば何とかなる、そこに光明を見出すことができると思って戦うことができたのですが、今回はその倒してからが強い相手なので……」
――得意分野が重なり、向こうの方が上かもしれないと。
「フェイスオフで向き合った時も、体が強そうでした。試合を見ていても、失速してからも粘っているので完全には折れない人だと思います。
僕が勝てるのは、スタミナだけ。そこを頼りに何とか、心の拠り所にして最初の仕掛けを凌いでスタミナ勝負に持ち込みたいと思います」
――最も気をつけないといけない点、どのような試合をしたいのか。これから尋ねようと思っていたところを全て話してもらえました(笑)。
「スイマセン(苦笑)。とにかく最初の仕掛けですね。あの体はバキバキなので5Rは持たないと思いますし。皆、練習でも腕十字をどんどん狙って来てくれましたし。準備期間はそれほどなかったので対策は練り切れていないですが、この間もずっと練習をしてきたので、そこをぶつけたいですね」
――試合がなくても積んできたものがあると思います。
「一応、打撃もやってきているんですけど……試合で出ないのでどうなるか分からないですねぇ(苦笑)。1年間ずっとやってきたので大丈夫だと。そうですね、打撃を出すことができればなと思います」
――のび太の名前もONEでは定着してきました。ヨシタカ(禎貴)・ノビタ・ナイトウとコールされます。
「なんかコンビみたいですよね。内藤のび太&禎貴って、誰やねんって(笑)。漫才コンビみたいです、2人なんかって。まぁ、どっちでも良いですけど(笑)」
■ONE63対戦カード
<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]内藤のび太(日本)
[挑戦者]アレックス・シウバ(ブラジル)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
シャノン・ウィラチャイ(タイ)
ラスル・ヤキャエフ(ロシア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
朴光哲(日本)
クリスチャン・リー(シンガポール)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
デェダムロン・ソーアミュアイシルチョーク(タイ)
渋谷莉孔(日本)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
リカ・イシゲ(タイ)
ローム・トリニダッド(フィリピン)
<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ション・ジンナン(中国)
エイプリル・オセニオ(フィリピン)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
セゲッダーオ・ペットパヤータイ(タイ)
ジミー・ヤーボ(フィリピン)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ヨーサナン・シットヨートン(タイ)
トディ・マルディアン(インドネシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
クリッサダ・コンスリチャイ(タイ)
ラビン・カタラン(フィリピン)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
タン・ダフェン(中国)
アシュラフル・イスラム(バングラデシュ)