【JBJJF】北日本柔術選手権 草柔会岩手・阿部宏司代表 「指を咥えて見ているだけでは何も変わりません」
【写真】底辺の拡大、実力の伸長をテーマに掲げる阿部代表と草柔会岩手の面々(C)SOJUKAI IWATE
21日(日)、岩手県盛岡市の盛岡市立武道館で開催されるJBJJF主催の第1回北日本柔術選手権。同選手権に協力している草柔会岩手の阿部宏司代表に、大会への思いと東北における柔術の盛り上がりについて訊いた。
Text by Takao Matsui
――記念すべき第1回北日本選手権が、岩手県盛岡市で開催されることになりました。
「これまで東北オープンという形で開催に協力をさせていただいてきましたが、日本ブラジリアン柔術連盟の浜島邦明事務局長から『北日本選手権として開催しませんか』と打診があり、今回実現することとなりました」
――東北オープンは、昨年まで6度開催という実績がありました。
「2008年から1回目の大会が開催された東北オープンは、2011年に起こった東日本大震災の影響でしばらく途切れましたが、再開後も順調に実施されていました。今回、北日本選手権になることで、さらに盛り上がっていくのではないかと期待しています」
――岩手県を含めた東北地方は、他の地方と比較してブラジリアン柔術に対する熱はどう感じていますか。
「負けないくらい高いと思います。ただ関東はもちろんですが、九州、関西、四国、中国と比べると北東北の大会は参加人数が少ないかもしれません。なかなか集まれない距離的なハンデもありますし、車で会場まで2、3時間かかる地域もあります。12月から3月までの冬季は、天候によって左右されますので大会開催が厳しく、移動できないことも考えられます。そういう意味では他の地域に比べて、条件が厳しいかもしれませんね」
――雪が積もる冬季の間、道場での練習は、どうなっているのでしょうか。
「常設道場は暖房環境が整っていますので大きな問題はありませんが、地方の施設の体育館を使用させてもらう時が大変ですね」
――それらの施設だと、冬場は室温が低いということでしょうか。
「一桁ならばまだいいですが、窓が凍っていて氷点下近くまで達する時もあります。指先が冷たくなっていて感覚がない日もありますね」
――氷点下!? それでも、練習を続行するわけですね。
「みんな寒いのは慣れていますから、あとは我慢です。早く春になれと、励まし合いながらやっています(笑)」
――草柔会岩手も常設道場を構えてからは、変化がありましたか。
「道場生が急激に増えていますので、大きな一歩になったのは間違いないです。30代、40代が多いのですが、1年くらい前から女性が増えてきました。もう少し時間ができるようになれば、キッズクラスにも力を入れていきたいです」
――競技志向の選手はいかがですか。
「うちの道場は、比較的、競技志向の会員さんが多いです。2011年と2014年の東北選手権では団体優勝していますので」
――今はインターネットを通じて技術を学ぶことができますが、首都圏と比較して技術的には地域差というものは減少しているのでしょうか。
「たしかにネットやDVDなどで、基本的なテクニックの部分は学ぶことはできるでしょう。でもトップ選手の動きのディティールまでは、映像でわからない部分もあります。だから自分が関東まで出稽古をさせていただいて、できるだけ吸収するようにしています」
――なるほど。出稽古は、どこで行われるのでしょうか。
「フィジカルスペース荻窪の大塚博明選手にお世話になっています。大塚選手は青森県の八戸出身で、岩手でセミナーを開いてもらったこともあります」
――ところで阿部選手も昨年は東京国際、全日本マスター選手権のマスター1茶帯で優勝しています。
「昨年の東北オープンは、少しでも盛り上がればと思い、アダルト茶帯にエントリーして後藤拓磨選手と試合をさせていただきました。今回も北日本選手権で、アダルト茶帯にエントリーしています。誰かがエントリーしてくれることを期待しています。
ひとつだけ言えるのは、確かに他の地区と比較すると自分たちの環境は、あまり恵まれていないのかもしれません。でも、ただ指を咥えて見ているだけでは何も変わりません。こういう環境でも、俺たちはできるんだということを見せるべきですし、そうしたいと思っています」
――阿部選手だけではなく、東北地方で活躍する選手が増えれば、なお盛り上がりますね。
「草柔会岩手の話になりますけど、昨年、髙橋大記選手が全日本選手権でアダルト紫帯ライト級3位、東北選手権アダルト紫帯ミドル級優勝、東日本選手権アダルト紫帯ライト級優勝をはたし、紫帯ランキング6位になり大いに盛り上がりました。彼のような選手がたくさん出てくると、希望が持てるようになります。自分も含めて頑張りますので、皆で柔術を盛り上げて行きましょう!!」