この星の格闘技を追いかける

【Shooto】斎藤裕に敗れた3日後に宇野薫が語っていたこと─前編─「ただ我慢しただけの試合だった」

Caol Uno【写真】取材直前に宇野の指導を受けていたUNO DOJOの会員さんから想像できなかったかと思われるが、インタビュー中の宇野は何かを思いつめたような厳しい表情に終始していた。(C)MMAPLANET

4月23日に斎藤裕の持つ、修斗世界フェザー級王座に挑み判定負けを喫した宇野薫。

SNSを通じて、試合直後に現役続行への意志表示をしていた彼を下を──26日、試合の3日に訪ねた。自ら考えるところの敗因、そして敗れたという状況に対する想い。そして、これからを語ってもらった。


──試合が終わって3日しか経過していないですが、今の気持ちを教えてもらえますか。

「負けですからね……いつもと同じ、どうしようもない気持ちでいます。練習してきたことが出せなかったので、『たられば』が自分の気持ちのなかに出てきてしまって」

──戦術としては、どのような試合展開を考えていたのですか。

「自分の戦術としては、打撃をなるべく被弾せずテイクダウンを取って、自分のペースでスクランブルの状態に持ち込む。そこからバックを取る、そして極めるというモノでした」

(C) SUSUMU NAGAO

(C) SUSUMU NAGAO

──実際にはテイクダウンを奪われ、斎藤選手がイニシアチブをとるスクランブル戦となり、下になる場面が多くなってしまいました。

「踏ん張れなくて、引き込む形になることもありましたしね。斎藤選手も僕が下になったところで、立たせないよう削ってきました。そこを僕が崩すことができなかった。自分では崩せるんじゃないかと思うところもあったのですが、それができなかった。

試合前にもそんな風になることを想定していなかったわけではないですけど、パーセンテージとして割合は少なかったです。また青木(真也)君と会って話さないといけないのですが、下になってももっとできるという過信があったのかもしれないです」

──あそこまでテイクダウンを取られることも想定していなかった?

「そうですね。ああいう風に組んでくるとも思っていなかったというのは、自分の中であったかもしれないです。全体の組み立てとして。逆に組んでもらえたから、安心感があったのか仕掛けるのも遅くなりました」

──ガードで蹴り上げて、斎藤選手がバランスを崩したにも関わらず、立ち上がる素振すらなかった時は、どうしたのだろうかと思いました。

「アレは実は……反則ギリギリの蹴りで、斎藤選手もそのようなことを口にしていましたし、レフェリーに止められるかと思ったんです。そこで反則は取られず──続行という声が掛かった感じでした。

ただ、レフェリーが実際にストップを掛けていないのに、バランスを崩した斎藤選手に対してアクションが取れなかったのは……」

──あぁ……そういうことだったのですね。以前はロープ際、ケージ際のグレーゾーンで躊躇なく攻勢に出ていた。そういうギリなところにも宇野選手の勝利への拘りが出ていたと思うのですが。

「別に試合中だし謝ることもなかったですけど、止められるという判断をしてしまいました。

5Rがあっという間に終わってしまいましたね。一番良いパフォーマンスをしないといけない日に出なかった。その部分で悔しさが残ります」

──斎藤選手はスタミナをロスしないよう、立たれてもその先の形を作ってヒザ蹴りをボディに数多く突き上げていきました。

「スクランブルから立ち上がった状態でも、ヒザをもらうような距離を作ってはいけなかったのに、それを許してしまって。ダメージはなかったのですが、印象は悪かったと思います。あそこでも斎藤選手の組み手の強さ、上手さは戦っていて感じました。効く、効かない以前にあの形に入られ、崩せなかったです」

──戦いながら、焦りや上手くいかないという気持ちはあったのですか。

「いえ、そういうことはなくて仕掛けが遅かった。考えてから動いていて、反応として動くことができなかった。落ち着いてはいたのですが、もっとデキることはあった。引き出しにしまったまま終わってしまいました。練習では出せるのに、試合では出せない。それが今後の課題になってくると思います。

『良い試合だった』と言ってもらえたのですが、ただ我慢しただけの試合だったので……」

<この項、続く>

PR
PR

関連記事

Movie