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【ADWP2017】ワールドプロ110キロ級 準決勝のサントス戦=スクランブル柔術を制したジュニオールが優勝

4月18日(現地時間・火)から22日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のIPICアリーナ行われたアブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2017。

各階級にて世界のトップクラスが競い合い、このスポーツのレジェンド達による戦いも組まれたこの大会。レビュー最終回は圧倒的な瞬発力と極めを誇る怪物エルベース・サントスが出場した最重量110キロ以下級の模様をレポートしたい。


階級を上げてあえて最重量級にエントリーした注目のエルベース・サントスは、ブラジル予選の決勝で難敵のグスタヴォ・ディアズと対戦。ディープハーフガードからの攻撃を凌いだ後、スタンドから支え釣り込み足で崩し、立ち上がってきたディアズの右足を抱えると改めて軸足を刈ってのテイクダウンで決勝点を奪って本戦に駒を進めた。

そして本戦でも勝ち抜いたサントスは、準決勝でブラジル1位代表にして前回無差別級準優勝、地元UAEに在住し柔術プログラムのチーフを務めるジョゼ・ジュニオールと対戦した。

<110キロ以下級準決勝/6分1R>
ジョゼ・ジュニオール(ブラジル)
Def. by 4-0
エルベース・サントス(ブラジル)

試合開始後、立ち技は絶対不利と見たジュニオールはすぐに引き込み。それに合わせて、得意の飛び込んでの速攻のパスを試みるサントス。しかしジュニオールは、しっかりと足をサントスの腰骨に足を当ててその動きを止めて、クローズドガードにキャッチしてみせた。

フィリッピ・ペナ・プレギーザを含めた多くの世界最高峰の柔術家を翻弄したサントスの暴風雨の如き先制攻撃を、基本に忠実な動きをもってジュニオールが止めてみせた、きわめて重要な一瞬の攻防だった。

とまれ、スタンドでジュニオールのガードの足を押し下げたサントスは、そのままハーフで胸を合わせてアドバンテージを獲得する。さらに強引に足を抜いたサントスは、ワキを締めたジュニオールの両腕の上からマウントに。しかし。中に入った両腕を使ってジュニオールはすぐにディープハーフを作る。一度はサントスにパス&マウントの7点が宣告されたが、やがてアドバンテージ1つに変更された。

得意の形を作ったジュニオールは、丸い体をボールの如く使って後転を仕掛けてサントスを煽る。さらにスクランブルを狙ってヒザを付くが、サントスもすかさず反応してがぶる。サントスはさらに圧倒的なスピードでバックを狙うも、ジュニオールはそれに合わせてくるくると回転。まるで転がるバランスボールとそれに乗り続ける人のような攻防の末、ジュニオールが立ち上がることに成功した。

すると次の瞬間、ジュニオールはクローズへの引き込みを仕掛けて成功させる。スタンディングからガードを押し下げて解除を図るサントスに対し、ジュニオールはその両足首を掴んでバランスを崩してから、再びディープハーフを作る。さらに後転で勢いをつけてから立とうとするジュニオールに対し、サントスは胸の圧でそれを潰す。するとジュニオールはその勢いを巧みにずらしながら、サントスの股下に入り横に回って上を奪取。 怪物が繰り出す圧倒的な直線的圧力を、回転体の動きで制して2点を先取してみせた。

残り2分。下になったサントスは、片襟片袖からクローズドガードに移行。ここでヒザを入れてきたジュニオールに対し、サントスはその腕を強烈に引きつけながら横に崩すスイープ。バランスを崩されたジュニオールだが、ここでまたしてもボールのごとく転がってサントスの股下に入りながら立ち上がり、両者は場外に。ジュニオールは2点のリードを守ってみせた。

残り1分半のところでスタンド再開。サントスはシングルレッグを仕掛けるが、ジュニオールはそれをがぶると再び引き込んでクローズドガードに。後のないサントスは、立ち上がって強引に両足を押し下げに。するとジュニオールはガードを解いて尻餅をつくと同時にサントスの両足に腕を回してテイクダウン。 地元UAEの観衆から大歓声が上がるなか、4-0とリードを広げて見せた。

残り1分。下になったサントスはスパイダーからのスイープや、横に崩すスイープを仕掛けるが、そのたびにジュニオールは立ち上がって回避。さらにサントスはスパイダーを作るが、ジュニオールは低い体勢でそれを凌ぎ切り、ついにタイムアップ。ジュニオールが決勝進出を決めた。

正確な手順を踏んだ技術と、究極の回転系──スクランブル柔術と呼ぶべき動きをもって怪物を翻弄したジュニオールは、サントスと大観衆に勝利を讃えられて歓喜の涙。まさに柔術技術の究極形が輝いた、至高の戦いだった。

<110キロ以下級決勝/6分1R>
ジョゼ・ジュニオール(ブラジル)
Def. by 4-0
クリストファー・ボウ(アイルランド)

アイルランド出身にして、英国のグレイシー・バッバ・バーミンハムにてブラウリオ・エスティマから黒帯を許された長身のボウに対し、すぐに引き込んだジュニオールはデラヒーバガードを作って横に崩して先制点を奪う。下になったボウも、長い足を用いたシングルレッグXやシッティングで崩しにかかるが、もともと重心の重いジュニオールは姿勢を低くして崩れない。やがてジュニオールは一本足を超え、脇を指して胸を合わせてアドバンテージを獲得する。

オープンガードに戻したボウに対して、ジュニオールはニースライドからチョークを仕掛けながらパスに。ほとんどサイドに回りかけるが、ボウは掴んだジュニオールのラペルに足を引っ掛けて戻す。その後もボウがテラビーバやラペルガード、またシッティングからの攻撃を仕掛けるが、ジュニオールは丸い体を低くしてそれを潰しては、低くパスの圧力をかける展開が続いて時間切れ。

準決勝で至高の回転体の動きを見せたジュニオールは、決勝では漬物石に。そのアンコ体型の特徴を存分に活かしての優勝を飾った。UAE在住で、この大会以外では国際大会にあまり姿を見せないジュニオール。世界屈指の技術を持ち主であるが、ムンジアル出場も期待したくなるのだが……。

■リザルト
【110キロ以下級】
優勝 ジョゼ・ジュニオール(ブラジル)
準優勝 クリストファー・ボウ(アイルランド)
3位 エルベース・サントス(ブラジル)

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