【Bellator176】カルバーリョ×マヌーフ、2度目の正直。距離を縮めるのは、どっちだ??
【写真】前回での対戦でも見られたように、この距離での蹴りをまずマヌーフは食うことはない (C)Bellator
8日(土・現地時間)にイタリア、トリノのパラ・アルピツアーで開催されるBellator176「Carvalho vs Manhoef」。昨年4月に続き、2度目のトリノ大会はベラトールにとって通算3度目のイタリアでのイベントとなる。
キックの人気の高いイタリアでBellator Kickboxingとの二階建てイベント、そのMMAの部のメインは大会名にあるようにベラトール世界ミドル級選手権試合=王者ハファエル・カルバーリョにメルヴィン・マヌーフが挑む一戦が用意された。
2015年10月にブランドン・ホージーを左の三日月蹴りからのパウンドで下したカルバーリョは、昨年5月にマヌーフと初防衛戦を戦った。この時は接近戦で打ち合いたくないカルバーリョと、組まれたくないマヌーフのお見合いが続いたが、終盤にテイクダウン狙いを切った挑戦者がトップからマウントを奪うシーンも。さらにテイクダウンも決めたマヌーフは全体の印象点では優ったものの、まさかのスプリット判定負けを喫した。
いずれにせよ、相手の得意とする部分を警戒するあまりに手数が極端に少ない試合となってしまった。その後、昨年12月に両者の再戦は決まっていたが、カルバーリョの負傷で今大会まで延期されたという経緯がある決着戦。
カルバーリョとすれば組んで倒すという部分で、如何にその前段階を創ることができるか。スイッチヒッターでヒザ蹴りを得意とするが、彼のヒザ蹴りが生きるのはダブルレッグやシングルを狙ってくる相手に、だ。タイトル獲得の決め手となった三日月蹴りも、打撃オンリーの攻防だとマヌーフに当てることは難しいだろう。
そんなカルバーリョの一番の強味は我慢強さ。劣勢でも、ファンが痺れを切らすようなファイトでも自分のやるべきことをやる。今回はそのやるべきことのなかに、アグレッシブ性を加えざるを得ない周囲のプレッシャーが存在する。
一方、組みを恐れていたマヌーフにすれば、最終ラウンドに組み負けなかったことで、前回よりも積極的な打撃を繰り出すことができると予想される。その打撃の破壊力は今さら説明の必要はないだろうが、当たったモノ勝ちとなりがちなMMAでの近距距離戦がマヌーフはめっぽう強い。
マヌーフの打撃の何が違うのか。それは拳を打ち込んだあとに、しっかりと戻す引きの速さだ。組みが認められた打撃のある競技の経験者は、この引きのスピードに欠け体に軸を創ることができないケースが間々見られるのもMMAの特徴だ。両者のパンチが届く距離で、軸を持つマヌーフは自然と回転数も上がり、体の力が伝達されたパンチを打つことができる。
ただし、その距離を自ら作ることをキックボクサーもボクサーも、ナックモエも苦手とする。彼らが中間距離に強いのは、その距離で戦う競技特性が多分に要因となっている。j反面、MMAのような遠いレンジが許された戦いでは、真正面の自分の距離を創ることがあまりできない。結果、前回のカルバーリョ戦のように待ちに徹して、打撃戦に持ち込めないという現象が生まれる。
この弱点をマヌーフが克服していれば、これまで以上に彼の打撃力が生き、空振りが減ることでスタミナ切れを起こすこと少なくなるはず。と同時に、自ら前に出ることでよりテイクダウン防御力が問われることになり、スプロールを連続するスタミナが必要となってくる。
まさに得手不得手が表裏一体のマヌーフのMMAに対し、様子見が許されないなかで王者カルバーリョが、どのような試合の組み立てを見せるのか──試合の入り方を間違えると、マヌーフの秒殺KO王座奪取も十分にありえる。組むまでの距離、掛ける時間がまずは最初の山場となる世界戦だ。
■ Bellator176対戦カード
<Bellator世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ハファエル・カルバーリョ(ブラジル)
[挑戦者]メルヴィン・マヌーフ(オランダ)
<ウェルター級/5分3R>
カリントン・バンクス(米国)
ミハイル・ニカ(ルーマニア)
<ライト級/5分3R>
ジャミル・チャン(オランダ)
ヴァレリウ・マチュア(モルドバ)
<女子130ポンド契約/5分3R>
アナスタシア・ヤンコヴァ(ロシア)
エリーナ・カリオニドウ(ギリシャ)