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【EJJC2017】世界5連覇&3階級制覇=怪物レアンドロ・ロ、欧州ではヘビー級と無差別級で優勝

Lo【写真】アジア2冠のカラザンスを無差別級決勝で破り、レアンドロ・ロがヨーロッパ2冠に(C)IBJJF

17日(現地時間・火)から22日(同・日)にかけて、ポルトガル、リスボンにあるパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスにてIBJJF(国際柔術連盟)主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催された。ヨーロッパを中心に、各国から強豪が参戦した今大会。レビュー最終回は、階級を超えた世界王者対決が実現した無差別級の模様を中心にお届けしたい。


ライト級、ミドル級、ミディアムヘビー級と世界3階級制覇&5連覇を成し遂げたレアンドロ・ロは、ヨーロピアンでついにヘビー級にエントリー。決勝でタナー・ライスを絞めで一蹴して優勝を果たした。さらに無差別級でも勝ち進んだロは、準決勝でスーパーヘビー級の新星モハメッド・アリーと対戦。アリーのパワフルなスイープを抜群のボディバランスで耐えると、伝家の宝刀──両足のズボンを掴んで捌くトリアーダ・パス一閃。迅速の体捌きでアリーの頭を超えて270度動いて抑え込み、見事に決勝進出を決めた。

決勝戦でロを待っていたのは、15年に世界柔術ミドル級とADCC無差別級にて、組技世界二大大会制覇を成し遂げ、頻繁に来日し昨年のアジアでもミッドヘビー級&無差別を制したクラウジオ・カラザンスだ。この両者は昨年のアブダビ・ワールドプロ大会85キロ以下級の決勝でも当たっており、どちらも一歩も譲らない激闘の末、レフェリー判定でロが勝利を収めている。そしてこのヨーロピアンの舞台で、再び中重量級の頂上対決が再び実現した──

<無差別級決勝/10分1R>
レアンドロ・ロ(ブラジル)
Def. by 4-0
クラウジオ・カラザンス(ブラジル)

気合い十分のカラザンスは、両襟を取って背負いのフェイント等で崩しに掛かるが、ロも素早く反応。襟を取った状態からレベルチェンジしてカカトを掴んでのタックルを狙うなど、白熱の立ち技の攻防が続く。

やがて引き込んだのはロ。ラッソーガード、片襟片袖、クローズドガード等から仕掛けるが、カラザンスは強固なバランスを保って崩れない。

距離を取って立ったカラザンス。対して、シッティングから右手で片襟を取ったロは、警戒して腰を引こうとするカラザンスの体重移動のバランスを体で感じるかのようにフェイントをかけながら、スーッと腰を左側に移動させてスペースを作るや否やカラードラッグ。 

まさに芸術的と呼ぶべきタイミングで、ものの見事にカラザンスを前方に崩したロは、そのまま後転するように上を取ってみせた。カラザンスは下になりながらもヒザ十字を狙うが、ロがそれに対処しているところで場外ブレイク。ロが見事に2点を先取してみせた。

試合は残り4分半のところでスタンドで再開。両者ともに警戒してペナルティを重ねるなか、再び引き込んだのはロ。今度はカラザンスの左足に絡んでデラヒーバガードを作る。残り2分過ぎ、ロは再び後転しながら、カラザンスを前方に崩してのスイープに成功する。下になったカラザンスは、懸命に動いてハーフから脇を刺す者の、世界屈指ボディバランスを誇るロは、巧みに腰を切って上をキープ。さらに絡まれた脚を抜きにかかったところで時間切れを迎えた。

去年に続き実現した中重量級頂上対決は、またしてもロに凱歌が上がることに。現在世界最高の柔術家の座を、改めて揺るぎなきものとしてみせた。

それにしても感嘆すべきは、ロが最初に決めたカラードラッグ・スイープの見事さだ。それは極めて単純な原理の動きのなかに、鍛え抜かれた身体能力、相手の体重移動を感じ取る繊細さと反応速度、腰で地を這うがごとき全く無駄のない身体の運用の全てが詰まった、至高のアートと呼びたくなるものであった。

■リザルト

【ミドル級】
優勝 マルコス・ティノコ(ブラジル)
準優勝 アレク・ボールディング(米国)
3位 イサッキ・バイーズ(ブラジル)
3位 ジェイミー・カヌート(ブラジル)

【ミディアムヘビー級】
優勝 ホドリゴ・ファジャード(ブラジル)
準優勝 ホーランド・モンテイロ(ブラジル)
3位 マテウス・ソウザ(ブラジル)
3位 ヴィニシウス・カルバーリョ(ブラジル)

【ヘビー級】
優勝 レアンドロ・ロ(ブラジル)
準優勝 タナー・ライス(米国)
3位 アダム・ワジンスキー(ポーランド)
3位 ユハ・ユーホリン(フィンランド)

【スーパーヘビー級】
優勝 モハメッド・アリー(ブラジル)
準優勝 ルシオ・ロドリゲス(ブラジル)
3位 クリストファー・ボウ(アイルランド)
3位 ヴィトー・マルチンス(ブラジル)

【無差別級】
優勝 レアンドロ・ロ(ブラジル)
準優勝 クラウジオ・カラザンス(ブラジル)
3位 モハメッド・アリー(ブラジル)
3位 マニュエル・フィリョ(ブラジル)

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