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【Column】妄想UFC

2017.01.23

UFC【写真】UFCは年間40以上のイベントが開催され、1大会で12試合から13試合が組まれる。契約ファイターは500人以上、ヴェネッサ・ハンソンの名前は憶えられても選手の顔と名前が一致しない……(C)MMAPLANET

世界最高峰に出場している選手の顔と名前が一致しなくなって、どれくらいになるだろうか。契約者数は11階級目のクラスとなった女子フェザー級を含めて550人から600人。ライト級やウェルター級など単独で100人前後のファイターと契約している。

UFCでは今、ライアン・ベイダーやアンドレ・フィーリというランカーが契約を更新しなかったのか、契約を打ち切られたのか分からないがリリースされている。その一方で新たにサインをする選手も次々と出てきている。

そもそもこれだけの数のファイターと契約する必要はあるのだろうか。選手との契約数が多い分、世界最高峰とされるイベントで見せる試合なのかという質の悪いファイトがオクタゴンでは増えた。

3年も前になるが、UFCが初めてシンガポールで開かれた時、米国人プレスが「これはONE UFCだ」と言い、同じ年のブラジル・ベロオリゾンチ大会では別の記者が「ジャングルUFCだな」と、現地のほかのプロモーションの名前を引き合いに出して、質の低下を指摘していた。もちろん。僕は彼らに同意し話を続けた。

UFCが常に最高の舞台であること──を、昨年を例えにすると年間41ものイベント開催数が不可能にしている。これだけの数の興行があることで膨大な数の選手を抱え、出場機会を与えるために一つのイベントの多くで12試合から13試合が組まれる。

41イベントの内訳は13のPPV大会と4つのFOX大会、2イベントはTUFフィナーレで、残りの22大会がUFC Fight Nightだった。勉強不足を棚に上げて断言すると、UFC Fight Nightのプレリミではキラリと光る選手に遭遇する機会は今もあるものの、員数合わせ的な選手も決して少なくない。

世の中で絶対的に特殊な部類に入るほどMMAが好きな自分ですら、土曜の深夜や日曜日の午前中にPCの前で「あぁ、早く終わらせろよ」なんて呟いてしまう。

大体、UFCで6勝2敗とかいう選手の試合なんて見たくない。10勝以上、2敗以下ぐらいでないと──オクタゴンで頂点に立つという期待は持てないだろう。

UFNは基本、米国内ではFOX Sports1とUFC Fight Passの組み合わせで中継されている。大体メインが6試合、プレリミが4試合、アーリープレリムは2、3試合という構成だ。米国外では全てファイトパスで視聴でき、米国ではプレリミからFOX Sports1で中継され、アーリープレリミがファイトパス。2大会ほどプレリミはFOX Sports2で放送され、メインからFOX Sports1が引き継ぐという形が採られていた。

また世界ライト級選手権試合=ハファエル・ドスアンジョス×エディ・アルバレス、アンデウソン・シウバ×マイケル・ビスピンがメインだった2大会と、無名勢がズラリと揃ったUFN102など5大会は、ファイパス中継のみでFOX系での放送はなかった。

これらの大会はアーリープレリムという設定もなく、メインは4試合、プレリミは7~9試合という組み合わせだった。

『妄想と暴論を融合させたアイデアが閃いた』

きっとFOXではUFCを浸透させるためにこれだけのイベント数が必要なんだろうけど、このプレリミのFOX Sports1での中継はなくしてしまって、メインは6試合=3時間のFOX Sports1中継を行い、プレリミにあたる6、7試合をファイトパス中継しているプロモーションの試合を組み、同じ会場でやってしまうのはどうだろうか。

現状、メインとプレリミとぶっ通しで5時間の枠を持ち、自分が仕事じゃなければ見ないぞ──と思うカードが含まれているのだから、ギュッと中身の詰まった世界最高峰に相応しいトップ集団入りを賭けた試合だけを並べるわけだ。

フロリダ州の大会ならTitan FC、カリフォルニアやメキシコはCombat Americas、中西部はInvicta FCかVictory FC、欧州は英国ならCage Warriors、カナダはケベックだとTKO、豪州はBrace、ブラジルはShooto Brazilと合同興行、日本にはパンクラスと修斗がある。

UFCは会場使用料とUFC出場選手分のコストを支払い、FOXの放送料を得る。ローカル・プロモーションは出場選手のコストを支払うのみ。スポンサー費とUFCからはFight Pass放映料を受け取る。チケット収入の取り分はローカル・プロモの取り分が1/4や1/3だとしても普段は2000人も入れば恩の字のイベントを開いているのだから、7000人から1万人が入り、チケット自体が高額のUFCとの合同興行は失うものがないだろう。

UFCとすれば、これでTVマッチとしてUFNは活用でき、19大会×プレリミ6~7試合に出場する200人近いファイターのカットも可能だ。

ファンはUFCのファイトマネーが安いとよく言うが、ベガスでは会場がガラガラの状態のプレリミに出ている選手が最低でも8000ドルを手にし、2万ドルや3万ドルを得ることができるファイターがザラにいる。

チケットを買ったファンが会場にすら姿を見せない状況で戦っている選手にこんな額を支払えるのは、間違いなく世界中のMMAプロモーションでUFCしかない。UFNのローカルイベントとのコラボ化は、そんな出費を抑えUFCの名に相応しい試合だけをTVで一般層に届けることを可能にし、全てがUFCマッチのPPVとFOX大会がよりステータスを持つイベントとなる。

これを機に各プロモーションのタイトル戦は5分×3Rに戻すべきだ。ローカル王者は5分×5R戦う必要はない。彼らはUFCへ行くと、5分×3Rの生き残りマッチが待っているのだから、如何に5分×3Rで良いパフォーマンスが出せるのが命題。無駄に5Rを経験する必要はない。

ファン目線でいえば、コアファンはFight Passで従来通り、今後UFCに上がって来るであろう選手をチェックできる。実際に会場に足を運ぶとなると、チケットはやや割高になるが、手売りを求められている選手やジム関係者の知人や友人は年に1度だけ、高額になるものの1枚のチケットで友人を応援し、UFCも楽しむことができるようになる。

仮に日本大会でこのような形式でイベントが行われるとしよう。パンクラスから3試合、修斗から3試合をプレリミで行う。なんなら対抗戦でも良い──というような妄想までは自分ですらできない(笑)。

「そんなのUFCじゃない」と言われるかもしれない。では2013年以降、北米直輸入という雰囲気がUFC JAPANにどれだけあっただろうか。年々、日本版UFCという傾向が強くなり、少し前まで修斗、パンクラス、DEEPで見ていた選手が多く出場しているのだから、プレリミで久米×北岡や宇野の試合が見られた方がお得感はないだろうか。

こうなったら、ダナ・ホワイト・ルッキン・フォー・ア・ファイトも、そこでやってしまえば良い。

UFC日本大会のプレリミ──Pancrase in UFCでKOPバンタム級王座の成功した石渡伸太郎や、Shooto in UFCで修斗世界フェザー級のベルトを守った斎藤裕を見て──あるいは午前10時ぐらいに戦った田丸匠や阿部大治に関して、ダナとマット・セラ、そしてディン・トーマスが「こいつ良いなぁ」、「UFCで見たい」となるわけだ。

世界各国で彼らに相当するファイターの控室をダナが訪れ、「君の場所をUFCで用意しておく」とか直接言う。そんなシーンがFight Passだけで視聴できるなら、各国のコアファンはもっとFight Passを購入するのではないだろうか。

ここまでUFCのヒエラルキーが成立すれば、非UFCヒエラルキーと色分けがファンも容易になり、日本人ファイターも進路を明確に分けて考えることできるようになる。

で、大切なことはここからだ。自分は名前と顔が一致した選手の試合を集中してチェックできるようになる。結局のところ、楽がしたい──というわけだ。チャンチャン。


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