【UFC204】ビスピンが逆転で王座防衛。ダン・ヘンダーソンは引退宣言
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
マイケル・ビスピン(英国)
Def.3-0:49-46.48-47.48-47
ダン・ヘンダーソン(米国/13位)
異様な観客の盛り上がりの中スタートしたメインイベント。まずはビスピンが左ミドルを見せる。続いて左ジャブを伸ばしたビスピンに対し、ダン・ヘンがローを蹴っていく。両者、低く小さく構えるなかビスピンが左前蹴りで上体を起こさせようとする。ダン・ヘンの右は届かず、ビスピンも左を合わし切れない。ジャブから右ぎストレート、蹴りを交える王者に対し、ダン・ヘンはローから大きな一発狙いか。
ジャブの相打ちから間合いを外したビスピンに大きな声援が集める。前に出て、蹴り足をスイッチする仕種を見せるビスピンにダン・ヘンは左フックを繰り出し、思い切り右を振るうも空振りに。ビスピンは引き続き左ジャブ、頭を動かしてパンチを受けないようにしていたビスピンだが、スウェイに右をかわし切れずダウンを喫する。
パウンド&エルボーの連打を被弾しながら、立ち上がったビスピン。ここで初回が終わったが、笑顔のビスピンの顔は真っ赤に染まっていた。
2R、左ローから左ハイと蹴りを増やし、ステップも小刻みになったチャンピオン。ダン・ヘンは右を受けて、左に回る。攻め疲れか、呼吸を整えるように動きが少なくなったダン・ヘンにビスピンの右ストレートが伸び、左ハイキックで体がよれる。パンチから左ハイをもう一度見せた王者は、さらに軸足を変えつつの左ハイを狙う。
左ハイで圧されるダン・ヘンが、頭を下げて右を放つところにヒザが当たりそうになり、右で動きが止まったところで、左ミドルが急所に入る。レフェリーが止めず、下がるダン・ヘンを追いかけるビスピン。何とここでダン・ヘンが右を当ててダウンを奪う。ガードのなかで休むダン・ヘン、王者も抱え込んで時間の経過を待つ。左のパンチを落とすダン・ヘンだが、ダウンという結果を残したものの2Rは取り返されたか。
3R、ビスピンは引き続き左ハイを放ち、ダン・ヘンを惑わせる。右手を顔面の前に置かせ、ストレートを減らしたい狙いもあるのだろうが、そのハイが何度もダン・ヘンを顔面を捉えそうになる。動きはやはり遅くなり、大きな息をつくダン・ヘンは、口が常に開いている。ビスピンは左ジャブから右を狙い、左ハイを継続的に蹴り放っていく。
ジッとその時を待つようなダン・ヘンは右クロスを受け、下がると右フックから右ローを見せる。シングルの仕種も見せたダン・ヘンの右はチャンピオンを捉えることができない。とミドルを受けながら、右を当ててテイクダウンを狙ったダン・ヘンが腹ばいになるようにバランスを崩す。立ち上がったところに右ストレートを入れたビスピンは、回るダン・ヘンに左フックを打っていく。それでも右を当てるダン・ヘン。ビスピンが攻勢、それでもダン・ヘンの一発を警戒するという展開になった。
4R、ポイントを取るために待つのでなく、攻める必要があるとセコンドの指示を受けたダン・ヘン。ビスピンは左ハイ、前蹴りから右ストレートの機会を伺う。ダン・ヘンは右ストレートに右を合わせるが、踏み込みが甘くなってきたか。逆に思い切りの良いスイッチからのハイを放つチャンピオンのローが急所に。
インターバルを要求した挑戦者にブーイングが起こる。時間を掛けるダン・ヘン、レギュレーションを利用しリカバリーに務める。もちろん、ビスピンも休めることになるが……、ゆっくりと試合再開に応じたダン・ヘンは左フックから右ローを見せる。さらに左ジャブを突き、前に出るなど多少はリカバリーできたようだ。
残り90秒、左フックを入れ、右から左ミドルを見せたダン・ヘンは、次の右オーバーハンドが空振りに。続く右にビスピンが右を合わせる。残り10秒を切り、首相撲からヒザ蹴りを見せたダン・ヘンだが、余り前に出る場面はなかった。
最終回、初回のように低く小さな構えの両者。ダン・ヘンが前に出て左フックからヒザ蹴りを狙う。右アッパーから左ロー、前に出るダン・ヘンはビスピンのダッキングにヒザを放っていく。ヘンド・コールが起こり、ビスピンがワンツー。ダン・ヘンの右オーバーハンドはもう少しで的を外す。
ビスピンは左ミドルを入れると、ヘンダーソンは左のオーバーハンドとニータップを合わせたような動きを見せる。頭から突っ込むダン・ヘンに右アッパーを入れたチャンピオンだが、距離を取るとダン・ヘンがニータップでテイクダウンを奪う。
背中を預けつつ立ち上がったビスピンが、距離を取り直す。ダン・ヘンのシングルレッグを切ったビスピンは最後の10秒で飛びヒザ、ダン・ヘンがなぜか浴びせ蹴りが前転のような動きを見せて、上を取られそうになったところでタイムアップに。
1Rはダン・ヘン、2Rはダン・ヘンの可能性もある。しかし、3Rと4Rもビスピン。最終回もテイクダウンは許したが、ジェネラルシップを握っていたのはビスピンだ。3Rもしくは4Rを取った確立が高いビスピンだが、果たして──ジャッジの裁定は3‐0でビスピンが王座初防衛に成功した。
「まずダン・ヘンダーソンを称えてほしい。あの年で、本当にレジェンドだ。どうたいマンチェスター、家族に感謝している。ダンのことをナンバーワン・コンテンダーじゃないという人もいたけど、彼はUFC史上最悪のKOシーンを僕を相手にやってのけたファイターなんだ」という良い感じのコメントから一転、クリス・ワイドマン、ルーク・ロックホールドらトップコンテンダーを罵倒。ヨエル・ロメロには対してはステロイド野郎と言い放った。
一方、敗者ダン・ヘンは「試合前にこの拍手が欲しかったよ(笑)。皆がライブで僕の試合を見るのは最後だ。残念ながら、ね。感謝している。このスポーツに全てを掛けてきた。MMAのことが今も大好きなんだ。ファンにありがとうと言いたい。マイケル・ビスピンにも感謝している。最後の試合がタイトルマッチになるなんて」と語り、マンチェスターのファンはヘンド・コールを送った。