【Bellator106】MMAとして名勝負、アルバレスが制しベルト巻く
【写真】前回の対戦に負けずと劣らず激闘となった一戦は、チャンドラーが判定勝ちかと思われたが、アルバレスがスプリットで王座奪還。レブニーCEOが苦虫を噛み潰したような表情を見せていた(C)GONGKAKUTOGI
<Bellator世界ライト級選手権試合/5分5R>
エディ・アルバレス(米国)
Def.2-1:48-47, 48-47, 47-48
マイケル・チャンドラー(米国)
両者が左を伸ばして試合がスタート。ケージを背にしてステップを踏むアルバレスは、チャンドラーの前進からの右をかわす。アルバレスのワンツーをスウェイでよけた王者は、テイクダウン狙いも切る。王者のワンツーにシングルレッグを合わせたアルバレス、チャンドラーは腕を入れてディフェンスする。
アルバレスは左ジャブを引き続き伸ばすと、チャンドラーの目尻が赤く染まっている。チャンドラーのワンツーをステップバックするアルバレスだが、チャンドラーは引き続きプレッシャーを与えてパンチを振るっていく。前に出るチャンドラー、回るアルバレスという展開のなか、王者の右アッパーを受けたアルバレスがシングルに出るも切られる。
左フックは空振りになったチャンドラーだが、右ボディブローを打ち込む。残り70秒、アルバレスの左がヒット。王者の左は空振りになったが、蹴り足を掴んで右を入れてテイクダウンへ。そのままバックに回りパームトゥパーム・チョークを仕掛けるも、ここはアルバレスが前方に落してエスケープに成功する。アルバレスのダブルを切ったチャンドラー、スリップで後方に倒れたところで初回終了の合図がなり、まずは試合をリードした。
2R、右ストレートから左をヒットさせたチャンドラー。アルバレスも左を打ち返し、王者が顔面に被弾する。さらに左を入れたアルバレスだが、ややガードが低いか。前に出るのは、このラウンドもチャンドラーの方。アルバレスはサークリングから左ジャブを2発、右ストレートを見せるがクリーンヒットはしない。チャンドラーはテイクダウン狙いを切られ、左フックも空振りに。そのままケージにアルバレスを押し込むも、体を捩じって距離を取られる。
アルバレスの左ジャブを受けた王者だが、前蹴りをボディに入れて組みつくとバックに回って大きくテイクダウン。そのまま背中につくが、足をフックはできない。チャンドラーは再び大きく投げ捨てバックを狙うも、アルバレスも胸を合わせて耐える。するとチャンドラーは、シングルで挑戦者をケージに押し込み、ダブルレッグに切り替え腰をコントロール、アルバレスはケージを背にして立ち上がり、王者の組みをいなすと距離をとりなおす。
ここでアルバレスがワンツーをヒット、残り30秒チャンドラーはテイクダウンからトップキープで2Rをまとめた。3R、アルバレスの左に右を合わせたチャンドラーはハイキックを受けそうになる。テイクダウン狙いで息を整えたチャンドラーは、距離を取り直し再び打撃戦から組みついていく。これを切ったアルバレス。王者にやや疲れが出てきたか。続くダブルレッグからドライブもケージを背にして耐える挑戦者。スプロールをすかしたチャンドラーが距離を取り直し、直後にシングルへ。
すぐに手を放したチャンドラーは、パンチが極端に減っている。右ストレートをヒットさせたエディは、左ジャブを伸ばす。懸命に組みつく王者、ここでもテイクダウンを奪えず、一瞬間が空くとアルバレスが打撃でなく組み付いてバックへ。チャンドラーを押し放ったアルバレスが、蹴り、さらにパンチを入れる。アルバレスのスピニングバックフィストは空振りになったが、打撃で圧しているのはアルバレス。しかし、チャンドラーも残り1分となり組みついてバックからテイクダウン。足を一本フックして絞めを狙う。
チャンドラーは絞めから組みに切り替え、腰をコントロールしてテイクダウンに成功。残り20秒でのトップコントロールとパウンドでスコアリングに出たが、中盤の打撃で攻勢に出たアルバレスのラウンドとなったか。左目を大きく腫らした王者、距離感が合わなくなり、とにかく組んでドライブというという策しかないのであれば、残りの2Rは厳しいモノになる。
4R、まず左を伸ばすチャンドラーは頭を振って構えると、アルバレスがテイクダウンへ。切られた直後にパンチを入れたアルバレスだったが、王者はフライングニーへ。挑戦者が組みつくと、チャンドラーはがぶる。と、アルバレスは引きこんでしまう。右のパウンドを受けたアルバレスも、左目尻をカット。王者は傷にエルボー、鉄槌を集中させる。さらに左エルボーを落すチャンドラー、アルバレスの反応が鈍くなってくる。ガードを続けるアルバレスの右手を背中の下でキャッチしたチャンドラーは、顔面にパンチを落とし、自らクラッチを切ると勢いのあるパンチとエルボーを振り落す。
アルバレスのヒップスロー狙いを潰し、右のパウンドを連打するチャンドラー。残り1分を切り、アルバレスはケージを蹴り上げるが、しっかりと抑え込まれて立ち上がることができない。このままトップで4Rを戦い切ったチャンドラー、大切なラウンドを自らのモノとした。最終回、開始早々アルバレスが右アッパーを伸ばす。パンチで前に出るアルバレスに、再び飛びヒザを狙ったチャンドラーは、続いて組みにいく。
上と下から、打撃&レスリングで攻めるチャンドラーは、右アッパーを打ち込むと組んでテイクダウンからバックへ。両足をフックして、仰向けになったチャンドラーだが、アルバレスが胸を合わせるとスクランブルを制してバックにつく。アルバレスはチャンドラーの投げに体が宙に浮くも、着地して亀の態勢になった王者のバックを取る。
試合がスタンドに戻ると、足を止めての打ち合いに。ここからバックを制したアルバレスが、後方からパンチをチャンドラーに入れていく。ヒザ蹴りを貰わないように手をマットにつくチャンドラーだが、バックから振り落とそうとして、両足をフックされてしまう。RNCを狙うアルバレス、一度は腕を振りほどき、ガードを取ろうとした王者だったが、バックマウントから逃げ切れない。再び、タイトなRNCで攻められたチャンドラー。アルバレスの頭が真後ろでなく、左に寄りすぎており、ここは凌ぎ切る。と、チャンドラーは最後の意地を発揮し胸を合わせてトップを取り返す。残り15秒でチャンドラーはバックから投げを見せると、アルバレスのスイッチを許さず、このまま試合はタイムアップに。
第1戦以上の激闘を繰り広げた両者、テイクダウン狙いやスクランブルの応酬、ポジションの交換にサブミッション、疲労困憊になったところでの打撃戦と、MMAとして凌ぎ合いが見えた名勝負だった。この名勝負も勝者と敗者に判別される。順当にいけば1R、2R、4Rを取ったチャンドラーが、48-47で王座防衛となりそうだが、果たして……。
最初のジャッジは48-47でチャンドラー、2人目のジャッジは48-47でアルバレス。そして、最後のジャッジも48-47でアルバレスの名前が呼ばれる――。「俺たちはここまで戦った。ブーイングは止めてくれ」と新チャンピオン、前チャンピオンは「結果はこうなった。また次、頑張るよ」と話し、激闘の場から離れた。パット・カーラン、エマニュル・ニュートン、マイケル・チャンドラーが敗れ、レブニーとSPIKEの思惑が全て外れたベラトール史上最大のイベントとなった。