【UFN29】エリック・シウバ 「X-ジムは毎日がサバイバルだった」
【写真】X-ジムでアンデウソン、ジャカレ、フェイジャオンというミドル級&ライトヘビー級にトップにもまれ、ウェルラウンダーに成長したエリック・シウバ(C)MMAPLANET
9日(水・現地時間)、ブラジルはサンパウロ州バルエリのジナーシオ・ジョゼ・コヘイアで開催されるUFC Fight Night29「MAIA vs SHIELDS」で、キム・ドンヒョンと対戦するエリック・シウバ・インタビュー後編。
柔術一本槍、MMAデビューを決めるまでストリートファイトの経験すらなかったという彼は、ムエタイに目覚め、リオデジャネイロに出てきて強さに磨きをかけた。彼を強くさせたX-ジムでのできごと、さらには伝説のヴァリッジ・イズマイウの通訳の話を尋ねた。
<エリック・シウバ インタビューPart.01はコチラから>
──えっ、喧嘩の経験がなかった? そうだったのですね。あの佇まいは路上の王様を思わせるものでしたが……。
「MMAで最初に戦った時の気持ちは、ホイス・グレイシーの時代のように柔術家が他のスタイルのファイターと戦うっていう感じだったんだ。自分は柔術を代表して戦っているって思った。それまでは、パンチを打ったことも打たれたこともない人生を送っていたんだけどね。で、初めてMMAで戦うと、相手はムエタイの選手で殴られ、蹴られた。必死になってテイクダウンし、マタレォン(RNC)を極めたんだ(笑)。
あの試合に勝ってから、柔術家としてではなくて、エリック・シウバとしてMMAに夢中になった。ただ、MMAファイターとして生きていくとかどうかって将来のことまでは考えてもいなかった。デビュー戦後、『またイベントを開くから、そこで戦うつもりはあるか』とプロモーターに言われ、8カ月間、ムエタイのトレーニングに没頭した。そうしたら、今度はムエタイに夢中になってしまったんだ(笑)。
柔術を8カ月習っても白帯だけど、ムエタイは飛躍的に強くなれた。打撃がグングンと上達したから、2試合目のときは自信も凄くあったんだ。パンチを打ち合っても全く問題ないと確信できた。で、たった150秒のファイトで生涯初のKO勝ちを手にすることができた」
──やはりナチュラル・ボーン・ファイターですね(笑)。
「エスピリトサントスに住んでいた時は、本当にMMAファイターになるなんて思いもしなかったんだよ(笑)。全く、現実味のある話じゃなかった。だから、真剣に考えることもなかったけど、この2試合目のKO勝ちで、MMAファイターになろうと決心した。
あの日から、MMAファイターとして成功を収めることだけを考えて、ハードトレーニングを積んできた。2008年からリオデジャネイロにやってきてX-ジムで最高のトレーニングバートナーとトレーニングに専念できている。初めてここにやってきた日、アンデウソン・シウバ、ジャカレ・ソウザ、ハファエル・フェイジャオンにボコボコにされたんだ。でも次の日にまたやってくると、彼らは『お前、大したヤツだ。強い気持ちを持っているな』って受け入れてくれた。
あの頃、彼らと練習することで毎日がサバイバルだった。試合よりも、ここでの練習の方がずっと大変だった。そして、僕は生き残ることができた。アンデウソンとの練習は、本当に僕を強くしてくれたんだ。彼は凄くリラックスして打撃戦を戦うことができる。僕がオールラウンダーになるために、アンデウソンとのトレーニングは欠かせなかった。
ジャングルファイトのケージに入っても、僕の対戦相手がアンデウソンやジャカレ、フェイジャオン、ミノタウロよりも強いわけがないから、ケージの中の方が練習よりも、リラックスして戦えた。グラップラーと戦っても、ジャカレやミノタウロと比べて大したことはない。ストライカーと相対しても、アンデウソンやフェイジャオンのように強いわけがない。
ジャングルファイトでは緊張することもなかった。だからチャンピオンになれて、UFCで戦うことができるようになったんだ。とにかくドンヒョン・キムに勝つ。もっともっと上のファイターと戦うために、厳しい練習をこなしているんだ。このまま勝ち続けてトップに立つ。すぐに、ね」
──最後にもう一つだけ、質問しても良いですか。
「もちろん、何だって聞いて構わないよ」
──UFCで勝利したあと、勝利者インタビューでエリックはほとんど話していないのにマネージメントを行うヴァリッジ・イズマイウが、延々と通訳を続けたことがありました。
「あぁ、あれかい(爆笑)。ビックリしたよ。『サンキュー、ダナ』、『サンキュー、ロレンツォ』、『サンキュー、ジャングルファイト』ってやつだよね(笑)。僕も忘れられないよ。僕はね、プレッシャーを与えて、スペースを与えず、自分の全てを使って戦ったって言ったんだ。そうしたら、ヴァリッジは僕が言ってないことをずっと通訳し続けた(笑)。何言っているんだって思ったよ。でも、それがヴァリッジ・イズマイウなんだ(笑)」
──確かにその通りですね(笑)。今日はありがとうございました。ムイト・オブリガード。
「ジナーダ。こちらこそ、ありがとう」
■UFN29「Maia vs Shields」対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
デミアン・マイア(ブラジル/4位)
ジェイク・シールズ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
エリック・シウバ(ブラジル)
キム・ドンヒョン(韓国)
<ライトヘビー級/5分3R>
チアゴ・シウバ(ブラジル)
マット・ハミル(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ファビオ・マルドナード(ブラジル)
ジョーイ・ベルトラン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ホジマール・トキーニョ・パリャレス(ブラジル)
マイク・ピアース(米国)
<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル/5位)
TJ・ディラショー(米国/9位)
<ウェルター級/5分3R>
イルデマウ・アルカンタラ(ブラジル)
イゴール・アラウージョ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
ヤン・カブラル(ブラジル)
デビッド・ミッチェル(米国)
<フライ級/5分3R>
イリアーディ・サントス(ブラジル)
クリス・カリアソ(米国/8位)
<ライト級/5分3R>
アラン・パトリック(ブラジル)
ギャレット・ホワイトリー(米国)