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【Special】そして──また日常が始まる。久米鷹介<02>「体が動かせることが嬉しい」

Takasuke Kume【写真】その笑みは少し不自然に感じるが(笑)、久米にとって道場で体を動かすことが日常だ(C)MMAPLANET

24日のPancrase277で石川英司と厳しいケージレスリング&スクランブルの攻防を制し、昨年4月以来となる1年振りの勝利を挙げた久米鷹介が、その戦いを前に語っていた網膜剥離以後の日々……。

すぐに手術をすれば、目は元通りになる。そして、3カ月間はコンタクトすることは厳禁、1カ月は振動すら与えてはいけない。そんな時を久米は如何に過ごし、またMMAをするという日常に戻ってきたのかをインタビュー第2弾で語ってもらった。

<久米鷹介インタビューPart.01はコチラから>

──そのように急な場合を想定し、スケジューリングも柔軟になっているのですね。

「ハイ、緊急に手術が必要な人のためにそうされているようです。それもあって僕も5日後に手術することができたんです」

──術後、MMAのトレーニングを再開するまではどれぐらいの日数を要しましたか。

「コンタクトのトレーニングをするのは、3カ月間は待たないといけないと最初に言われました。なので3カ月間は一切、目に触れないようにしていました」

──顔を洗えないので、ちょっと皮膚の方も……。

「顔のブツブツは元々です(苦笑)。手術して1週間ほど、本当に顔を洗うこともできなかったので、その時に少し進行したかもしれないですが(笑)。

髭も剃ることもできなかったですし。練習に関していえば、コンタクトが3カ月ダメだという前に、1カ月は一切振動を与えてはいけなかったので、運動自体していなかったです。それからバイクとか、振動の少ないモノをやるようになり、2カ月目からランニングもできるようになった感じです」

──打撃の練習が再開できたのは?

「コンタクトしてよくなる3カ月後、その時点で打撃の練習をしても良いということでした。ただ、それは絶対でなくあくまでも目安ということなので、自分の感覚で調整していくしかないという感じでした。恐らくは3カ月で元に戻っているという話ではあったのですが……。それも基準があるわけではなかったので。

結果、やはり慎重にもなるので3カ月を少し過ぎてからマススパーを再開するような形になりました。それから1カ月してから軽くですがMMAスパーにも戻り、12月にはフルで練習するようになっていました。ただし、今ではライトスパーでも絶対にヘッドギアをつけるようにしています。

徐々にできることが増えるようになったことは、素直に嬉しかったのですが、逆に動きも複雑になってくるので、自分が動けるのか不安もありました。結果、動けて嬉しいという気持ちになっています」

──また、この練習の日々か……という気持ちにはならなかったですか。

「それはないです(笑)。練習ができること、体が動かせることは嬉しいです。格闘技ができる喜びを感じていました。ヒジの手術の時もそうですが、家にいても何もすることがないし、精神衛生上も良くなかったです。

そんな時には発さんが『練習でも見たら、気晴らしになるんじゃないか』って言ってくれて。ALIVEにやって来て、若い子たちがガンガン動いているのを見ると、自分も動きたくなる。それが気持ち的にも前向きになっていたんだと思いますし、そこから実際に動かせる日を楽しみに待てるような感じになっていきましたね。実際に動き始めると、すぐに疲れてしまうんですけどね(笑)。でも、そこも練習が日常になれば、すぐに戻りますし」

──MMAジャンキーですね(笑)。

「どうなんですかね(笑)。まぁ、でも楽しめてやっていけていることは確かです」

──以前より肩回りなど大きくなっているように見えるのですが、この間に相当ウェイトをやり込んでいたということは?

「体を絞ったというのはあります。9月ぐらいまでは相当大きかったので、一度体重を落とし、そこから普段も体重を絞ろうと決めました。そうすると、変に体重を増やしている時よりも動きが良くなったんです」

──通常体重はどれぐらいになっているのですか。

「朝起きた時だと80キロを切るくらいです。目とはまた別問題ですが、これぐらいの体重の方がコンディションが良く、練習をしていても披露の抜け具合が良いような気がします。そういう部分で体つきは変わって来たかと思います。

朴光哲選手のインタビューをちょうど、夕飯を食べている時に読んでいて──噛む数を増やしたんです。バカ舌を卒業しようかと。人よりも食べる量は多いので。でも、無理に食べない方が体調は絶対的に良いですよね」

<この項、続く>

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