【ADWP】アブダビ・ワールドプロ2016 62キロ&69キロ級でミヤオ兄弟が揃って準優勝に終わる
19日(現地時間・火)から23日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのZAYED スポーツシティ内のIPICアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2016が開催された。
アブダビ王族からの出資を受けて多額の賞金(今年は男子アダルト黒帯各階級の優勝者には8000ドル、無差別級の優勝者には30000ドル)が出されるため、世界の強豪達が参戦するこの大会は、IBJJF主催の世界柔術選手権に次ぐメジャー大会と言える。そしてIBJJF主催大会とは異なった階級分けが採用されているため、なかなか見られない組み合わせが実現すること、試合時間が6分なのでスピーディーな展開が見られることが特徴だ。
大会レビューの第1回では、黒帯アダルト男子軽量2階級の模様を報告したい。
<62キロ以下級決勝戦/6分1R>
イアゴ・シウバ(ブラジル)
Def. by 不戦勝
ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)
優勝候補筆頭のジョアオ・ミヤオ(PSLPBシセロ・コスタ)は、準決勝でウェリントン・リマ相手と対決。代名詞のベリンボロに加えて下からの腕十字や三角締め狙いなど多彩な攻めを見せつけた後に、最後はクローズドガードからの十字締めを極めて勝利。ますます攻撃の幅が広がったことを見せつけた。
しかし同門、イアゴ・シウバとの決勝戦は負傷したということで試合をせず2位に。ちなみに今年のヨーロピアン大会でも両者は決勝に進出し、この時はシウバの方がジョアオに優勝を譲っている。
<69キロ以下級決勝戦/6分1R>
マーシオ・アンドレ(ブラジル)
Def. by 0-0 アドバンテージ 2-0
パウロ・ミヤオ(ブラジル)
今回、UAE柔術チームを代表して出場したマーシオ・アンドレと決勝進出を争うかと思われたジャンニ・グリッポ(アリアンシ)は、準々決勝でハファエル・マンスールに惜敗。そのマンスールを準決勝で下したアンドレが、順当に勝ち上がってきたパウロ・ミヤオ(PSLPBシセロ・コスタ)と決勝で激突した。ちなみにこの両者は今年のヨーロピアンの決勝でも対戦し、どちらに軍配が上がってもおかしくないような大接戦の末、レフェリー判定でアンドレが勝利を収めている。
試合開始後、両者引き込みから上を選択したアンドレがまずアドバンテージを先取。パウロはラッソーから内回りでスイープの形を作ろうとするが、体格に勝るアンドレは力強くそれを潰し、さらにパウロのズボン掴んで下に押し付けながら、腹這いになるような形での右に動いてのパス狙い。足を効かせて守るパウロだが、一瞬サイドに回りかけたアンドレにもう一つアドバンテージが加算された。
その後パウロはアンドレの裾を引き出すと、それを自分の足に搦めつつアンドレの膝裏を通して握るワームガードタイプの攻撃姿勢を作る。そこから内周りと外回りを繰り返して揺さぶってゆくが、アンドレも強靭な足腰でバランスをキープする。
残り2分となったところで、内回転をかけたパウロがマーシオの左膝裏に手を届かせることに成功。そのまま両手でグリップして左足を引き寄せてパウロの股間をくぐると、アンドレのズボンの後ろを掴んで尻を出しながらバックに登る内回りベリンボロに。さらに登ったパウロはアンドレのうなじの襟を掴むが、座り込んだアンドレはミヤオの両膝のパンツを掴んで押し下げ、両足のフックは作らせずに守る。それでも登り続けるパウロはやがて背後から両襟を掴むところまで到達するが、アンドレは体をずらして腰を切って完全には登らせない。
残り20秒となり、このままでは埒が開かないと考えたかパウロは背後から足を搦めた50/50に移行。そこから立ち上がろうとするが、アンドレはがっちりと腰を落としてバランスを取り切って試合終了。優勝の栄冠とともに対パウロ2連勝を挙げた。
序盤に上からのプレッシャーで攻めたてたアンドレが、後半バランスを利して逃げ切る形に。攻撃、防御ともにアンドレの力強さが目立った。世界柔術ではおそらくフェザー級とライトフェザー級に分かれるこのライバル対決、6分という短い試合時間においては、体格差の影響は大きいのかも知れない。
■アブダビ・ワールドプロ柔術黒帯男子アダルト リザルト
【62キロ以下級】
優勝:ヒアゴ・シウバ(ブラジル)
準優勝:ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)
3位:ダニエル・サンタナ(ブラジル)
【69キロ以下級】
優勝:マーシオ・アンドレ(ブラジル)
準優勝:パウロ・ミヤオ(ブラジル)
3位:チアゴ・ブラボー(ブラジル)