【UFN86】新ジュニオール・ドスサントス、スピードと足でロズウェルを圧倒。「僕はボクシング・ガイだ!!」
<ヘビー級/5分5R>
ジュニオール・ドスサントス(ブラジル/5位)
Def.3-0:50-45.50-45.50-45
ベン・ロズウェル(米国/4位)
左右に動きながら前に出るロズウェル、場内は大シガノ・コールに包まれる。ロズウェルは前蹴り、さらにフェイントを見せて距離を詰めるもシガノが右ストレートを伸ばす。さらに右ボディを入れて離れたシガノを追いつつ、サッと離れるロズウェルだが右から左を受ける。目を気にしているシガノ、レフェリーが止めないことを確認して前に出たロズウェルをカウンターで迎え撃とうとしたシガノは、その後も下がりながらボディや顔面にパンチを入れる。そこを押し切るように右を伸ばして前に出るロズウェルが右ローを蹴り込む。
さらに右オーバーハンドを入れたロズウェルはスイッチしながら左ボディフック、シガノも左ボディから右ストレートを返す。右の相打ちからロズウェルがもう一つ右を入れ、シガノが離れる。シガノは下がってケージに詰まったところでパンチを被弾しやすくなっている。つまり前に出ることが必要なシガノは左フック、右ショート、続いて右ボティストレートを入れる。ロズウェルはローを蹴って、ボディを返されたところで初回が終了した。
2R、右に回るシガノは小刻みなステップを繰り返し、右オーバーハンドも空振りに。同じタイミングでパンチを出したロズウェルがバランスを崩すもすぐに立ち上がり、右ローを当てていく。ボディストレートを続けるシガノ、ロズウェルは左ミドルを蹴り込む。殴って離れるシガノは、左ボディストレート。このスピードをどれだけ持続できるかも勝負の鍵を握ってくるだろう。
ロズウェルはスーパーマンパンチ、シガノも返す。左ボディを入れ、右に回るシガノを追いきれないロズウェル。前に出たところでシガノはパンチを打って離れる。と、アイポークがあったとシガノがアピールし、試合が一時中断する。再開後、シガノは左ジャブとボディストレートを散らし、左右のボディストレート、左ジャブ、右オーバーハンド、さらに前蹴りでロズウェルに吹っ飛ばしラウンド終了を迎えた。
3R、ここもスピードを生かし右ボディを伸ばすシガノに対し、ロズウェルが右オーバーハンドを繰り出す。スイッチを繰り返すロズウェルだが右ハイも距離が合わない。突進したロズウェルから距離を取るシガノは左フック。ジリジリと前に出たロズウェルは右フック、急ぎ離れたシガノは右を打って、左ジャブにつなげる。ロズウェルの圧力を上手くかわしてパンチを入れ続けるシガノは右ストレートをヒット。ロズウェルが右を入れるが、ここもシガノを追いきれないうちに、さすがに被弾したパンチが多く動きが乱れてきたか。
スピニングバックキックまで披露したシガノは、前に出てくるロズウェルに右を入れる。もう一発後ろ回し蹴りを腹に入れたシガノに対し、ついにはロズウェルが腹を気にする仕種を見せ、右目をどす黒く腫らすようになった。
4R、自分のペースで戦いスピードが衰えないシガノのボディ打ちは続く。左フックもヒットし、右ストレートを打ち込むとサイドキックの蹴り合いに勝ち、いよいよ勢いづいてきたか。前に出てはパンチを被弾するロズウェルは、右を受けてついに立ち止まるシーンも。頭も振ってもパンチを被弾するロズウェルは厳しい局面を迎える。シガノは左ジャブをダブルで放つ。ロズウェルがようやく右をヒットも続くハイを空振りし、シガノのジャブを被弾する。残り30秒となり、シガノがワンツーを入れる。ロズウェルも左を返すが、ここで下がるのではなくシガノは回ってパンチを打ち返す。ロズウェルは右ローを蹴り込んだが、ここまでの4R全てを失ったと見えるのが妥当だろう。
最終回、引き続きロズウェルの前進にパンチを入れ、スッと距離を取るシガノが右ボディストレートを当てる。腹への前蹴りと、シガノは徹底してロズウェルとの距離を作る。スピードは持続し、飛びヒザも披露。横綱相撲と化した一戦は、シガノのペースで残り時間が少なくなっていく。前に出ては殴られ、待っては時間が過ぎる状況でロズウェルは当然、前に出るしか選択肢はないが、勢いをつけすぎ頭からケージに突っ込んでしまう。
ついには笑顔を浮かべたシガノは、軽快にサークリング&ステップを続け、後ろ回し蹴りに。これをブロックしたロズウェルは、最後まで自分の距離を構築することができずタイムアップを迎えた。
判定は聞くまでもなくフルマークでシガノに凱歌が挙がり、ATT移籍で復活以上に完成度の高さが印象に残るジュニオール・ドスサントスは「クロアチアで皆のお陰で最高の経験ができた。正しい作戦だった。ああいう大きな相手にフットワークでたくさん動いて、柔術もレスリングも忘れた。僕はボクシングガイなんだ」と笑顔で語った。