この星の格闘技を追いかける

【WEC40】水垣偉弥、ニホンの金網トップから世界の頂点へ

e75ad6064月5日(日・現地時間)に迫ったWEC40『Torres vs Mizugaki』。イリノイ州シカゴのUICパビリオンで開催される同大会では、水垣偉弥生が前田吉朗、三浦広光に次ぐ日本人3人目としてWEC世界王座に挑戦する。

【写真】水垣の挑戦を受けるトーレスは、会場に程近いインディアナ州イーストシカゴの出身で、「チケットを分けてくれっていう電話やメールがひっきりなしに届くけど、もう手持ちはないから自分で買ってほしい」と余裕のPRを展開した (C) ZUFFA

当初の予定ではブライアン・ボーウルズが、地元の英雄WEC世界バンタム級王者ミゲール・トーレスに挑戦予定だったが、負傷で出場不可能に。代役として白羽の矢がたったのが、WECと出場交渉中にあったケージフォース・バンタム級チャンピオンの水垣だった。


プロ修斗でデビュー以来、力強いスタンドのパンチで連勝街道を歩んでいたが、大沢ケンジ戦で逆転KO負けを喫し、プロ8戦目で初黒星を経験。続いて行われた山本篤戦でもテイクダウンにしてやられた彼は、この二つの敗北の前後に、プロ修斗フェザー級の頂点に立ったことがある松根良太、そして現プロ修斗世界フェザー級チャンピオンの上田将勝とドローという停滞期を経験する。

ここで心機一転した水垣は、ケージフォースというドメスティック金網ファイトに戦場を移すと、その後は怒涛の5連勝を果たし、日本のケージファイト王者に君臨した。

9ddc9ae6【写真】今年1月の米国修行では、2階級上のトップファイターたちと十分なスパーリングをこなした。この経験も、世界を狙う一戦で活きてくるはずだ (C) MMAPLANET

突然舞い込んだ世界王座挑戦というチャンスに、対戦相手は鉄壁の強さを誇るミゲール・トーレス。開催地はその地元シカゴで、初めての5R戦といった不安要素を挙げればいくらでもあるが、水垣の拳は全ての悪条件を跳ね返す力を有している。

一見、ポーカーフェイスの王者だが、それは自分のペースで戦っている時だからこそ。一度リズムを狂わせれば、ラテンの血が燃え上がり、かなり感情的になって前に出てくる。

長いリーチが最大の武器でもあるトーレスだが、地元でのファイトで良い試合を見せようという意識が強く働くことが予想され、水垣としてはどうせ起こるブーイングの量が倍になろうが、距離をとってトーレスをじらせたいところだ。

長丁場の5R、初回など徹底的に王者をじらせば、むきになってパンチや蹴りを放ってくるに違いない。疎かになったディフェンスの隙をついて、一撃で試合を決める可能性だってある。

反対に水垣が打ち負けた場合、気をつけたいのは低い位置でのテイクダウン狙いだ。基本オーソドックスで前足が出ているトーレスだが、そこにシングルレッグを仕掛けると、必殺のギロチンチョークが待っている。

シンプルな技の代表のようなギロチンチョークだが、トーレスや米国勢の熟練度の高さは、日本の多くのファイターの比ではない。テイクダウンを狙うなら、ケージに押し込んで足技で転がす。シングルレッグダイブを仕掛ける際には、細心の注意が必要だ。

当然、厳しい試合になる覚悟は水垣も持っているだろう。だからこそ、その状況で敵地に乗り込む姿勢、気持ちが水垣に有利に働くこともある。そんなシーンを是非とも目にしたい。

■WEC40の対戦予定カード

<WEC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ミゲール・トーレス(米国)
[挑戦者]水垣偉弥(日本)

<バンタム級/5分3R>
ジョセフ・ベナビデス(米国)
ジェフ・カーラン(米国)

<ライト級/5分3R>
シェーン・ローラー(米国)
ベン・ヘンダーソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル)
ジャミール・マスー(米国)

<ライト級/5分3R>
アンソニー・ジョクアーニ(米国)
バート・パラジェンスキー(米国)

<バンタム級/5分3R>
ドミニク・クルーズ(米国)
アイヴァン・ロペス(メキシコ)

<フェザー級/5分3R>
ヴァグネイ・ファビアーノ(ブラジル)
フレジソン・パイシャオン(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
エディ・ワインランド(米国)
ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マニー・タピア(米国)
田村彰敏(日本)

<フェザー級/5分3R>
マイク・ビュドニック(米国)
ハファエル・ディアス(ブラジル)

PR
PR

関連記事

Movie