【WEC40】Why No TV?田村&パイシャオン&ヤヒーラ
水垣偉弥がミゲール・トーレスの持つWEC世界バンタム級王座に挑戦するWEC40『Torres vs Mizugaki』には、もう一人の日本人・田村彰敏が参戦する。4月5日(日・現地時間)にシカゴのUICパビリオンで行われる同大会には、この他にも日本のMMA界縁のファイターの出場が目白押しだ。
【写真】WECデビュー戦では得意とするスタンドの展開で戦うことがほとんどできなかった田村。心機一転、バンタム級で捲土重来を期す (C) ZUFFA
昨年12月に待望のWECデビューを迎えるも、ヴァグネイ・ファビアーノのテイクダウン+柔術戦法に完封されてしまった田村。今回はバンタム級に階級を下げて、捲土重来を目指す。
階級を下げることに関し、ダイエットでなく新陳代謝で脂肪を減らすことに着眼点を置く佐々木豊氏に師事。レスリングとサンボで活躍した氏からは、弱点だったテイクダウンの攻防についてもレクチャーを受けている。
今回の対戦相手マニー・タピアは、基本はボクシングを多様するファイターだが、テイクダウンを狙ってくることも十分に考えられる。トーレスの持つ世界王座に挑戦経験もあるタピアとの相性は、前回対戦したヴァグネイ・ファミアーノよりもずっと良く、田村の強い部分を見せることができる試合になると思われる。
そのヴァグネイ・ファビアーノも今大会に参戦し、対戦相手は日本でも馴染みの深い柔術家フレジソン・パイシャオンだ。2001、2002、2005年のブラジリアン柔術黒帯ペナ級の世界王者パイシャンは、モンジバカと呼ばれる手首固めをこの世界に広めたファイター。今ではブラジルを離れラスベガスに拠点を置き、MMAでも8勝2敗という戦績を誇る。
【写真】今も道衣を着たトレーニングを続けるパイシャオン。必殺のモンジバカはMMAグローブ着用時にも見ることができるか? (C) MMAPLANET
MMAという前提をおけば、そのグラップリング技術でややファビアーノに遅れをとることも予想されるパイシャオンだが、なんせMMA出場は1年11カ月ぶりということもあり、その間の進化がどれほどであったか。ベガスではムエタイの練習を積む彼だが、真価が問われる一番となるだろう。
そんなパイシャオンのMMAデビュー戦の相手だったハニ・ヤヒーラ――、HERO’Sでは70kgのトーナメントに出場し、JZ・カバウカンチなど明らかに体格の違うファイターと戦いベスト4、Dynamite!!のリングでは山本KID徳郁を追い込んだ強豪が、このシカゴ大会にお目見えする。
前回のADCCサブミッションレスリング世界選手権の66kg級で優勝したヤヒーラは、WECでは2勝1敗。その一敗が初めてバンタム級のウェイトで戦ったチェイス・ビービ戦だった。減量苦から思うように動けなかった敗戦を喫し、前回も前田吉朗戦で計量に失敗、キャッチウェイトで戦ったラテン気質は変わっていない。
対戦相手は地元のエディ・ワインランド。初代WEC世界バンタム級王者が相手だが、実力的にはヤヒーラが数段上回っているとみられる。オランダに渡り、同国最強の60kgファイターと目されているハマザ・アニーセや70kgの強豪クリス・ンギンギらと打撃のトレーニングを積んだヤヒーラの敵は、まずは計量ということなる。
【写真】オランダのチーム・カルマロで、マルコ・ファンデンブロークに打撃の指導を受けた。右がオランダ・キック界最強の60kgと目されるハマザ・アニーセ (C) TeamCALMARO HOLLAND
日本のファンも要注目のこれら3試合、残念なことにVERSUSのTV中継枠に1試合として組まれてはいない。それだけズッファの評価が低い――かといえば、決してそうではない。WECのVERSUS TVプログラムはライブ中継に以外に、WrecCageというライブでは放送されなかった試合を流す番組があり、この番組内で中継されるアンダーカードの映像は、まずネット等に流出することもなく、日本に馴染みの3人のファイターの試合も必ずこのWrecCageで後日、放送されるはずだ。
今年1月にWEC世界ライト級王座に挑戦したドナルド・セラーニとロブ・マッカラーの挑戦者決定戦と目されていた試合も、年末のベストバウト・プログラムまで世に流れることはなかった。それでも好試合、そして勝利という結果は、確実に後々のマッチメイクに関連してくる。田村、パイシャオン、ヤヒーラ、ともにノーTVマッチとはいえ、決して落とすことができない大切な一番といえるのだ。
■WEC40の対戦予定カード
<WEC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ミゲール・トーレス(米国)
[挑戦者]水垣偉弥(日本)
<バンタム級/5分3R>
ジョセフ・ベナビデス(米国)
ジェフ・カーラン(米国)
<ライト級/5分3R>
シェーン・ローラー(米国)
ベン・ヘンダーソン(米国)
<フェザー級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル)
ジャミール・マスー(米国)
<ライト級/5分3R>
アンソニー・ジョクアーニ(米国)
バート・パラジェンスキー(米国)
<バンタム級/5分3R>
ドミニク・クルーズ(米国)
アイヴァン・ロペス(メキシコ)
<フェザー級/5分3R>
ヴァグネイ・ファビアーノ(ブラジル)
フレジソン・パイシャオン(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
エディ・ワインランド(米国)
ハニ・ヤヒーラ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
マニー・タピア(米国)
田村彰敏(日本)
<フェザー級/5分3R>
マイク・ビュドニック(米国)
ハファエル・ディアス(ブラジル)