【OFC09】米国修行と持ち味の融合なるか、エース=フォラヤン
【写真】テイクダウン防御を伸ばしたうえで、持ち味である打撃を以前のように使うことができるのか。エドゥアルド・フォラヤン、今後への試金石となる試合。左ミドルから右の後ろ回し蹴りを決める、そんなシーンをフィリピンのファンは期待している(C)MMAPLANET
31日(金・現地時間)にマニラのSMモール・オブ・エイジア・アリーナで開催されるOFC09「RISE TO POWER」。米国勢が7名(米国在住のイラン人カメル・シャロウスを含め)、そして開催地フィリピンからは、日本と同様に5名にファイターが出場する。
フィリピン人ファイターは5人揃って、マーク・サンギアオ率いるチーム・ラカイMMAに所属する散打ベースのファイター達だ。標高1500メートルのバギオシティやラトリニダットを本拠地とする彼らはフィリピンをリードするMMAファイターで、そのエースたる存在がエドゥアルド・フォラヤンだ。
アジア・ゲームスの散打で銀メダルと銅メダルを獲得しているフォラヤンは、戦績12勝3敗。元は高校の教師だったが、今はMMAに専念している。散打ベースでサイドキックやバックサイドキックで距離を取り、組みついてきた相手は首投げでテイクダウンを奪うスタイルは非常に斬新なモノだ。加えて、オーソドックスの構えながら左のパンチが強く、カウンターを取るのにも長けている。
典型的なストライカーのフォラヤンは、昨年12月にURCC10周年記念大会でローウェン・タイナネスのテイクダウン+パウンドの前に敗れ、再起を賭して米国へ武者修行を敢行している。フィリピン系のマーク・ムニョスのレインや、ベガスのロバート・ドライスデールの下で、レスリング&テイクダウンの技術を集中的に学んできた。ラカイMMAもケージを導入するなど、彼らにとって一番の弱点といわれたテイクダウン対策に余念がない。そんなフォラヤンの練習の成果を発揮すべき、OFCではカメル・シャロウスという対戦相手を今大会で用意している。
イラン出身、テキサス州オースチン在住のシャロウスのベースはレスリング、テイクダウンの強さはいうまでもない。09年に4勝1分の戦績でWEC入りを果たすと、ジェイミー・ヴァーナー戦のドローを含め、3勝1分でUFCへ。しかし、ジム・ミラー、カビブ・ヌルマゴメドフ、ハファエル・ドスアンジョスという強豪相手に3連敗を喫し、昨年5月にリリースの憂き目にあう。
【写真】カメル・シャロウスのテイクダウン能力は誰もが認めるところ。UFCリリースから1年、復帰戦はマニラでのフォラヤン戦となった(C)GONGKAKUTOGI
とはいえ、いってみればトップ集団の一角を相手に3敗を喫しただけで、レスリング面でいってもフォラヤンを下したタイナネス以上といっても過言でない。そんなシャロウス、テイクダウンは強いが打撃との連係は今一つで、拳を振り回してガードが甘くなるきらいがある。追い込まれると、直線的なダブルレッグを繰り返し、頭が下がってはスタミナを切らしていくという悪循環に陥ることもある。
ただし、それも対戦相手がシャロウスのテイクダウンを切って、打撃を入れることできるからこそ。レスリングの防御能力を高めたことで、フォラヤンの持ち味である散打流の蹴りや、絶妙のカウンターが可能な左フックにどのような変化が起るのか。思い切り拳や足を振り回す一方で、軸が強く、リラックスして力を抜いて戦うために、バランス感覚が良いフォラヤン。蹴りのディフェンスに難のあるシャロウスだけに、持ち味である散打流のキックが生きるような、米国修行の成果が発揮されるのかが、勝負のカギの握ることになる。
■OFC 09対戦カード
<OFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]ホノリオ・バナリオ(フィリピン)
[挑戦者]大石幸史(日本)
<OFC暫定世界バンタム級王座決定戦/5分5R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
岡嵜康悦(米国)
<バンタム級GP決勝/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
上田将勝(日本)
<フライ級/5分3R>
レイ・ドーヨーゲン(フィリピン)
漆谷康宏(日本)
<ミドル級/5分3R>
フィル・バローニ(米国)
鈴木信達(日本)
<ライト級/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
カメル・シャロウス(米国)
<フライ級/5分3R>
ゲヘ・エウスタキーオ(フィリピン)
アンドリュー・レオーネ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ライアン・ディアス(米国)
ユサップ・サーデュラエフ(ロシア)
<ライト級/5分3R>
ローウェン・タイナネス(米国)
フェリペ・エノモト(スイス)
<ヘビー級/5分3R>
ティム・シルビア(米国)
トニー・ジョンソンJr(米国)