【on this day in】9月06日──1999年
【写真】エェ格好しいは好きじゃない。でも、見栄っ張りがいい。苦労する姿を披露するのはエエ格好しい。格好よくあらんとするのは見栄っ張り。ルミナってつまりは見栄っ張りだと思う(C)MMAPLANET
Rumina in Oahu
@ハワイ州オアフ島
「この3カ月ほど前に佐藤ルミナは、宇野薫と修斗ウェルター級王座を争い敗れた。ホンの3年前まで後楽園ホールを埋めることに苦労していた修斗のプロ興行を横浜文化体育館が使用できるまで引っ張ったのはルミナであることは間違いない。修斗の理念、先人、ジム関係者、彼よりポテンシャルのあったファイター、若きプロモーター達、真剣勝負を世に根付かせたいと思っていた一部のメディア、そんな面々が揃っていても、ルミナがいなければ修斗ブームは来なかった。横浜文体大会はプロ修斗興行がルミナという存在に追いついた夜だった。が、彼は強さの象徴というべきベルトを巻くことができなかった。『スタミナがない』、『筋肉をつけすぎ』、『走ってないでしょ』。勝てば官軍、負ければ賊軍ではないが、人は派手な存在よりも地道な努力を好む。プロとして目立つ存在が必要だった修斗にあって、その役割をこなしてきた分だけ彼への批判が一気に沸き起こった。16年前(!!)の今日、復帰に向けてのインタビューをなぜかハワイで行った。ルミナは当初『言い訳になるから嫌だ』と取材を渋り、『筋トレ宣言』という反撃の狼煙をあげ──『夢を与えたい。だったらカッコいい方が良いでしょ』とインタビューを締めくくった。その後、急成長を遂げたMMAでルミナは格好良い姿を見せ続けることはできなかった。そんな彼が傾く修斗を支えることに覚悟をもって取り組むために立ち上がった。にも関わらず、SNSには楽しそうな日々が綴られている……。とことん負のイメージを嫌う彼は、とかく苦労自慢が多い格闘技界にあって、格闘技と共生することが楽しいと訴えている。カリスマには負のイメージがない。だから人はルミナに夢を見たくなる。『夢を与えたい。だったらカッコいい方が良いでしょ』──ルミナは格闘技をブームで終わらせるつもりはない、のだ」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。