この星の格闘技を追いかける

【on this day in】3月02日──2013年

02 03 13【写真】錚々たるメンバーが集まったケン・フロのセミナー。体の動きを言葉に変えて、明確に指導するケン・フロの言わんすることを完璧な日本語に訳した磯野さんが素晴らしかった (C)MMAPLANET

Kenny Florian Seminar
@東京都大田区、ゴールドジム・サウス東京アネックス
「今更、わざわざ個人名を挙げる必要などないであろう日本のMMA界を代表する選手達が一堂に会し、UFC日本大会の解説のために東京にやってきたケニー・フロリアンのセミナーを受講した。本来はUNO DOJOのクラスに振り当てられていた時間帯だが、宇野薫がケン・フロのために場所を提供し、UFCアナリストのセミナーが実現を見た。この写真に写っているのはプロファイターだけだが、もちろん一般の練習生やアマファイターもケン・フロのテイクダウン中心のレッスンに熱心に耳を傾けていた。決して身体能力が高いわけでも、他競技でワールドクラスの実績を残しているわけでないのに、2階級で王座挑戦を経験するなどUFCで長年トップファイターとして活躍したケン・フロ。寝ては柔術、立ってはムエタイを主武器としていた彼は、常に距離感とタイミングに重きを置きMMAを戦ってきた。そんなケン・フロらしい、目線を相手の高さに合わせることから始まる間合いの測り方に、プロファイター達も感心することしきり。そんなセミナーの影のMVPはケン・フロの受け手と通訳を務めた磯野元さんだ。MMAを理解し、英語を理解する磯野さんを媒介して、ケン・フロの指導は微妙なニュアンスの違いなど一切なく、受講生たちの耳に、脳みそに届いていた。そんな磯野さんが一瞬、ケン・フロに受講者の言葉を伝えようか、迷った瞬間があった。一人の一般受講生が、『なぜ、そんなにテイクダウンに詳しいのに、ジョゼ・アルドを倒すことができなかったのですか?』と尋ねたのだ。こんなにも無礼で、思慮のない言葉を吐く人間がわざわざセミナーを受けてまでMMAのことを知りたいのかと思うと、悲しくなってしまった。そんな輩に『だから、懸命に研究したんだ』と笑顔で見せたケン・フロ。テイクダウンとか、三角絞めの改良方法とかでなく、彼の本当の強さ、器の大きさを見た思いがした」

on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。

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