【UFC92】緊迫のメインで新王者エヴァンス誕生
■第10試合UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R
[挑戦者]ラシャド・エヴァンス(米国)
Def.3R2分46秒/TKO
[王者]フォレスト・グリフィン(米国)
【写真】チャック・リデル戦のKOシーンが何度も流されたこの日。エヴァンスの一発一発が異様な緊迫感を生み出した (C) ZUFFA
試合開始直後から、鋭く勢いのある左ジャブを伸ばすエヴァンス。フォレストは右を返して迎え撃つ。エヴァンスの前進に対し、王者は左ハイやミドルで応える。右ローを見せた王者は、想像以上に足技を多用する。
左から右をかぶせたエヴァンス、当たれば一撃で倒せそうな力強いパンチだ。冷静にローでエヴァンスの動きを止めるフォレストに、エヴァンスはスイッチを繰り返しながら、左右に動いてはカウンターを狙う。そんなエヴァンスの狙いを理解しながらも、フォレストは前に出てカウンターを避けながらパンチや蹴りを放っていく。
緊迫感のある1Rを終え、2Rに入ると両者の距離が縮まった。と、ここで王者フォレストの右フック、追い打ちの右ハイがエヴァンスを捉える。これでエヴァンスがまっすぐ後退。フォレストが距離を詰め、組みついてヒザをボディに放ち、さらには右ヒジを見舞うが、エヴァンスも思い切った左を返す。
左のインロー+ミドルでエヴァンスの距離と潰すフォレストは、エヴァンスが飛び込んできたところに左フックをかぶせていく。それでも一発逆転の威力を秘める左右の拳で攻めるエヴァンス。フォレストは、集中力を途切らせることなくスタンドで迎え撃つ。
3R、フォレストのミドルを掴み、エヴァンスがテイクダウンを奪うと、同時に強烈なパウンドを落とす。意識が飛んだように見えたグリフィンは、必死に足をきかせてガードに戻していく。パスを狙いつつ、エルボーを落とすエヴァンス。フォレストはクローズドガードに戻したが、ここでエヴァンスの右パウンドが彼の顔面を打ち抜く。
足を解き、思わず横を向いてしまった王者に、エヴァンスは左パウンドを連打で落とす。フォレストの顔面が大きく上下し、投げだされた腕が宙を泳ぎ、何度かマットを叩いたようにも映る。
パウンドで無防備に顔をさらした王者、レフェリーが遅すぎるストップをかけた瞬間、ラシャド・エヴァンスがオクタゴンの覇者となった。TUF出身、日本ではビッグネームでない二人が魅せた緊迫感溢れる打撃戦と、一瞬の勝機を逃さない勝負強さ、確かに世界最高峰のライトヘビー級の戦いであった。
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