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【VTJ5th】扇久保博正 「20代前半ばかりでなく27歳にも注目を」

2014.06.29

Hiromasa Ogikubo

【写真】決勝進出を決め、さらにMVPで100万を現ナマでゲット。笑顔がこぼれる扇久保博正(C) TAKUMI NAKAMURA

28日(土)大阪・ BODYMAKERコロシアム第2競技場で開催された「VTJ 5th in OSAKA」。今大会では2・23「VTJ 4th」からスタートしたVTJフライ級(125lbs/56.7kg)トーナメントの準決勝2試合が行われた。J-CAGEによるVTJ5thレポートではシーザー・スクラヴォスが神酒龍一を破った一戦に続き、その両者の試合の前に行われたもう一つの準決勝=第8代修斗世界フェザー級(60kg以下)王者・扇久保博正×ハワイのカナ・ハヤットの模様と勝者の声をお伝えしたい。

<VTJフライ級T準決勝/5分3R>
扇久保博正(日本)
Def.1R1分20秒 by RNC
カナ・ハヤット(米国)

扇久保はトーナメント1回戦でHEATを主戦場にする春日井健士と対戦。テイクダウン&バックコントロールで判定勝利を収めた。対するハヤットはフレディ・アルティーガとの外国人対決を制しての準決勝進出。パンチ主体のアグレッシブな試合運びでアルティーガを圧倒している。

当然、試合は扇久保のテイクダウン×ハヤットの打撃という展開が予想されたが、先に打撃でペースを掴んだのは扇久保の方だった。「ハヤットがパンチ主体なので、自分は蹴り主体でいこうと思った」という扇久保はインローと左ミドルでハヤットの前進と右の強打を封じる。さらに扇久保は右ローにもつなげ、ハヤットのバランスを崩した。

蹴りで距離をコントロールした扇久保は左ハイキックからダブルレッグへ。豪快にテイクダウンすると、すぐさまハヤットのバックに回り込むと、すぐさまハヤットの首に手を回し、リアネイキッドチョークでタップを奪った。終わってみれば蹴りでハヤットの強打を封じ、前回の反省点=バックキープを脱出される――を克服した扇久保の完勝劇に。会心の勝利に扇久保はケージへと駆け上がり、勝利の雄叫びで喜びを爆発させる。勝利者インタビューでも「(石原)夜叉坊選手とか(佐々木)憂流迦選手とか堀口(恭司)選手とか…勢いのある若い選手が多いけど、自分もまだ若くて上を目指しています。扇久保博正という名前とヒゲ面を覚えて帰ってください」と自らの存在をアピールした。

全試合終了後、扇久保は大会MVPに選ばれ、その場で現金100万円を獲得。バックステージでも笑顔が絶えなかった(?)扇久保の試合後のインタビューをお届けしよう。

Ogikubo vs Kana Hyatt─―MVP賞おめでとうございます。今、手元に100万円がありますが、ずばりどんな気持ちですか。

【写真】しっかりとフィニッシュに結び付けた今回のファイト。決勝は10月4日(土)、大田区総合体育館で行われる(C)TAKUMI NAKAMURA

「死ぬほど嬉しいっす(笑)。子供が生まれたばかりなので、嫁に褒められると思います」

──試合は1Rわずか80秒での一本勝ちでした。こういった早期決着は予想していましたか。

「トーナメントの1回戦や過去の試合映像を見ても、ハヤットが寝技をやっている展開がほとんどなかったので、どれだけ出来るんだろうと思っていたんです。とりあえず相手はパンチが強くて、僕はテイクダウンが強い。だったらテイクダウンで勝負するしかないと思っていたので、テイクダウンに行ってみたら一本を取れたって感じですね。いずれにしてもテイクダウンに行くのは作戦で、いきなり組みに行かずにちゃんと打撃をやってから組むということを意識していました」

──確かにインロー、左ミドル、右ローと蹴りがかなり有効でした。

「相手はパンチ主体なので、自分は蹴り主体でいこうと思っていました。だから蹴りでペースを握ったのも作戦通りですね。でも一番手応えがあったのは左ハイキック。顔をかすめるように当たったんですけど、あれで相手が目を気にしていて」

――ダブルレッグに入る直前の場面ですね。

「はい。あそこで殴りにいかずに組みに行くのが僕なんですけど(笑)。まぁ、結果的に上手く自分の形に持っていくことが出来ました」

――1回戦の春日井戦はテイクダウン→バックコントロール→逃げられるという展開が続いて、後半に失速してしまいました。しかし、今回はきっちりと最初のバックコントロールでRNCを極めた。相手を逃がさないことは意識していたのですか。

「そうですね。前回はキープに固執しすぎて、逆に上手く逃げられちゃったんで。練習でも意識していました。ただ前回は春日井選手が逃げるのが上手かったです」

──今回がケージ、そしてフライ級での試合は2度目です。1度経験して、分かったことはありますか。

「金網の方がダブルレッグで押し込んだ時に、両手をクラッチ出来る感覚がありますね。リングはどこかクラッチがずれてしまうというか。自分のスタイル的には金網の方が合っていると思います。体重に関しては…減量そのものはキツいっす(苦笑)。でもちゃんとリカバリー出来れば、身体は動くし、スタミナが続くと、この階級では負けない自信があります」

──決勝戦の相手がシーザー・スクラヴォスに決まりました。神酒龍一選手との準決勝はご覧になっていましたか。

「いやぁ、強かったですね。打撃でガンガン来るし、パンチも蹴りも出来て、組み技も寝技も強い。全部強いっす(苦笑)。でも相性的にイケそうな気がします。強い相手だとは思うけど、俺の戦い方がハマれば勝てると思いました」

──VTJを経てUFCに参戦する選手も多く、大会の直前にはVTJとUFCの提携も発表されました。現時点で扇久保選手はUFCをどう捉えていますか。

「こうやって総合格闘技をやっている以上、その天辺にあるUFCは目標であり、目指している場所です。でも今、自分はVTJのトーナメントに出ているので、目の前の試合に集中して、一つずつ勝っていこうと思います」

──試合後のマイクでは「勢いのある若い選手が多いけど、自分もまだ若くて上を目指す」という言葉もありましたが、まだまだ若い選手には負けられないですね。

「というか…僕ってベテランっぽく扱われますけど、まだ27歳なんですよ。27歳ってまだ若いじゃないですか(笑)? だから20代前半の若い選手ばかりではなく、扇久保博正にも注目してください!」

■VTJ 5th in OSAKA その他の試合結果

<135ポンド契約/5分3R>
石原夜叉坊(日本)
Def.2R3分24秒 by KO
ジョ・ジュンファン(韓国)

<VTJフライ級T準決勝/5分3R>
シーザー・スクラヴォス(米国)
Def.3-0:30-27. 30-27. 30-27
神酒龍一(日本)

<145ポンド契約/5分3R>
タクミ(日本)
Def.2R2分28秒 by RNC
美木航(日本)

<155ポンド契約/5分3R>
佐々木信治(日本)
試合中止
岸本泰昭(日本)
※佐々木が試合当日に体調不良となり病院へ搬送。急性胃腸炎・急性腹膜炎と診断された

<135ポンド契約/5分3R>
中村優作(日本)
Def.2-1:29-28. 28-29. 29-28
山本賢治(日本)

<125ポンド契約/3分3R>
KODO(日本)
Def.3R2分25秒 by ギロチンチョーク
伊是名秀宣(日本)

<145ポンド契約/3分3R>
ジャックナイフツネオ(日本)
Def.2-1:29-28. 28-29. 29-28
摩嶋一整(日本)

<145ポンド契約/3分3R>
高野明(日本)
Def.2R0分1秒 by TKO
鷹亜希(日本)

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