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【OFC15】ビビアーノに挑戦。上田将勝、勝負の刻

2014.04.30

Masakatu Ueda

【写真】失意のベラトール挑戦を経て、上田将勝がOFC出場を選択したのは、そこにビビアーノ・フェルナンデスがいたからだった (C)MMAPLANET

5月2日(金・現地時間)にフィリピン、マニラのSMMOA(SMモール・オブ・エイジア)で開催されるOFC15「Rise of Hero」。メインはOFC世界バンタム級王者ビビアーノ・フェルナンデスに上田将勝が挑戦する一戦だ。

5月を迎えようとするマニラは35度以上の気温で、真夏の日差しが肌を突き刺してくる。ビビアーノはこの常夏の気候と、混沌としディシプリンなき人並を生まれ育ったマナウスを重ね合せ、大好きな街だという。柔術界を代表する世界チャンピオンから、MMAに転向し15勝3敗。DREAMではフェザー級とバンタム級を制し、昨年5月に暫定OFC世界バンタム級王座に就くと、10月にキム・スーチョルとの統一戦に勝利した。

現在7連勝中のビビアーノに挑む上田は、MMA戦績18勝2敗2分、修斗世界フェザー級王者(60キロ)から、失意のベラトール参戦を経て、OFCで3連勝。バンタム級GPで優勝し、挑戦権を得た。約11ヵ月振りの試合で、ビビアーノと対戦する上田はこの間、石渡伸太郎、中村アイアン浩士、田村一聖、堀口恭司、神酒龍一ら日本を代表する軽量級メンバーとチーム・オトコギを結成し、トレーニングに励んできた。さらに所属するパラエストラ東京でもプロ練習をスタートさせるなど、練習環境を整え大一番に臨む。

非UFC系バンタム級ファイターのなかでも実力的にナンバーワンと目されるビビアーノだが、OFCの3試合は全て判定勝ちと、一本勝ちから遠ざかっている。だからといって、その力に陰りが見られるのかといえば、決してそうではない。神技に例えられた三角絞めなどを仕掛けることがないのはガードを取る機会が巡ってこないから、だ。やや粗めの打撃から、組みついてテイクダウン。そしてバックコントロールからRNCを狙いつつ削る――MMAとして安定感タップリのファイトをここのところ見せてきた。

キーポイントとなるのは、上田のテイクダウンディフェンスだ。山本KID徳郁を破っているレスリング・エリートに、レスリング勝負をするファイターなど日本では見られなかった。テイクダウンを奪うことはあっても、狙われることがなかった上田にとって、それこそOTOKOGIで培ったテイクダウンディフェンス、加えてスクランブルの技術を実践で試す時が来た。いち早くレスリングと柔術の融合を進めてきた上田だけに、倒された後の対処も十分に体にしみこませているが、やはりビビアーノにトップを取らせたくない。

そのビビアーノは打撃戦ではバネとパワー、一発の強さを持つが、決してコンビネーションに長けているわけではない。その代わりといっては何だが、打撃の勢いをそのままテイクダウンに結び付ける動きが絶妙だ。上田の左の蹴りの威力は誰もが認めるところだが、距離を取るための打撃に威力があるわけで、打撃の交換は決して彼のフィールドではない。蹴りを散らしてダメージを蓄積させることができる一方で、キャッチされてテイクダウンに結び付けられる危険性も伴う。

それでも上田が勝つには、蹴りでビビアーノに入らせないことが大切になってくる。だからこそ、組んでくるビビアーノをどのように対処するのかが、勝負の鍵を握ってくる。腰の後でクラッチを組まれる前に、しっかりとワキを差したい。ビビアーノのテイクダウンを上田が切り、純粋レスリングの間合いになれば、ヒザ蹴りに気を付けて、ローシングルを仕掛けたい。打撃で圧されていなければ、上田のローシングルはビビアーノを崩すに十分な完成度を誇る。その低い仕掛けに対して、「サッカーボールキックを狙える」、「切ってバックに回ることができる」とビビアーノがタカを括ってくるようだと、上田のトップ奪取率は確実に上がる。例えスクランブルの攻防になったとしても、彼にはがぶりからフロントチョーク系の絞めがある。

レスリングで上田が優位になった場合、逆に怖いのはビビアーノがスクランブルにこずに、ガードを取るケースだ。一瞬にして三角絞めを取れるビビアーノ、MMAでスタースイープを仕掛けることができるガードワークの強さは、最近の試合で見せていないだけで錆びつくはずもない。つまりビビアーノのテイクダウン狙いを切った上田が、逆にテイクダウンに成功しても寝技に付き合う必要がないということ。立ち上がって、恐らくはビビアーノが最もスタミナをロスするであろう立ち技、打撃の間合いを取る時間が増えれば、それだけ上田がベルトを巻く可能性が、徐々に上がってくる。

上田はビビアーノが余裕の笑みをかなぐり捨てる必要のあるファイトに十分に持ちこむことができるはずだ。日本人がOFC世界王座を独占する、その可能性は十分にある。上田将勝、勝負の刻だ。

■OFC15「Rise of Hero」対戦カード

<OFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
[挑戦者] 上田将勝(日本)

<ライト級/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
朴光哲(日本)

<フライ級/5分3R>
レイ・ヨードーゲン(フィリピン)
ジョシュア・アルバレス(グアム)

<フェザー級/5分3R>
川那子祐輔(日本)
ロブ・リシタ(豪州)

<ミドル級/5分3R>
水野竜也(日本)
レアンドロ・アタイジ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
ジェイムス・マックスウィーニー(英国)
クリス・ロクテフ(豪州)

<フライ級/5分3R>
ジアーニ・スッバ(マレーシア)
ユージーン・トケーロ(フィリピン)

<フライ級/5分3R>
アナ・フラトン(米国)
アヤ・サイード(エジプト)

<ミドル級/5分3R>
オング・ラ・エヌサン(米国)
マハムド・サラマ(エジプト)

<アトム級/5分3R>
ジュジー・ナガオワ(フィリピン)
ジート・トッシ(インド)

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