この星の格闘技を追いかける

【Lemino Shooto10】マコアの兄レイ・クーパー3世と対戦、西條英成「以前の自分とは違うことを見せたい」

【写真】この肉体を生かした戦い方は、もっともっと多いはず。そんな西條の本領発揮を見たい(C)SHOJIRO KAMEIKE

8日(日)に沖縄県糸満市のシャボン玉石けん くくる糸満で開催されるLemino Shooto10で、西條英成が元PFL世界王者のプラダボーイことレイ・クーパー3世と戦う。
Text by Shojiro Kameike

今年4月、マコア・クーパーに敗れた西條の再起戦の相手は、なんとマコアの兄レイ・クーパー3世となった。プラダボーイが参戦することになった経緯は、本人のインタビューを参照のこと。一方、西條はマコアに敗れたことでクーパー一家のファイトスタイル身につけたいと感じ、その縁で新たな指導を受けることになったという。「以前の自分とは違うことを見せたい」そう語る西條の本領発揮なるか。


リスクを負わないことを考えすぎてしまったために――

――前回はマコアと対戦し、次に兄のレイ・クーパー3世と戦うことになるとは、マッチメイクとしては意外でした。

「そうですね、全く想像はしていなかったです。話を聞いた時は『えっ、いいの?』という感じでした」

――「いいの?」というのは……。

「前回ああいう形で、良いところを見せることができずに負けてしまいました。そこからさらに凄い選手と戦わせてもらっていいのかな、というのが最初の印象です」

――その「いいのかな」という気持ちが、自分の中で現実的に戦う気持ちに変化していったのは?

「話があってすぐです。『いいの?』という気持ちと同じ……いや、それよりも上ですね。『やってやろう』という気持ちが強くなりました」

――再起戦であれば、レイ・クーパー3世ほどの実績を持つ選手ではない相手を選んでも仕方ないとは思います。西條選手の中に、そのような気持ちはなかったですか。

「相手のレベルとか、『こういう選手とやりたい』という希望は特になくて。できればすぐにでも戦って、あの敗戦を払しょくしたい。そういう気持ちのほうが大きかったです」

――それだけ前回の試合は、本人にとって悔しい敗戦だったと思います。先ほど「良いところを見せることができなかった」という言葉がありましたが、その要因は何だったと思いますか。

「今まで自分は『リスクを負わずに戦う』というスタイルを掲げてきました。そのスタイルを続けていくなかで前回の試合は打撃、スタンドでのリスクを考えすぎて……うん、そうですね。それこそ『逃げに走っていたなぁ』という部分は大きかったですね」

――逃げに走っていた、ですか。確かに序盤はテイクダウンを狙う際、距離が遠くて組めない場面はありました。

「そうですね。それこそスタンドでのプレッシャーという面で、リスクを負わないことを考えすぎてしまったために、距離が遠くなってしまいました。自分もスタンドでプレッシャーをかけることが頭になく、近づくことはできない。でも自分の強みは組みだ、と思って遠い距離から組みに行く。そんな初歩的なミスに繋がってしまいました。前回の試合から考えることは、たくさんありましたね」

――1R序盤、マコアに組みつくことはできたものの、テイクダウンしきれず下になりました。それは『下になっても行ける』という自信があったのでしょうか。

「自分が想像していた以上に相手の力が強かったこともあります。ただあの時はリスクを負わないことばかり考えていたので、たとえ下になっても、どうにか寝技で上になる。スイープも狙っていましたが、本当であれば下からヒジを入れて効かせることで、スイープできるチャンスをつくることができなのかな、と。今思えば、ではありますけど。でもあの時は打撃、打つということを全てリスクだと考えている部分はありました」

――それは打撃を出すこと自体がリスクである、と?

「いえ。自分が打撃を出す、相手が打ってくる。これを天秤にかけた時、相手の打撃が非常に脅威だと感じていて。だから自分の中でも先ほど言ったような『逃げる』というイメージになってしまったのかな、と思います」

――1-2Rはマコアが取り、最終回は西條選手が盛り返したものの極め切ることはできませんでした。

「1-2Rを取られているので、3Rに極めないと判定で負けることは確実でした。そこで丁寧に組み立てていくというよりは、一瞬一瞬で極めるところを探しすぎていた――極め急ぎですね。そのために普段やっている細かい技術とか、試合の進め方ができなかったと思います」

――そういったことも踏まえて、試合後に新しいトレーナーさんの指導を受けることになったのでしょうか。

「はい、嶋西晴海コーチですね。もともとは1月に、エイドリアン・リーのスパーリングパートナーとしてハワイに行きまして。お兄さんのクリスチャン・リーのコーチとして、ハワイに嶋西さんがいるんです。その縁でハルコーチと知り合い、いろいろお話させていただくようになりました。ハルコーチが日本に帰省するタイミングで、自分もハルコーチのお家に行かせていただいたりしていました」

――おぉ、そうだったのですね。

「そうしてハルコーチと交流を深めさせていただき、今年8月にはハルコーチを沖縄にお呼びして、THE BLACKBELT JAPANで練習させてもらう形になりました」

クーパー一家との練習を試みようかと思う時期もありました

――嶋西コーチの指導は、どのような点が一番違いましたか。

「技術面はもちろんですけど、選手として、プロの格闘家としての心構えとか、生活面でやるべきことを指導してもらうことが多いです。ハルコーチはミットなどを始める前に、必ず『選手とは』といったようなマインドセットを行います。そこから自分に足りないもの、今後やると伸びるんじゃないかと思うところを分析していただいて、ミットやスパーリングの中でアドバイスを受けるという感じですね。

自分の場合はハルコーチのお家に行かせていただいた時、住み込みで食事の面から学びました。そこで栄養学の説明もあり、移動時間なども『選手とは』というお話を聞いて、ジムに着いたら練習する。そして帰宅中も、帰宅してからの食事中もまたお話する――といった生活を送っていました」

――その内容をお聞きすると、一般的な「選手とコーチ」の枠を超えた指導ですね。

「あぁ、そうかもしれないです。でもハルコーチ曰く『これが指導者と選手のコミュニケーションの取り方であり、本当はこうやってコミュニケーションを取っていかなければならないんだ』と言われていました」

――確かに、それは一つの理想形だと思います。沖縄で嶋西コーチの指導を受けた時には、もうレイ・クーパー3世との試合は決定していたのですか。

「まだ決まってはいなかったですね。最初は他の選手のお話も頂いていて、その中の一人がレイ・クーパー3世という形でした。ただハルコーチは昔からハワイで多くの選手を指導していて。クリスチャン&エイドリアン兄弟もそうですし、レイ・クーパー3世とマコア・クーパーの兄弟とも以前から顔見知りだということでした。といっても今は指導しているというわけでなく、お父さんのレイ・クーパーさんも含めて家族ぐるみのお付き合いで。ただ格闘技だけの関係ではないようですね」

――その関係と、しっかり切り分けて西條選手の指導を行う。まさにプロフェッショナルです。

「はい、本当にそう思います。レイ・クーパー3世との試合が決まったあとも、ハルコーチから『今は組みに重点を置きすぎている。もっと打撃を向上させると、組みにも繋がる。そうすれば相手はもっとやりづらくなる』と言われました。

やはりMMAはスタンドのプレッシャーから全て始まります。そのプレッシャーで負けると、後手に回ってしまう。だから打撃の圧は必要だと感じていたんです。実は前回の試合後、その打撃の圧を高めるために、クーパー一家との練習を試みようかと思う時期もありました。今の自分に必要なのは、まさにクーパー一家の戦い方だ、と」

――えっ!!

「打撃のプレッシャーが強くて、しっかりとレスリングの展開に持っていくことができる。ハルコーチもクーパー一家と関わりがあるので、一度『一緒に練習できるかどうか』と訊いてみたんです。すると『彼らはジムを持たず、いろんなところを飛び回っているので分からない。自分でも君が求めているものを指導できる』というお話をいただき、それがハルコーチと親密になるキッカケにもなりました」

リスクを負っても勝ちに行くので、楽しみにしていてください

――なるほど。マコアとレイ・クーパー3世の試合を比較すると、戦い方に違いはありますか。それとも兄弟ということで似ている部分も多いでしょうか。

「クーパー一家の戦い方は、どの試合を見ても『強烈なボクシングとレスリング』というイメージです。前回のマコアはキャリアも浅いので、あまり情報が得られていない部分もありました。しかし試合映像を視ると、やはり『強烈なボクシングとレスリング』というイメージですよね。レイ・クーパー3世もいわずもがなで。基本的には同じスタイルじゃないかな、と思っています」

――では次の試合で、レイ・クーパー3世に対してクーパー一家スタイルで戦いたい、と。

「そう思います。最初にスタンドのプレッシャーの掛け合いで、自分がいつも通りリスクを負わないために距離を取ると、後手に回ってマコア戦と同じ展開になってしまう。ディフェンスを固めながらパンチを散らして、しっかりとプレッシャーを掛けながら、組みの展開をつくっていきたいです。一番大切なのは、そのスタンドでのプレッシャーの掛け合いですね。そのために至近距離でもガードしながら打ち合えるような目、細かいブロックなどもミソになると思います」

――そういったことも、前回マコアと対戦していなければ気づくことができていなかったかもしれません。まさに海外から選手を呼ぶLemino修斗の意義ではないでしょうか。

「本当に……マコア選手と対戦していなかったら、今でもファイトスタイルは変わっていなかったと思います。それと今まで『お客さんに見せる戦い方』というのも、あまり考えていないところはありました。ここでようやく気づくことができたのは、殴り倒せる打撃があるからこそ組みの強みも引き出せる。リスクを負って打ち合いも辞さず、そのなかでテイクダウン、グラウンドに持ち込んで極めるという試合を見せたいですね」

――すごく単純な言い方になりますが、その腕でブン殴られたら間違いなく効くと思います(笑)。だからこそ西條選手の本領発揮を楽しみにしています。

「アハハハ、ありがとうございます。そう考えるようになってから、自分も以前より気持ちが楽になりました。この試合があることを知っている方は、ほぼ100パーセント、レイ・クーパー3世が勝つと思っているかもしれません。自分のことを知っている人も少ないでしょうし、知っていても『このファイトスタイルだと難しい』と思うはずです。でも以前の自分とは違うということを見せたいですね。リスクを負っても勝ちに行くので、楽しみにしていてください」

■視聴方法(予定)
11月8日(日)
午後5時~ Lemino07

■Lemino Shooto10対戦カード

<ウェルター級/5分3R>
西條英成(日本)
レイ・クーパー3世(米国)

<フライ級/5分3R>
藤田大和(日本)
ジュニエル・フランシスコ(フィリピン)

<フライ級/5分3R>
砂辺光久(日本)
大竹陽(日本)

<ライト級/5分3R>
森昴星(日本)
深見弦汰(日本)

<女子アトム級/5分2R>
小生由紀(日本)
ALU(日本)

<バンタム級/5分2R>
下間英史(日本)
リン・フーシュン(台湾)

<バンタム級/5分2R>
一條貴洋(日本)
水嶋敬志(日本)

<フライ級/5分2R>
饒平名知靖(日本)
賢人(日本)

<バンタム級/5分2R>
山本敦章(日本)
親盛拓己(日本)

<フライ級/5分2R>
下田洋介(日本)
玉城悠(日本)

PR
PR

関連記事

Movie