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【ONE FN49】ゴントーラニーとキックルールで再戦、内藤大樹「僕がチャンピオンになるための試練の一つ」

3日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night49が開催され、内藤大樹がゴントーラニー・ソー・ソンマイとキックボクシングルールで対戦する。
Text by Takumi Nakamura

ONE SAMURAIのスタートにより、多くの日本人選手がONEの舞台に上がるようになったが、内藤は2019年からONEにレギュラー参戦し、スーパーレックやジョナサン・ハガティーとも拳を交えてきた。今年4月のONE SAMURAI01での陽勇戦でも、卓越したテクニックで当時プロ無敗だった陽勇に判定勝利し、改めてトップファイターとしての実力を見せつけた。

今大会では過去にムエタイルールで敗れているゴントーラニーとキックルールで再戦。スーパーレックの王座返上で空位になっているフライ級キック王座の行方を占う一戦を控える内藤に話を訊いた。


陽勇戦は久々に相手に対してイライラした。試合では技術の差を見せられたと思う

──4月のONE SAMURAI01では当時プロ無敗の陽勇選手に判定勝利という結果でした。あの試合を振り返っていただけますか。

「もうちょっと激しい展開になると思ったんですけど、自分の中では技術に差があると思っていたので、激しさとは違う部分が出た試合になったかなと思います。実は陽勇戦の前のナックロップ戦で右の拳を骨折していて、ちゃんと拳を握ることが出来るまでに時間がかかってしまい、陽勇戦が決まってようやくミットで右を軽く打ち出したという状態だったんです。右手を庇いながらではあったんですけど、技術の差でああいう試合を見せられたかなというのはあります」

──当日あの試合を解説していて、途中から内藤選手が陽勇選手の動きを見切っているように見えたのですが、実際はどうだったのですか。

「陽勇選手は当時無敗だったので、無敗の勢いみたいなものは警戒していました。ただ1Rで相手の動きを見た時に変に自分が飲まれなければ大丈夫だなと確信したので、安心して戦うことが出来ました」

──とはいえ右拳が万全ではない中で無敗の相手と戦うことにプレッシャーはなかったですか。

「かなりプレッシャーはありましたね。正直『なんで自分にこの試合を組むんだろう?』や『自分はこのレベルじゃない』という気持ちがあったし、ONEで長くやっているベテランの自分を(陽勇に)ぶつけるという部分で、無敗で若くて新しいスターを作りたいんだろうなという雰囲気は感じていました。もちろんプレッシャーはありましたけど、ここで空気を読む気はないよという想いがモチベーションになっていましたね」

──例えば陽勇選手だけ事前記者会見に呼ばれたり、煽り映像も陽勇選手が主役になっていたり、そういう部分も内藤選手の気持ちに火を点けていましたか。

「そうですね。なんで向こうだけ記者会見があってこっちはないんだよとか、それこそ試合が発表された時も僕が青コーナーだったことにもビックリして。さすがに評価が低すぎるだろうと思って、普段なかなか感情的になることはないんですけど、あの時は違いましたね。実際に相手からも結構煽られていたので、久々に相手に対してイラっとしました」

──そのなかで技術差を見せた上での判定勝利を収め、戦績的にも3連勝となりました。一時は連敗や黒星が増えた次期もありましたが、ここに来て3連勝できている要因はなんだと思いますか。

「連敗していた時期は試合直前に変な不安に襲われてしまうことがあったんです。それが勝ちを重ねるに連れて自信が段々と大きくなっていきました。あとは連敗を経験したからこそ、自分の練習の環境を見直すことが出来て、それが3連勝に繋がっていると思うので、今は結果が出なかった時期も自分がチャンピオンになるための試練だったのかなと思えています」

──具体的に練習面でどんな部分を変えたのですか。

「自分はエリアス・マムーディに負けて2連敗して、その時点で30手前だったんです。このままいったらマズいなというか、年齢が30に近づいてきている中で連敗をして、何かをガラッと変える必要があると思いました。ただ僕も長くキャリアを積んできて、30手前で何かを変えることはすごく勇気がいることで、もしかしたら変えたことがハマらない可能性もあるじゃないですか。だからものすごく悩んだんですけど、今自分が気になっていることは全部取り入れてみようと思って、新しいことを始めました。具体的には豊橋のボクシングジムに通い始めたこと、メンタルトレーニングを始めたこと、そしてKJさんの指導を受けて減量方法を変えたことです。もちろんベースになっているBELLWOODでの練習は変えずに継続しているんですけど、新しく取り入れたことがBELLWOODでの練習にも活きて、ものすごく変わりましたね」

──内藤選手がいうように年齢・キャリアを重ねたなかで練習環境を大きく変えることは不安もあったと思いますし、大きな賭けだったと思います。

「僕自身、自分のルーティンを変えたくない人間なんですけど、変なプライドみたいなものは全て捨ててハングリーに取り組まないと、このまま終わってしまうと思いました。本当にめちゃめちゃ勇気がいる選択でしたけど、今思うと3つとも全部いい方向に整っているし、自分は新しく取り入れたものを結果を出すところまで持っていける能力があるんだなと思いました。それはコツコツ続けることもそうだし、新しく取り入れたものを信用することもそうだし、それは自分ならではの能力なのかなと思いました」

──きっと新しい取り入れたことをまとめられる場所としてBELLWOODでの練習があることも大きいですよね。

「まさに本当にそうで、新しいことを取り入れたからこそ、BELLWOODでの練習が大事だということも再確認しました」

今回は倒し切ることがテーマで、何がなんでもフィニッシュしてアピールしたい

──さて今大会では一度対戦相手が変更となりましたが、最終的にゴントーラニーとキックルールで再戦することとなりました。

「もともとジョハン・エストゥピニャンと再戦予定だったんですけど、試合が発表された一週間後に対戦相手がゴントーラニーに変更になるという話がありました。ジョハンには1年半前に勝っているなかでの再戦だったんですけど、一度負けているゴントーラニーと再戦できることになって、僕としては借りを返すチャンスが来たなと思います。ゴントーラニーは9月のキックデビュー戦でエン・ペンジャーに勝っているし、キックルールでも強い選手なんだなと思いました。相手として不足はないですし、僕がチャンピオンになるための試練の一つだと思って、モチベーションが上がりましたね」

──ゴントーラニーはペンジェーに勝つまで4連敗していましたが、対戦相手がノンオー、イマンガザリエフ、オルチコフとチャンピオンクラスとしか対戦していないので、連敗してもしょうがない部分はあったと思います。

「自分もそう思っていて、言っちゃえば4試合連続でタイトルマッチをやっているようなレベルじゃないですか。現王者のイマンガザリエフにはKO負けでしたが、ノンオーとオルチコフにはどちらに勝負が転んでもおかしくないような接戦だったと思うので、自分はゴントーラニーの連敗は気にしてないですね」

──むしろゴントーラニーの重い蹴りを軸にしたファイトスタイルはキックルールに向いているかもしれません。

「僕もONEで15戦以上やっていますけど、一番ダメージを負ったのがゴントーラニー戦なんですよ。スーパーレックの蹴りも痛かったんですけど、僕はゴントーラニーの蹴りの方が硬いと感じて、試合翌日は全身痣だらけになっていましたね。それだけ身体も強いし、骨そのものが硬いんだと思います」

――ここでゴントーラニーに勝って4連勝となれば、次のチャンスにもつながると思います。内藤選手もそういった捉え方をしていますか。

「はい。自分とっては今回がタイトル前哨戦だと思っていて、誰もが強いと認めているゴントーラニーにいい勝ち方ができれば、周りを納得させられると思うので。自分の中ではタイトルを獲るためには重要な一戦だと思っています。普通に勝つだけではダメだと思うので、倒し切ることがテーマで、何がなんでもフィニッシュしてアピールしたいです」

――フライ級キックボクシングはスーパーレックがタイトルを返上して空位になっています。一方で11月からフライ級ムエタイの8人トーナメントがスタートし、ロッタンもトーナメントに参戦します。キックルールの王座戦線にも影響があると思うのですが、その辺りはどう考えていますか。

「そうなんですよね。ちょっと先が見えないところがあって、タイトルを争う対抗馬は誰がいるんだろう?と思っています。それこそ自分とゴントーラニーだったら、これが王座決定戦でもおかしくないようなカードだと思いますし、10月にストロー級王者のジョナサン・ディベラとスーパーレックの王座戦も組まれていましたが(※スーパーレックが怪我で欠場して王座を返上)ディベラがフライ級に挑戦してきたらそれはそれで面白いと思うし、あとは流れに任せて、ですね。とにかく今回自分が勝てば、王座決定戦の片方には入ると思うので、しっかりゴントーラニーに勝ちたいです」

──それではこの試合を楽しみにしているみなさんにどんな試合を見せたいですか。

「僕もそうですが、対戦相手が変わってヒリヒリした試合になったというか、一瞬も気の抜けないような試合になったと思います。そこでみなさんを楽しませられると思いますし、その中で自分がリスクを取って倒しに行くところを見せたいと思っているので、今回はしっかり勝ち方にこだわっていきたいです」

■放送予定
11月7日(土)
午前9時45分~U-NEXT

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