【Wardog58】ケージの中と外のギャップが激しすぎる新フェザー級王者、佐藤迅「久米地獄を味わって……」
【写真】自分を指導するトレーナーをいじることができるのも、良い関係性だなぁと思います(C)SHOJIRO KAMEIKE
8月9日(日)、大阪市住吉区の錦秀会 住吉区民センター大ホールで開催されたWardog58にて、佐藤迅が同フェザー級王者の福田泰暉に挑戦。3R3分21秒、RNCで下しベルトを巻いた。
Text by Shojiro Kameike
MMA戦績は4勝2敗、2024年5月に大阪ACFでプロデビューし、その後はWardogを主戦場としてきた。粗削りだがアタックが多く、混戦になるとスクランブルの強さを生かして戦う佐藤。そのファイトスタイルは、コーチを務める久米鷹介のスタイルを受け継いでいる。そんなアグレッシブな試合を見せる佐藤だが、ケージから降りると一転――あまりにケージの中とはギャップがありすぎるキャラクターだった。
25~26歳の間カナダに留学していて、帰国してからMMAを本格的にやりたいと思ってALIVEに入らせていただきました
――ワードッグの新フェザー級王者、佐藤迅選手です。まずプロフィール、生年月日から教えていただけますか。
「よろしくお願いします。生年月日は1997年2月3日、29歳です」
――29歳ですか。大阪ACFのプロデビュー戦が2024年5月、当時27歳ということは少し遅めのプロデビューだったのですね。
「はい、そうなんです……」
――そんなに緊張しないでください(笑)。格闘技を始めたのは、いつだったのでしょうか。
「19歳の時に、大道塾の中部本部に入りました。その前はエクササイズとしてボクシングをやっていた程度で、最初に始めた格闘技は空道になります」
――19歳の時、なぜ空道を?
「もともとはテレビでMMAを視て、『こういうものがあるんだ』と知ってMMAをやりたいと思ったんです。ただ当時は学生でバイトもしていなかったですし、親に月謝を払ってもらうには、白い道着のある競技のほうが印象は良いかなと思いまして(苦笑)。空道は19歳から5年ぐらい続けていました」
――5年後ということは、24歳の時にMMAを始めたのですか。
「いえ。空道を始めて1年後ぐらいに、風吹柔術というところにも通い始めまして。風吹柔術では週に3回ぐらいMMAクラスがあり、空道と並行してMMAの練習もしていました」
――となるとALIVEに入ったのは……。
「一昨年ですね。25~26歳の間カナダに留学していて、帰国してからMMAを本格的にやりたいと思ってALIVEに入らせていただきました」
――カナダ、ですか。
「柔術が好きで、どうしても教則本って英語のものが多いじゃないですか。それで英語を勉強しなきゃいけないと思いました。それと、ちょうどカナダに好きな10thプラネットの道場があったので、通いたかったんです。語学学校とアルバイト、そして柔術道場という生活だったので、そこまでガッツリと練習していたわけではないですが……」
――カナダから帰国してALIVEに入門するのも、カナダTKOでチャンピオンになった選手がいるから、と。
「えっ。は、はい……TKO、大会ですか?」
――アハハハ、冗談です。その時にはもうプロでやりたい、だからALIVEに入ろうと決めていたのですね。
「そうですね。カナダから帰国する頃には『真剣にMMAをやりたい。やるなら徹底的にやりたい』と思っていました」
格闘技のベースがなかったから、教わったことをすぐ取り入れるためには良い点だったかもしれないです
――これまでプロデビューのみACFで、そこから当時は同じスタッフで運営されていたワードッグでキャリアを積み始めました。
「最初にACFで試合をしたあと、社長と『どの団体で戦っていくか』という話をしたんです。僕は真剣にMMAに取り組んでいきたい。だから下積みのつもりで、ワードッグに出させてもらいたいと社長に伝えました」
――ここまでの戦績は4勝2敗。試合では、とにかくスタミナが豊富という印象です。
「スタミナは、そうですね。先輩方に鍛え上げられて……、はい」
――先輩方というのは?
「久米地獄を味わって……」
――アハハハ! 相手の打撃を食らっても攻め続ける。しかも反撃までのスピードが速いように思います。
「先日のタイトルマッチでも、2回ぐらい効かされていました。良いのをもらって目の前がぼやけるというか、グラグラしていたんですけど……。普段の練習から『前に出ろ』と教わっているので」
――久米地獄で(笑)。
「いえ、まぁ、アハハハハ。ヒジで顔面をカットしていましたが、それも気にならなかったです。試合が止まるかどうかが心配だっただけで。最後はサイドバックから殴った時に、相手のほうが疲れているのを感じて、RNCで極めに行きました」
――豊富なスタミナと反撃の速さ、そしてスクランブルの強さは久米スタイルが刷り込まれている証拠ではないですか。
「あぁ、うん……そうですね」
――自分で久米トレーナーのことを挙げてから、歯切れが悪くなっていませんか。
「いえ、そんなことはないです! 僕の場合は格闘技のベースがなかったから、教わったことをすぐ取り入れるためには良い点だったかもしれないです。試合では、言われたことをそのままやっているだけで……」
――正直なところ、打撃のフォームも決して綺麗だとは言えない。しかしアタックし続けることを大事にしているように感じました。
「はい。確かに前回の試合で打撃のフォームは、あまり意識していなかったかもしれないです。ただ、位置取りだけは考えるようになってきていました。……『だけ』と言っていいのかな、はい」
――……ケージの中と外でギャップが激しすぎると言われませんか。
「あぁ、はい。よく言われます(苦笑)」
――ケージの中ではあれだけアタックし続けているのに、インタビューでは緊張し続けていますね。
「ケージの中では追い詰められていて」
――試合に向けた気持ちのスイッチは、どの時点で入るのでしょうか。
「スイッチ……スイッチ、ですか。う~ん、控室で名前を呼ばれたあたりですね。そこで切り替わるところはあります」
――素の自分に戻るのはいつ?
「試合が終わったらすぐ冷めているような気がします。興奮状態もあまり続かないですね。勝ったのが嬉しくて夜寝られない、という経験もないですし。そもそも勝って安心するというほうが強いです。やっぱり試合は怖くて、試合が終わったら『よかった。生きている』と」
中堅どころのファイターとして上の選手と戦いつつ、下から来た選手を押し戻すぐらいで戦っていきたい
――結果、ワードッグのベルトを巻いたことについて感想を聞かせてください。
「そうですね、ベルトを巻いたことについて……もちろん凄く嬉しいです。でも、こういう言い方をしていいのか――ワードッグで経験を積み、ようやく上の団体に出る資格を得ることができたのかな、と感じています。そんなことを言ったら、ベルトに申し訳ないかもしれないですけど」
――今後、どのようなファイターになりたいですか。
「どういうファイター、えぇ……う~ん、……、……」
――本当にケージの中の姿とは真逆ですね(笑)。
「言葉が全然出なくて……。少し怪我をしてしまっているのと、ワードッグで次の挑戦者が決まるまでは、お休みになるとは思っています。今後はまず中堅どころのファイターとして上の選手と戦いつつ、下から来た選手を押し戻すぐらいで戦っていきたいです。
……(横にいたALIVE鈴木社長に)もっと上を目指すことを言わないと、久米さんに怒られますか?」
鈴木 アハハハ!。
「すみません(苦笑)。自分の強みは組み技で、組んじゃえば、ある程度は通用すると思っています。ただ、組みに偏りすぎているところがあるので、今のままでは上で戦っていけない。だから組むまでの流れを強化していきたいです。それと今は大阪で試合をしていますが、いつか名古屋でも試合をしたいです」




















