【UFN260】6戦全てRNC勝利のキウイ・ガール=ミシェル・モンテギューがUFC初陣「完璧なタイミング」
【写真】インタビューは水曜日、ここから相当な水抜きを行ったようだ(C)MMAPLANET
本日28日(日・現地時間)、豪州はパースのRACアリーナでUFN 260:UFC ESPN+118「Ulberg vs Reyes」が開催される。かつての日本や韓国大会、今では中国で行われているFight Night大会と違い、豪州大会は日曜日・午前スタートで米国のファンの視聴が期待されているイベントだ。
text by Manabu Takashima
それでいて全12試合中、11試合でオーストララジアン勢が出場。豪州×ニュージーランドという対決はなく、Oz & キウイ連合×世界という図式になっている。そんなUFN260でミシェル・モンタギューがオクタゴンデビューを果たし、ルアナ・カロリーナと対戦する。
長らくIMMAFで戦い、プロデビューはPFL Challenger Series。その後はPFL本戦やPFL傘下のBellator CSで戦ってきた。いよいよ世界最高峰に挑む――過去6戦を全てRNCで一本勝ちしている女子MMA切ってのフィニッシャーにインタビューを試みた。
ラグビーをしていたことで、成長するために何が必要か。具体的なフィードバックを求め、受け入れて実行する力があった
――ミシェル、今週末にパースでUFCデビュー戦を戦います。今の気持ちを教えてください。
「この場所にいられることが、凄く嬉しいわ。ホームに近い場所で、家族も試合を見に来ることができるし」
――ニュージーランドと豪州パースは、距離的には相当に離れていますが、ニュージーランド人選手が豪州で試合をするとホームという感覚になるのですか。日本人選手が韓国や中国で試合をして、そういう風に思うことはまずないかと思います。
「ニュージーランドからだと、米国やヨーロッパに行くよりずっと近いしね。それに多くのキウイズが試合に出るし、気分的にはホームね。ラグビーだとニュージーランドと豪州は最大のライバルだけど、世界を相手にした時は私たちは団結するわ。それがニュージーランドと豪州の関係ね。ANZACと言って、豪州とニュージーランドは合同の軍隊があるぐらいだし」
――なるほど、そこまでつながっているのですね。ところで日本のコアなMMAファンはミシェルのことはPFL Challenger SeriesやPFL、そしてBellator Champions Seriesで活躍を目にしてきたと思います。それでもまだ我々はミシェルのことをほとんど知りません。そもそも、なぜMMAを始めるようになったのでしょうか。
「私はずっとラグビーをやっていたの。2015年にYouTubeでMMAの人気が上ってきて。私のようなガールズが戦っていて、興味を持ったの。で、ロンダ・ラウジーの活躍を知って自分もやってみたいと思って。ググると私が住んでいた場所から45分のところにジムがあったから、クラスを覗きに行って。柔術クラスだったけど、コーチが……次の試合もコーナーに就いてくれる人だけど、『体験してみたら』って。
全く自分が何をされているのか分からなかったけど、最高の気分だった。それからMMAと柔術の練習を始めるようになったの」
――ラグビーはコンバットスポーツではないですが、フルコンタクトスポーツです。ラグビーで鍛えられたフィジカルは、MMAを始めた時に役立ちませんでしたか。
「確かにラグビーで体は鍛えられていたわ。だからレスリングのトレーニングも、積極的に参加できたと思う。それと持久力ね。ここは絶対的なアドバンテージだった。最初はラグビーの練習を終えてから、ジムに行くこともあったし(笑)。
なによりチームスポーツでもあるラグビーをしていたことで、成長するために何が必要か。具体的なフィードバックを求め、受け入れて実行する力があったと思う。ラグビーをやっていたことは、最初の数年は間違いなくアドバンテージになっていたわ」
IMMAFの経験は、私のMMAファイター人生においてとても大きな意味を持っている
――当時、女子の練習相手はいましたか。
「私がいたジムには、女子が3人練習していたけどプロを目指すという風ではなかった。でもシティキックボクシングに行っていたからジャナ・ファビアン(元PFLファイター)、ナイリン・クローリー(ONEで平田樹と対戦)達とMMAだけでなくボクシング、キックボクシングも練習できて。当時はグラップリング中心だったから、彼女たちとの練習で色んなことを学ばせてもらったと今も思っている」
――そもそも格闘技の経験がなくて、MMAを始めたことでミシェルは自然とウェルラウンダーになっていますが、長い期間IMMAFでアマの試合に出ていましたね。
「それこそMMAを始めて7年ほどはプロでは試合をしていなかったから。IMMAFの経験は、私のMMAファイター人生においてとても大きな意味を持っている。色々な経験ができた。1日で終わらないトーナメントで、ホテルに皆が宿泊して。ロシア、米国と文化が違う人達が周囲にいた。そして女子重量級のトーナメントは皆が違う国から4人が集まって、拳を交える。本当に私の人生において大きな経験になったわ」
――ところでニュージーランドを離れ、ATTの所属になったのは? プロの試合は全て米国ですし、プロMMAファイターになるために米国に移り住んだのでしょうか。
「実はIMMAFの欧州選手権に出場して、まだコロナの時期でニュージーランドはロックダウンしていたの。プロトコルで隔離政策があって……そんな時にフロリダの知人が部屋に空きがあると言ってくれて米国に向かったの」
――えぇ、母国の隔離政策を避けてフロリダに行ったということですか。
「そうよ。で、練習がしたいと思った時に近くにATTがあったの。ATTはパブリックには解放していないジムで、プロの練習だけが行われていて。『アマチュアだけど、練習に参加させてもらないですか』っていう風に連絡をとると、許しを貰えて。
ATTに行くとマリナ(モロズ)が試合を控えていて。彼女は57キロぐらいしかなくて、私の方がずっと大きかった。それもあったプロセッションに参加させてもらって、そこにケイラ(ハリソン)もやってきた。『私に何ができるの?』状態だったけど、素晴らしい練習だったわ。それがきっかけでATTが私のホームになったの」
――もう運命ですね、それは。
「ATTは凄く雰囲気が良くて。そんな雰囲気を創ってくれたのがキョージだったわ。キウイ、日本人、カザフスタン人、ポーランド人が一緒に練習して、色々な文化やバックグラウンドを持つ皆との練習は最高よ」
――ATT所属となりPFL CSからPFLと契約して本戦に出場。PFLが買収したBellatorでも戦いましたが、改めてUFCに戦場を求めたのは?
「PFLと契約できたことは、タイミング的にも良かった。ライト級で戦うには減量をする必要もなかったけど。そうしたら次の試合機会はフェザー級だった。フェザー級でも、それほど減量は必要なくて。でもPFLは女子はフライ級しか試合を組まなくなって……。マネージャーと相談し、UFCで戦っていくと決めて。そうしたらパースで戦えることになった。物凄くラッキーね」
――それもコンテンダーシリーズやRoad to UFCを経過することなく、ダイレクトにUFCデビューとなりました。
「実際コンテンダーシリーズを狙っていたわ。でも、女子バンタム級の試合が組まれていないことに気づいたの。そして『UFCも女子バンタム級を充実させたいから、このまま契約できるだろう』というのがマネージャーの見解で。もちろん、豪州大会でのホームタウン・アドバンテージも含めての判断よ。本当に完璧なタイミングだったわ」
――ライト級やフェザー級で戦ってきたミシェルですが、初めてのバンタム級ではベストバージョンのミシェル・モンタギューを期待しても良いでしょうか。
「絶対に期待してもらって構わないわ。ケイラがバンタム級まで落として、スピードがあり、パワーもある。そんなお手本が近くにいて、メイン・トレーニングパートナーはビア・メスキータとヤナ・サントスで。3人揃って同じ時期に試合があるから、しっかりと仕上げることができた」
――今挙がった名前の選手は皆、UFCバンタム級で戦っています。頂点のケイラもチームメイトです。ATTはチーム内対決がありますが。
「同じコーチに就いてもらっている選手とは、タイトル戦以外では戦わないわ。私たちは手を取り合って、試合に勝てるよう練習をしている仲だから」
――では、対戦相手ルアナ・カロリーナの印象を教えてください。
「う~ん、スピードがあるけど重いパンチも持っている。ムエタイも使いこなせている。ただフライ級に階級を上げてきて最初の試合でしょ? フライ級時代は何度か計量失敗もしているし、私にとってはデビュー戦だけど相手にとって不足はないわ。
基本、グラップリングは私の方が上ね。プレッシャーを与えてミスを誘ったり、穴を見つけて戦うわ。打撃でもパワーを見せて、ファンの皆が楽しめるファイトをしたいと思っている」
――ミシェル、ありがとうございました。最後に日本のファンにメッセージをお願いできますか。
「ワタシハ、ミシェルルデス」
――おお、上手ですね!!
「フフフフ。日本のファンの皆、サポートありがとう。いつか日本に行って、女子選手と交流したいと思っているわ」
■視聴方法(予定)
9月28日(日・日本時間)
午前8時00分~UFC Fight Pass
午前7時45分~U-NEXT
■UFN 260対戦カード
<ライトヘビー級/5分5R>
カーロス・アルバーグ(ニュージーランド)
ドミニク・レイエス(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ジミー・クルート(豪州)
イワン・エルスラン(クロアチア)
<フェザー級/5分3R>
ジャック・ジェンキンス(豪州)
ラモン・タヴァレス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
ニール・マグニー(米国)
<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
チャーリー・キャンベル(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
ナバホ・ステーリング(ニュージーランド)
ロドルフォ・ベラート(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ペトロスキー(米国)
キャム・ロウストン(豪州)
<ライト級/5分3R>
ジェイミー・マラーキー(豪州)
ロランド・ベドヤ(ペルー)
<バンタム級/5分3R>
コルビー・シックネス(豪州)
ジョジアス・ムサザ(コンゴ民主共和国)
<女子バンタム級/5分3R>
ルアナ・カロリーナ(ブラジル)
ミッシェル・モンタギュー(ニュージーランド)
<ヘビー級/5分3R>
ブランド・ペリチッチ(豪州)
アライシャ・アリソン(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
ローマ・ルックンブンミー(タイ)
アレクシア・タイナーラ(ブラジル)