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【Nexus SAPPORO】武尊に憧れて格闘家へ。塩谷優斗「僕がベルトを獲って、Nexusの価値を上げる」

【写真】GWには東京での武者修行も行った塩谷。Nexusのビッグマッチ=後楽園大会出場と王座奪取が当面の目標だ(C)TAKUMI NAKAMURA

18日(日)北海道札幌市の札幌市東区体育館で開催されるNEXUS REVOLUTION 2025 in SAPPOROにて、塩谷優斗が中里俠斗と対戦する。
Texy by Takumi Nakamura

青森・スカ-フィストに所属する塩谷は2023年12月にNexusでプロデビューし、ここまでNexusを主戦場に4戦を戦ってきた。Nexusのビッグマッチ=後楽園大会への出場とタイトル奪取を目標に掲げ、東京での武者修行も敢行。アマチュア時代にプロ昇格をかけて対戦している中里戦を前に話を訊いた。


――取材前にSNSを拝見させてもらったのですが、GWを利用して東京で練習されていたようですね。

「自分は普段昼間に仕事をしながら格闘技をやっているんですけど、GW中は仕事が休みだったので、東京で武者修行じゃないですけど、いろんなジムへ行かせてもらいました」

――以前からGWに東京で練習しようと思っていたのですか。

「予定を立てている段階では、5月に試合があるかどうか分からなかったんですが、今後を考えた時に一度東京で練習した方がいいなと思い、先を見越して東京で武者修行させてもらいましたね」

――どういったジムで練習されたのですか。

「最初にTRIBE TOKYO M.M.Aに行って、ファイティングラボ高田馬場、アライアンス、最後はポーラージムで練習させてもらいました」

――普段手を合わせない選手たちと緊張感のある練習ができたと思うのですが、どんな収穫がありましたか。

「めちゃくちゃいい練習ができましたね。東京は色んなプロの選手がいるし、青森では出来ない練習や経験を積むことが出来ました。ただ青森ではあまり電車に乗らないんですけど、東京は電車移動がメインじゃないですか。乗り換えが難しくて、ジムに辿り着くまでが大変でした」

――それは地方から出てきて東京で練習する選手あるあるですね。

「しかも僕は出稽古をお願いしている側だから遅刻できないじゃないですか。移動の時点で緊張感があったので、そういう意味でも試合に近い緊張感で練習させてもらいました(笑)」

――試合の話をすると、前回12月の平山諒戦では逆転kO負けという悔しい展開でしたが、あの試合を振り返っていただけますか。

「これは言い訳ではないんですけど、仕事の関係でいつもより追い込み期間が短かったんです。練習通りの動きは出来たのですが、そこから先のあと一歩が出なかったので、平山選手とはもう1回やらせてもらいたいです」

――塩谷本人としてはモヤモヤが残る試合だったんですね。

「試合までの過程が良くなかったなと思います。試合中も最後は自分のことを信じきりすぎたというか、過信しすぎた部分があって。1回打撃を効かせた時に、ここでKOしたら盛り上がるとかファイターは人気が出てなんぼだと思って、そのまま真っ直ぐいっちゃったんですよね。打撃が効いたと思った瞬間、もっと冷静になってフェイントを入れたりした方がよかったかなと思います。そこはもう単純に自分の経験が不足だし、負けたことはものすごく悔しいですが、学んだことはめちゃくちゃ多かったですね」

――塩谷選手はMMAPLANET初登場なので基本的なことも聞かせてください。何歳の時に格闘技を始めたのですか。

「自分は小中高と野球をやっていて、ずっとプロを目指して頑張っていたんですよ。甲子園には行けなかったんですけど、大学で活躍すればワンチャン勝負できるかなという状況で。ただ僕自身、もう野球はいいやと気持ちが切れたところがあって、野球は高校までで区切りをつけました。で、自分は野球をやりながらK-1が大好きで、武尊選手の大ファンなんですよ」

――塩谷選手はK-1ファンだったんですね。

「はい。YouTubeで武尊選手と小澤海斗選手の試合を見てから、K-1と武尊選手にハマっちゃって。昔から気性は荒い方で、中学生の頃は休み時間にK-1ごっこみたいな感じでふざけて友達と殴り合ったりしてました(笑)。そういう自分を知っている小学校からの友達が『野球を辞めたんだったら格闘技をやってみろよ』と薦めてくれて、それでスカーフィストに入りました」

――K-1ファンだった塩谷選手はなぜスカーフィストに入会されたのですか。

「自分はK-1ばっかり見てたんで格闘技=キックボクシングで、格闘技ジムはキックボクシングを教えてもらうところだと思ってたんですよ。だからジムに入って初めてキックボクシング以外も教えてもらえるんだと思いました(笑)。それからキック以外のクラスにも出るようになったんですが、いざやってみると柔術やグラップリングの方が面白くなってきて、最終的にMMAの方に行こうと思いました」

――実際に格闘技をやってみたら、組み技やグラップリングの方が合っていたのですね。

「もちろんキックボクシングにも技術はあるんですけど、どちらかと言うと本能的じゃないですか。でも寝技やグラップリングはなんで技が成功したのか、なんでやられたのかが理論的で、そうやって考えながら練習をするのが性格的に好きなんだと思います。ただ試合になると殴る方が好きなんで、殴りにいっちゃう感じですね」

――塩谷選手は2023年12月にプロデビューしてNexusで4試合(2勝2敗)戦っていますが、ここまでのキャリアをどう感じていますか。

「学生時代は自分のことを最強だと思って生きてきたのですが、ジムに行ってみるとみんなにボコボコにされて、何もできなかったんです。その時に純粋に強くなりたいと思って格闘技をやっていたら、いつの間にかプロデビューしていました。ただ現実的に格闘技で飯が食えているかと言ったら、それ一本ではまだ食えていません。そう考えたときに、自分の成功が何かを考えたら、格闘技で飯が食えるようになって、人から憧れを持ってもらえるようになったら成功なのかなと思います。自分はプロデビューして1年で4試合組んでもらって、そこはすごく団体に感謝してるんですけど、自分が考える成功にはほど遠いし、戦績的にも悔しい気持ちがあるので、そこを自分の実力で変えていきたいです」

――対戦相手の中里俠斗選手にはどんな印象を持っていますか。

「実はアマチュア時代にプロ昇格をかけて1回やっていて、その時は僕がスプリット判定で負けたんですよ。彼はそのあとに2年くらい格闘技から離れて違う道に行ったみたいなんですけど、自分はその間も真剣に格闘技に向き合ってきました。アマチュアでは負けている相手ですけど、彼とは格闘技に対する姿勢が違うんで、それで彼にリベンジします」

――格闘技にかけている想いの差が出る、と。

「でも試合は結果がすべてなんで。その気持ちだけではなく、ちゃんと差を見せて勝ちたいです。ふたを開けてみたらこんなに実力差があるんだ、みたいな。相手は年下ですし、試合ではしばき回したいです」

――今後の具体的なファイターとしての目標はありますか。

「最終的にはみんなが憧れているRIZINに出たいです。でもそれは知名度を上げてではなくて、しっかり実力で呼ばれたいので、そこまで自分の実力をつけたいです。そのためにも今自分が戦っている団体=Nexusを盛り上げて、それが出来たらNexusの価値を上げるために色んなところに喧嘩を売りに行きたいと思っています。今は目の前の試合に勝って、Nexusの後楽園大会に出たいです」

――横山武司選手や河村泰博選手はNexusの王者として他団体でも戦っていますし、Nexusは選手のチャレンジを後押ししてくれる団体なので色々と可能性が広がりそうですね。

「RIZIN以外にDEEPや修斗やパンクラスがあって、素直にどこもレベルが高いなと思うんですけど、別にNexusが負けてるかと言われたら負けてないと思うので。そう思ってるからこそNexusのベルトを獲って、各団体のトップどころが集まるRIZINに出て、喧嘩を売りに行きたいです。自分、K-1ファンだったんで中村さんに取材してもらってめっちゃ嬉しいんですけど(笑)、中村さんが『THE MATCH 2022』の会見で『対抗戦、やるならやるよ』って言ったじゃないですか。あれがめっちゃ好きで、自分もNexusのチャンピオンになったら、そういう姿勢でやっていきたいです」

――まさか最後にそこを拾ってもらえるとは思いませんでしたが(笑)、これからも“やるならやるよ”の精神で戦ってください!

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