【RIZIN OTOKOMATSURI】冨澤大智と対戦、山本アーセン「これが絶頂期で戦うラストチャンス」
【写真】4月26日に行われた合同公開練習では、コクエイ・コーチが間に合わず、ヨガのような動きを披露したアーセン(C)MMAPLANET
4日(日)に東京都文京区の東京ドームで開催されるRIZIN男祭りに山本アーセンが1年1カ月振りの再起戦で冨澤大智と対戦する。
text by Manabu Takashima
フライ級に階級を落とし、あの人を捕まえるためにトップに上り詰める宣言をしながら、柴田モンキー有哉にヒザ十字で敗れ、1年以上実戦から離れたアーセン。この間、KRAZYBEEでの活動に大きな変化が生じ、彼自身にも初めて専属のMMAコーチが就いた。
ジムを渡り歩く練習環境になったからこそ、気づいたこともある。キャリアで最も大切な1年が始まろうとしており、アーセン自身も「求められるのは結果だけ」と静かに話した。
BreakingDownの選手だからぶっ飛ばしてくださいとか言われるけど――
──1年1カ月振りの再起戦になります。
「そうですね。もう、そんなに経つんですね」
──この間、KRAZYBEEはチームとして存続しても、母体となるジムを離れるなど色々なことがありました。
「去年の12月31日で、あの場所では練習ができなくなりました。9月の終わりに、もうその話は出ていて。『やばい。出ないといけない。どうしよう?』が始まって。でも、人間はそうなると次に向かって行動をするもので。ジムは見つからなかったですけど、練習できる環境は確保できました。
逆に出稽古がスゲェ新鮮だし。自分はこれまで出稽古を一切したくない人間だったのですが、出てみると意外にも温かい人たちに囲まれて。為になることも、凄く多いです」
──1月の中頃かにクロスポイント吉祥寺ノックアウト・ファイトキャンプに別件で訪れた時に、KRAZYBEE勢が練習をしていて驚きました。
「場所借りしてチームの練習をしていると、クロスポイントの人達も参加してくれている形です」
──クロスポイント以外では、どこで練習をしているのですか。
「(佐藤)将光さんのファイトベースと、朴(光哲)さんのノーフェイス・ジムです。ありがたいことで、その三カ所を回らせてもらっています。俺自身、コクエイ(マックス)さんがコーチになってくれて、凄く変わりましたね。MMAとグラップリングの両方のコーチになってもらってから戦い方、考え方はだいぶ変わりました。
これまで打撃だったら打撃、寝技だったら寝技と総合格闘技であっても、総合格闘技でない戦い方をしてきたから、これからは総合格闘家として一つにこだわらない戦い方ができればと思っています」
──これまでチームを率いる立場だったアーセンは、チームへの想いが選手生活の障害になることもあったかと思います。
「今回の試合はフライ級GPのトーナメント枠が掛かった試合で、このトーナメントって今年で完結するから、自分のなかではチャンスでしかなくて。今はあんまり自分のことしか見えていないです」
──さきほど申し上げたクロスポイントで見たアーセンは、以前と違っていました。周囲の空気を良くしようという感じはなく、練習中のヒリヒリした感じしか漂わせていなかったです。
「そうッスね。常に脳みそを使っているから。一度ブレると、また戻さないといけないので。そんなタイムロスは必要ないから、逆に周りはどうでも良いぐらいになっています。これも出稽古をするようになったからだと思います。
自分のジムがあれば、時間もいくらでもあるじゃないですか。でも出稽古では決まった時間しかない。ソレを無駄にすると時間は戻ってこないから」
──オフのアーセンが入り込む余地が、自分のジムではあったけど。今は、あのアーセンがいないと。
「そう、そう、そうです。めっちゃ、分かります。ソレ。その通りです。だって締め切りがなかったら、仕事しますか?」
──だらだらとやってしまいますね(笑)。
「そうですよね(笑)。終わりが見えてくると、ちゃんとやらないとなってなりますからね。ただ俺はたまたま、こうやって練習をやっていって生きていける環境だけど、そうでない選手もいて。そうすると出稽古の時間が合わないと、参加できない。だから人数の多少は以前より大きいですね。それと移動は疲れる。それを差し引いても、良い環境になったと思います」
──では今回の相手が冨澤選手になったことについて、どのように思っていますか。
「正直、BreakingDownの選手だからぶっ飛ばしてくださいとか言われるけど、別に俺、関係なくて。俺が結果を残していないのが悪いし、自分の全てから出てきている結果だから。周りから見てコレが良いマッチメイクなら、良いマッチメイクなんだろうし。俺は誰とやろうが、関係ないし。今、この試合が求められているだけで。勝てば良いだけだから」
今はレコードを気にしないで一人一人、ぶっ倒していく
──そういう気持ちでいるアーセンですが、去年の3月の敗北はキャリアを築く上で痛かったと思います。
「まぁ、勝たないといけない試合だったけど……。でも、そこで結果を出さないのも俺が悪い。あの時と比べると、コクエイさんに指導してもらっていることもあって、レベルアップはしています。それに将光さんとの練習もめっちゃ勉強になるし、色々とアドバイスももらっています。
考え方が凄いし、本当に将光さんのことは尊敬しています。心の底から、凄い人だと思うスね。何より、心が広いっすね。やっぱり強いヤツって、心が広い。それを改めて思います」
──三浦彩佳選手が4連勝、2試合連続の一本勝ちとボーナス獲得。一番近くで見てきて、相当に刺激を受けているのではないかと。
「めっちゃなっていますよ。だって俺の待ち受け、彩佳ですからね。この写真を見ると、すげぇテンションがあがるスね。まぁ男として、負けたくないというのもあるから。悔しいというのもあるけど、あの人の横で頑張りを見ていると、本当に刺激もらうッスね。メンタルが凄いなって、見習うところしかないですね。全部、振り切っています。
だからこそ結果。結果を残す。結果しか求められていないから。とりあえず今年はトーナメントがある。こんなに素晴らしいチャンスはもう巡ってこないと思うし、久しぶりの試合が東京ドームって……俺、やっぱ持っているなって。改めて自分でも思ったし。RIZINのフライ級は強い選手ばかり。良い流れが来ているから、あとは自分の覚悟次第だと思っています」
──今回の試合に勝ち、トーナメントに優勝すると勝ち越せます。
「俺はレコードを気にするようなレコードじゃない。無敗だったら気にしているかもしれないけど、今更気にしたって何になるっていう……。勝ち越すのが一番だけど、今はレコードを気にしないで一人一人、ぶっ倒していくことに集中するだけで良い話なんで。
でも、本当に俺は狙っているから。だから自分が持っているモノを全て捧げて。これが絶頂期で戦うラストチャンスだと思っているから。本当に今回は、全部を掛けよう、と。これでダメだったらダメなのかなって。だから毎回、最後だという想いで楽しもうと思っている」
──色々とあったことが、良い方向で繋がっている感じですね。
「メンタルは凄く良いし、起こっていることも凄く良い。今、自分が持っているチームも凄く良い形だから。本当に負けることがあるなら、それは自分が折れる時だけ。自分が折れなければ勝つ」
──MMAファイター生活を送るうえで、目標でありターゲットだった堀口恭司選手がUFCと再契約を果たしました。
「いつか帰ってくると思っているから、それまでに自分が上に行き、居続ければ良いことで。別に今は恭司さんのことを口にするような場合じゃない。まずは自分で、ちゃんと結果を残して。恭司さんに見合うレコードにして、恭司さんを待っていれば良いだけだから別に何も気にしていない。とりあえず目の前のことしか考えていない。先のことを考えると、足元をすくわれてしまうので。今は今に集中して頑張る。それだけです」
■視聴方法(予定)
5月4日(日)
午前11時30分~ ABEMA、U-NEXT、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!
■RIZIN OTOKOMATSURI 対戦カード
<RIZINフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]クレベル・コイケ(ブラジル)
[挑戦者]ラジャブアリ・シェイドラエフ(キルギス)
<フェザー級/5分3R>
朝倉未来(日本)
鈴木千裕(日本)
<フェザー級/5分3R>
高木凌(日本)
秋元強真(日本)
<フェザー級/5分3R>
萩原京平(日本)
西谷大成(日本)
<RIZINワールドGPヘビー級T一回戦/5分3R>
上田幹雄(日本)
シビサイ頌真(日本)
<RIZINワールドGPヘビー級T一回戦/5分3R>
スダリオ剛(日本)
ジョゼ・アウグスト(ブラジル)
<RIZINワールドGPヘビー級T一回戦/5分3R>
マレク・サモチュク(ポーランド)
ダニエル・ジェームス(米国)
<RIZINスタンディングバウト特別ルール 98キロ契約/3分3R>
皇治(日本)
シナ・カリミアン(イラン)
<59キロ契約/5分3R>
神龍誠(日本)
伊藤裕樹(日本)
<ライト級/5分3R>
中村大介(日本)
桜庭大世(日本)
<バンタム級/5分3R>
ダニー・サバテロ(米国)
太田忍(日本)
<フライ級/5分3R>
ヒロヤ(日本)
篠塚辰樹(日本)
<フライ級/5分3R>
ジョン・ドッドソン(米国)
征矢貴(日本)
<キック 63キロ契約/3分3R>
朝久泰央(日本)
ウザ強ヨシヤ(日本)
<フライ級/5分3R>
山本アーセン(日本)
冨澤大智(日本)
<フライ級/5分3R>
平本丈(日本)
田丸辰(日本)
<75キロ契約/5分2R>
佐々木大(日本)
中谷優我(日本)
<フェザー級/5分2R>
上田貴央(日本)
ヴィニシウス(ブラジル)
<キック 57.5キロ契約/3分3R>
赤平大治(日本)
橋本楓汰(日本)