【UFC ESPN66】サーイマンとUFC初陣。マルコム・ウェルメーカー「僕はただのKOアーチストじゃない」
【写真】まさか22歳になってから、格闘技を始めていたとは……(C)MMAPLANET
26日(土・現地時間)、ミズーリ州カンザスシティのTモバイル・センターでUFC on ESPN66「Machado Garry vs Prates」が開催され、マルコム・ウェルメーカーがUFCデビューを果たす。
text by Manabu Takashima
今回のカンザスシティ大会は、UFCの親会社TKOグループホールディングスIncが所有する3つのエンターテイメント・イベントが、連続開催されるという初の試みの中で実施される。
24日はプロフェッショナル・ブルライダーズ──つまり、プロの闘牛団体──牛使いの祭典。26日がUFC、そして28日にはWWE RAWがTモバイル・センターで行われ、TKOテイクオーバーと呼ばれている。
そんな特別感のある同大会で、キャメロン・サーイマンと戦うウェルメーカーは格闘技を始めたのが22歳で、スタイルはケンポーカラテという変わり種だ。ジム自体がMMA中心となり、彼は8連勝でUFC初陣を迎える。遅いスタートと、マイナーな格闘技がベースのウェルメーカーは、自分を強くしたのは10試合に及ぶアマMMAの経験だったと話した。
――マルコム、今週末にキャメロン・サーイマンとUFCデビュー戦を戦います。今の気持ちを教えてください。
「ワクワクしているよ。世界最高峰のレベルで戦うという夢が現実になる。キャンプは最高だったし、このマッチアップも最高にエキサイティングだ。もう、楽しむ準備はできているよ」
──昨年のコンテンダーシリーズでアダム・ブラムハルドを見事な右クロスでKOして以来、マルコムがいつUFCで戦うのかを楽しみにしていました。
「ありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」
──勝利後、「打撃には自信がある」とインタビューで応えていたのですが、マルコムはもともとは打撃格闘技出身なのですか。
「僕の所属するファリエーズMMAは、元はケンポーカラテのジムだったんだ。名前もファリエーズ・ケンポーカラテだった。父や兄もケンポーカラテをやっていて、そこが数年前にファリエーズMMAになったんだ。ジムのプログラムが変わって、MMAが軸になった。でも、僕のコーナーは皆、ケンポーカラテ出身だ。
僕自身、ケンポーカラテを学びながらボクシングやレスリグを少しかじっていた。でも、ほぼケンポーカラテの練習をしていた。コーナーにいてくれるコーチは、僕のことをDay 1から知っているんだ」
──日本は拳法と空手は別々で、ケンポーカラテという競技はないです。ケンポーカラテとは、どのようなスタイルなのでしょうか。
「ぶっちゃけていうと、僕のケンポーカラテの知識は本当に少ない(笑)。コーチが黒い道着を着て指導しているとか、そんなもんで。僕が練習をやってきたなかで分かっていることは、現実的な状況を踏まえていたということ。ナイフとか、武器を持った相手と戦うことも想定されていた。首への攻撃や、急所への打撃も多かった。血なまぐさいモノだったよ」
──MMAを戦うようになって生きている点はありますか。
「オーソもサウスポーもなかったことかな。コーチからはどっちの構えでも、殴って蹴ることができるように指導を受けた。それは本当に初期の初期から習っていたことだよ。僕は自然とスイッチして戦るようになっていたけど、当時は誰もがスイッチして戦うということはなかった」
──そもそもなぜ、ケンポーカラテを始めたのですか。
「凄く自然なことだったよ。兄ちゃんや父ちゃんがMMAを戦っていて。父ちゃんは特にMMAの第一世代だった。父ちゃんはケンポーカラテのブラッグ道着でMMAを戦っていたんだ。4人トーナメントとか、そういう時代だよ。まだ、僕が赤ん坊の時だけどね。だから、まあ言えば……その時から、始まっていたんだよ」
──ではマルコムは物心からつく前からケンポーカラテをやってきたのですね。
「ノー。僕が練習を始めたのは22歳になってからだよ。だから8年前かな」
──えっ!!
「配管工をしていたんだけど、どんどん太ってしまって。一緒に働いてたヤツから『マーシャルアーツでもやって、痩せないか?』って誘われたんだよ。で、ケンポーカラテのスクールにいって、ぶっ飛ばされた。ハッハッハッハッハ」
──それまで格闘技の経験はなかった?
「ノー。ボクシングも、レスリングもやったこともなかった。バスケットボールをガキのころにやっていただけで、全く他のスポーツの経験もない。ただ父ちゃんがケンポーカラテを始めたころにベンソン・ヘンダーソンの写真を見せてくれて『お前に似ているだろう。世界チャンピオンだ』と(笑)。それでやる気がでてきて、思い切り練習するようになった。そうしたら体重も落ちて、凄く動けるようになった時にコーチから『キックの試合に出てみないか』と誘われたんだ。もちろんって答えて、TKO勝ちを収めた」
──それから、アマを経て8連勝でUFCと契約を果たせた。マルコムはもともと素質があったと思っていますか。それともハードトレーニングの賜物でしょうか。
「僕は22歳で練習を始め、キックの試合に出るようになった。周囲は本当にガキの頃から、キックやファイトをやってきた連中だ。MMAを戦うようになってからは、対戦相手の多くがキッズの時からレスリングをやっていた。
そういう意味では、10試合戦ったアマMMAの経験が凄く生きている。ハイスクールレスリングの州王者や、カレッジでレスリングをやっているヤツ。MMAでは子供の時からレスリングをやってきた人間ばかりだ。でも、喧嘩腰のファイトでテイクダウンを切ってきた。きっとラッキーだったんだよ。
特にアマの8試合目から10試合目までの3試合は、国内で最高レベルのアマMMAファイターと戦えた。あの3試合でプロでもやっていけると確信が持てた。ベストアマチュアは、プロでやる能力は十分にある。あの経験がプロでやっていけるという自信を与えてくれたんだ」
──アマとプロルールの差は、どのような点にあったのでしょうか。
「これは大会によって違うけど、僕の場合はヒザやエルボーを顔に打ってはいけなかった。それぐらいかな。他の州ではエルボーも許されて、プロルールと同じところもある。だからアマで強い選手は、プロでも結果を残せる」
──それでファイトマネーがないのは、過酷すぎますね。
「そこだよ。最悪だよ(笑)」
──では、ここからは次戦について。まず対戦相手のサーイマンの印象を教えてください。
「彼は若くて、才能のあるウェルラウンダーだ。20歳やそこでUFCにデビューをし3連勝した。今は2連敗中だけど、それは相手が本当に強かったからに過ぎない。クリスチャン・ロドリゲスとペイトン・タルボットだからね、相手は。この2敗があるからって、彼が良くないファイターなんてことは絶対にない。サーイマンは、本当にグッドファイターだよ。
破壊力もあるし、試合をまとめる力も持っている。それでも、僕は打開できる。僕の方が優れたストライカーで、優れたレスラーだ。グラップリングでも僕が上だったとしても、これはMMAだ。グラップリングじゃない。僕の力をもってすると、思うような試合ができ、フィニッシュへの道筋も見えてくるに違いない。
ファンも僕がKOファイターだと知っている。ただ倒すだけじゃない。見て楽しんでもらえる……僕はエンターテイメント・ファン・ファイターだ。1Rで倒すことができれば、それはそれで構わない。でも15分間、チケットを買ってくれた人が満喫できる激しい試合がしたい。僕はただのKOアーチストじゃない。ファンをハッピーにデキるファイターなんだよ」
■視聴方法(予定)
4月27日(日・日本時間)
午前7時~UFC FIGHT PASS
午前6時45分~U-NEXT
■UFC ESPN66対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
イアン・マチャド・ギャリー(アイルランド)
カルロス・プラチス(ブラジル)
<ライトヘビー級/5分3R>
アンソニー・スミス(米国)
チャン・ミンヤン(中国)
<フェザー級/5分3R>
ギガ・チカゼ(ジョージア)
ダヴィッド・オナマ(ウガンダ)
<ミドル級/5分3R>
ミシェウ・ペレイラ(ブラジル)
アブス・マゴメドフ(ドイツ)
<ウェルター級/5分3R>
ランディ・ブラウン(ジャマイカ)
ニコラス・ダルビー(デンマーク)
<ミドル級/5分3R>
イクラム・アリスケロフ(ロシア)
アンドレ・ムニス(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
マット・シュネル(英国)
ジミー・フリック(米国)
<ライト級/5分3R>
エヴァン・エルダー(米国)
ゲージ・ヤング(米国)
<フェザー級/5分3R>
クリス・グティエレス(米国)
ジョン・カスタネダ(米国)
<バンタム級/5分3R>
デモン・ブラックシアー(米国)
アラテンヘイリ(中国)
<バンタム級/5分3R>
キャメロン・サーイマン(南アフリカ)
マルコム・ウェルメーカー(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
ジャケリン・アモリン(ブラジル)
ポリアナ・ヴィアナ(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ティモシー・クアンバ(米国)
ロベルト・ロメロ(メキシコ)
<女子バンタム級/5分3R>
チェルシー・チャンドラー(米国)
ホセリン・エドワルツ(パナマ