【LFA203】上久保の対戦相手候補?? テミロフ弟5勝0敗5フィニッシュ✕6連続初回KOのアラウージョ
【写真】サングラスが残念。本当に兄ラマザンとそっくりなアジスベク・テミロフ。アラウージョのパンチ、左アッパーも絶対的に注目だ (C)LFA
6日(木・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのパームス・カジノリゾート内ザ・パール・シアターで開催されるLFA203「Satybaldiev vs Soares」の計量が5日(水・同)に終わっている。
Text Manabu Takashima
メインでライトヘビー級王座を賭けて戦う──王者ウラン・サチバリディエフと挑戦者レオン・ソアレスは前者が205ポンド丁度、後者が204.4ポンドと無事パス。メインカード6試合、プレリミ3試合とLFAらしくコンパクトなイベントは、珍しく出場全18選手に計量失敗が見られなかった。
注目のアラン・ベゴッソ✕ミカイアス・ウレーニャというブラジル✕ドミニカの実力者の対戦こそ消滅したものの2週間前に上久保周哉がオタツイスターで勝利し、その存在感を絶対としたバンタム級の試合が4試合組まれた同大会。
プレリミ3試合は全てバンタム級で、メインカードの第1試合もスタフ・コーレン✕チェイス・ウィットマーと4試合連続で135ポンドの試合が続く。上久保の次戦の相手がこの4試合にいないとも限らないのでマストチェックだ。
特に気になるのはプレリミメイン出場のアジズベク・テミロフだろう。その面構えを見ても、想像がつくようにRIZINからUFCに転じ連勝中のラマザン・テミロフの弟が、このアジズベクだ。2023年8月にプロMMAデビューを果たし、昨年10月まで5試合を戦い5勝0敗。全試合がフィニッシュ勝利で、2Rを戦ったのは1度だけというフィニッシャーだ。
打ち合い、前に出てくる相手、下がる相手としっかりと距離を合わせて一発KOしてしまうアジスベクは兄以上の破壊力のあるフックの持ち主といえる。基本は打撃戦。ただしテイクダウンを切る能力も高い。特にアジスベクはテイクダウンを切ると、スタンドの間合いに戻る一瞬の隙にパンチを当てることにも秀でており、パウンドやダーティボクシングも強烈だ。
ところが、対戦相手ダニエル・アラウージョのボクシングがまた半端ない。技術的にはアジスベクの数段上といっても過言でないだろう。仮にボクシングで戦えば、アジスベクに勝ち目はないはずだ。そのアラウージョのMMA戦績は6勝0敗で、対戦相手のレベルは分からないが全て1RKO勝ち。プロボクシングも7勝1敗で3つのKO勝ちという記録を持つ。そんなアラウージョのパンチで、注目すべきは前手だ。オーソながら左ジャブでKO勝ちも記録しており、パワーというよりもタイミングで相手を倒した感が強い。
何よりリードフックばかりかリードアッパーも巧みで、特に右ストレートを見せておいての左アッパーの見事さは、世界最高峰の舞台でも、そうそうお目にかかったことがない。と同時にMMAの距離から組みの圧を交えての打撃戦になれば、アラウージョがどこまで対応できるのかは気になるところだ。
一応は過去の試合でテイクダウンを奪われからのスクランブル、バックを取られても前方に落とすなどMMAの対応はできているアラウージョ。そのうえでアジスベクに見られるMMA独特の間を埋める打撃は、アラウージョの過去の試合では見られなかった。MMA打撃=アジスベク✕ボクシングを見事にMMAにアジャストしたパンチ=アラウージョという打撃戦の行方は、両者の質量にかかってくるか。非常に気になるプレリミ戦だ。
またIBJJF殿堂入り柔術家、ビア・メスキータにとって4戦目のMMAも今大会で組まれている。組み急ぐことなく、勝負どおろを抑えることができる柔術界の女王と相対するホープ・チェイスは空手ワールドチャンピオン✕20という肩書が見られる。
どのような世界王座が不明だが、確かにチェイスは空手の実績があることはYouTubeを検索しても明らかだ。ただし、そのほとんどが型で、時にはBGMをバックに派手なアクションを交えつつ、見事なヌンチャクを披露するというモノまである。ヘッドギア装着の組み手の試合も確認できるが、ド派手な蹴りを繰り返し、体を伸ばすように突きを放っていた。
どうやらチェイスの空手とは今ではコブラ会、古くはベストキッドと銀幕やモニターで視られたような動きで、日本人の考える空手とは相当に剥離がある。
よってMMAでも空手というよりも、遠い距離から積極的にパンチを振るうスタイルで戦っており、組み手で見せた派手な蹴り技を使うことはまずない。そんなチェイスがビアを止めることができるとすれば、ジャブを当てて離れること。その繰り返しを15分持続できないと、彼女の勝ち目は相当に少ないだろう。
さらにはNCAAレスリングとフットボールの2つで全米トップの活躍をしたジョン・ホキットのLFA2戦目もメインカードで組まれている。Bellatorを離れ、UFCの登竜門で戦うホキットのファイトも要注目だ。
■視聴方法(予定)
3月7日(金・日本時間)
午後1時00分~UFC FIGHT PASS
■LFA203対戦カード
<LFAライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ウラン・サチバリディエフ(キルギス)
[挑戦者]レオン・ソアレス(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
シャラフ・デブラトムロドフ(タジキスタン)
クリスチアーノ・フロリッチ(ブラジル)
<女子バンタム級/5分3R>
ビア・メスキータ(ブラジル)
ホープ・チェイス(米国)
<フライ級/5分3R>
アウプニ・パガオア(米国)
ホセ・サンドバル(メキシコ)
<ヘビー級/5分3R>
ジョシュ・ホキット(米国)
エゼキエル・ラトゥ(米国)
<バンタム級>
スタフ・コーレン(イスラエル)
チェイス・ウィットマー(米国)
<バンタム級/5分3R>
アジズベク・テミロフ(ウズベキスタン)
ダニエル・アラウージョ(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
エズラ・エリオット(米国)
ホセ・ヴァスケス(メキシコ)
<バンタム級/5分3R>
キャメロン・サンドヴァル(米国)
ヴィクトー・サントス(ブラジル)