IT’S SHOWTIME世界王座に挑戦、山本真弘インタビュー
日本を代表するトップファイターの一人、山本真弘が、12月11日のIT’S SHOWTIMEアテネ大会へ出場することが決まった。対戦相手は、61キロ級世界王者のセルジオ・ヴィールセン。いきなりタイトルに挑戦することとなった山本に直撃インタビュー。IT’S SHOWTIME、K-1、これからのことを尋ねた。
【キャプ】日本代表として、IT’S SHOWTIMEに殴り込みをかける山本真弘。彼のスピードは、世界を驚かせるはずだ (C) GONG KAKUTOGI
――IT’S SHOWTIMEへの出場が決まり、大きな話題になっています。
「そうですね。嬉しいです」
――オファーがあったのは、いつくらいですか?
「今年の9月の中旬くらいだったと思います。以前から出たいなと思っていたので、嬉しかったですね」
――IT’S SHOWTIMEに、もともと興味があったわけですね。
「はい。海外の色んな選手と戦うことができるし、61キロはベストの体重なので、嬉しいですね」
――IT’S SHOWTIMEには、どんなイメージがありますか?
「本当に強い選手が上がっているというイメージがあります」
――ヨーロッパではK-1を越える勢いがあるとさえ、言われています。
「演出が派手で、似たようなイメージはありますね。本当に強い選手ばかりが出ていますし」
――5人制ジャッジに関してはいかがですか。
「それは最近、知りました(笑)。何とも言えませんけど、空手みたいですよね。主審、副審が4人というイメージです」
――山本選手は、空手をやられていましたから違和感ないですか。
「ええ。自分は、新極真のジュニア大会に出ていましたし、子供の頃から空手をやっていますからね。5人制は慣れていますし、懐かしいです。あとは、より公平な感じもします」
――タイ人とは試合をされていますが、他に外国人とは。
「タイの他には、モンゴルの選手(ツグト忍=当時、白鳥忍)だけです。ヨーロッパの選手とは闘ったことがないです」
――61キロでは、打倒ムエタイが大きなテーマですからね。
「でも探せば、まだまだヨーロッパにも強い選手はいくらでもいるんですよね。日本で、知られていないだけで」
――そうですね。王者ヴィールセンも、その一人です。彼のことをどう分析されているのでしょうか。
「バネがありますね。あとは、形がない。オーソドックスとサウスポーに構えをチェンジさせて戦っているし、まさかのタイミングで攻撃が飛んでくるイメージがあります」
――動き回る山本選手も形がない気がしますが……。
「えっ!? 自分は、形が完成していると思いますけど(笑)」
――もちろん、動き回って攻撃するというスタイルは確立されていますが、何が飛び出すかという面で。
「ああ、そういう意味ですか。何が飛び出すか分からない……、そういう意味でのトリッキーな面はあるかもしれませんね」
――初めてヨーロッパの選手(ヴィールセンはスリナム出身のオランダ国籍)と戦うわけですが、彼らに対してどんなイメージがありますか。
「優勢に戦っているときは強さを発揮しますけど、劣勢になるとすぐに試合を諦めるようなイメージがありますね。日本人は、足が折れても戦うという強い気持ちがありますけど、ヨーロッパの選手は自分の体を大事にしている感じがします」
――ヴィールセン選手の前回の試合(ミッシェル・ペイノー=判定勝ち)をご覧になられましたか?
「はい。あまり動きが良くなかったですね。あれを最低と思って、最高に強いイメージを持ってリングに上がりたいと思います」
――試合は、これまで通りのスタイルで勝負するつもりですか。
「まずは動いて、より自分からアグレッシブに戦っていきます」
――よりアグレッシブに!?
「アウェイですからね。一度は倒さないと勝たせてもらえないと思います。明確な差をつけて勝ちたいです」
――山本選手は、K-1の-63キロ級トーナメントに出られました。優勝した大和哲也選手に延長の末、負けてしまいましたが、やはり63キロがネックだったのでしょうか?
「骨格的に、まだ63キロの体ではなかったですね。実際にあたってみて、違うことがよく分かりました」
――試合前は、空手は無差別級で闘っていたので関係ないと言われていましたが。
「顔面があるとないでは、プレッシャーが違いますね。やはり60、61キロがベストです」
――大和選手については、いかがでしたか?
「あの試合は、ナメていた部分が多かったです。60キロで勝っていたので、何も研究せずにそのまま試合をすれば何とかなるだろうって思っていたんですけど、自惚れていましたね。藤原(敏男)先生にも、そこを指摘されて、反省しました」
――対戦相手を研究するタイプなのですか?
「いや、あまりしないです(苦笑)。でも、体格を考えたら研究をしないとダメでした」
――では、前回の羅紗陀選手(9月26日、判定負け)との試合は……。
「言い訳っぽくなってしまうんですけど、ヒジ打ち無しと有りのルールを交互にやっていて、距離が分からなくなって戸惑っていたのが敗因です。あとは、様子を見すぎたことも反省しています」
――なるほど。では、今後のことですが、どこを目標にされているのでしょうか。
「とりあえず、タイトルをとって海外で試合をしていきたいです。向こうで評価されたいし、チャンピオンになってタイトルも防衛していきたいですね。ヨーロッパに参戦しているタイ人もいるし、向こうだと強い選手と戦うことになります」
――オランダのジムで特訓するとかは。
「これまでオランダもそうですけど、タイでも練習をしたことがありません。得るものがあれば、いきたいと思いますけど、今はそれを感じていません」
――海外で練習をする選手が増えていますが、そのことについてはどう思われていますか。
「そうなんですよね。後輩も、タイで練習をしたいと言っていますし。でも、自分は日本でも出稽古はしません。ボクシングジムには行きますけど、あれはパンチの練習ではなく、あくまでも目を慣らすため。
スパーリングは、いろいろな選手とやりたい気持ちはありますけど、まずは自分の道場でしっかりとした練習をすることが大切だと思っています。先生にも言われましたが、日本でしっかりとした練習をできない奴が、他でできるわけがないと。自分も、そう思います」
――それは、黒崎健時先生も話されていました。空手の選手も、基本は自分の道場で特訓して強くなるわけですからね。
「そういう意味でも、自分は空手家の魂が、深く残っているのかもしれませんね」
――では、ギリシャでは日本のキックボクサーの強さを、ぜひ海外でアピールしてください。
「はい。頑張ります!!」