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【UFC124】GSP×コスチェック、TD攻防前の打撃戦が鍵

GSPUFCにとって2010年のラストイベントが、11日(土・現地時間)にカナダはモントリオールのベル・センターで行われる。UFC124「St-Pierre vs Koscheck」は、UFC世界ウェルター級王座を賭けて争われるTUF12コーチ対決がメインだ。良識ある地元出身の世界チャンピオンGSPに、バッドボーイ・キャラのジョシュ・コスチェックが挑む。

【写真】今やMMA界随一のダブルレッグダイブの使い手といっても、おかしくないGSP。この動きを止める手立ては、コスチェックにあるのだろうか (C) ZUFFA

前哨戦というわけではないが、TUF12で優勝したジョナサン・ブルッキンス、準優勝のマイケル・ジョンソンともにチームGSPに所属しており、いわばシーズン12は、チームGSPが勝利したようなもの。また、両者は07年8月に対戦しており、この時は3R判定ながら3-0で、GSPが圧勝しており、コスチェックとしては二重のリベンジとなる。

前回の対戦では、今のようにGSPのダブルレッグダイブの精度の高さが認識されておらず、オールアメリカン・レスラーのコスチェックのテイクダウンをいかに耐えるかというところが、一つの見どころだった。しかし、蓋を開けてみると、GSPは1Rからレスリング勝負でコスチェックを圧倒。


1Rこそ、テイクダウンを奪われても立ち上がることができたコスチェックだったが、2R、3Rは背中をキャンバスにつけて戦うことを強いられ続けた。最終ラウンド最後の局面では、GSPが圧倒的に試合をリードした場合に繰り出す足関節まで仕掛けられ、コスチェックは完敗を喫している。

あれから3年、GSPは体力、技術、戦術、そして精神面と充実の一方で、コスチェック戦から現在まで7連勝を達成している。一方のコスチェックは、急遽対戦が決まったチアゴ・アウベスに敗れ、またパウロ・チアゴに思わぬTKO負けを喫するなど、取りこぼしもあったが、GSP戦以降は6勝2敗と勝率は75パーセントを数えている。

Koscheck【写真】トラッシュ・トーク、観客への過剰な反応など、悪者キャラのジョシュ・コスチェックだが、TUF12でのコーチ振りからも分かるように、非常に真面目にMMAと向き合っている。所属するAKAでは、自らの指導時間前に、練習生がつけるにMMAグローブを丹念に磨き続ける姿も確認されている (C) MMAPLANET

「友達を作るために戦っているんじゃない、タイトルを取るためだ」と公言するコスチェックは、ファンに対しても平気で悪態をつくバッドボーイ・キャラだが、練習に対する真摯な姿勢はAKAの誰もが認めるところだ。

TUFシーズン12のコーチ役で出場した際も、GSPに何かと絡もうとしたコスチェックだが、チャンピオンは「本来は一緒の部屋にいるのも嫌、TUFはビジネスだから我慢した」と、コーチ役の2人が会話をするシーンは、TUFでも異例なほどに少なかった。

「言葉でなく、ケージのなかで自分の意見は伝える」という姿勢のGSPに対し、そのセリフを真似て笑みを浮かべるコスチェックは、再戦に向けて「倒されても、すぐに立ち上がることができるようになった。あとは拳で倒す」と自信を深めている。

テイクダウンの攻防が、この試合の鍵を握るのは当然だが、GSPのテイクダウンが決まるかどうかは、それ以前の打撃の攻防に掛かってくる。上下運動が非常に少ない構えで、体重を掛けない、いわば『倒す気のない』パンチで、対戦相手を翻弄。重心移動に付け込み、ダブルレッグを仕掛ける――それがGSPのMMAだ。

テイクダウンのための打撃の仕掛けに惑わされないためには、コスチェックは自らの距離で戦う必要がある。KO宣言を行ったコスチェックだが、そのためには純粋レスリング勝負を狙い、GSPの体力を削る必要がある。間違っても、GSPの打撃に打撃で対抗すれば、それはテイクダウンを許すことに直結する。

最終的に打撃で勝つにも、まずはレスリングで先手を打ちたい。とはいっても、ポール・デイリーを面白いように転がし続けたコスチェックだが、前に出てきてハードヒットを狙う相手と、GSPをテイクダウンすることを同列で語ることはできない。

GSPを相手に、レスリング勝負に持ち込むには、縦と横だけでなく斜め、コスチェックからすると左斜め前への機敏な動作が必要となる。GSPは常に対戦相手が前に出てくると、ケージにそって右へステップバックし自らの距離を保っている。そのGSPの足を止めるには、平行移動で追いかけるのではなく、行く手を阻むように斜め前に移動する必要があるということだ。

最近、フィル・ナースというムエタイ・コーチの存在が注目を集めるGSP陣営だが、ごく常識的に考えると、従来のレスリング+ボクシング・スタンスをコスチェックが取るようであれば、狙いは前足へのローキック。ローで行き足を止められると、コスチェックの王座奪取の可能性は、一発狙いの荒いパンチに頼るしかなくなる。

ローを対処し、バックステップを許さず距離を潰して、テイクダウンを奪う。この繰り返しで、3年以上に渡り、自分のペースでしか戦ってきていないGSPのリズムを狂わせ、疲れさせる。それがコスチェックの王座奪取への方程式、『言うは易し、行うは難し』のGPS対策だ。

■UFC124 St-Pirre vs Koscheck II対戦カード

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョルジュ・サンピエール(カナダ)
[挑戦者]ジョシュ・コスチェック(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ステファン・シュトゥルーフ(オランダ)
ショーン・マッコール(米国)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
シャーウス・オリヴェイラ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
ジョー・スティーブンソン(米国)
マック・ダンジグ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
チアゴ・アウベス(ブラジル)
ジョン・ハワード(米国)

<ライト級/5分3R>
マーク・ボチェック(カナダ)
ダスティン・ハザレー(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジェシー・ボンフェルツ(カナダ)
ハファエル・ナタウ(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
マット・リデル(米国)
ショーン・ピアソン(カナダ)

<ミドル級/5分3R>
ジョー・ダークセン(カナダ)
ダン・ミラー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
TJ・グラント(カナダ)
ヒカルド・アルメイダ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
パット・オーディンウッド(米国)
ジョン・マクデッシ(カナダ)

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