【Gladiator029】オトゴンバートルと王座決定戦、今井健斗「今まで戦ってきた日本人選手とは一味違うぞ」
【写真】念願のタイトルマッチ、相手はオトゴンバートル……ここで気持ちも熱くなるのが今井健斗というファイターだ(C)SHOJIRO KAMEIKE
12日(日)、大阪府豊中市の176boxでGLADIATOR029が開催され、今井健斗がオトゴンバートル・ホルドバートルとのGladiatorフライ級王座決定戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike
2021年7月のプロデビューから13戦目で、今井がベルトに挑むチャンスを得た。昨年5月、グラジ初参戦で元修斗王者の山上幹臣にTKO勝ち。柔道ベースの組技を生かし、山上戦を含めて現在3連勝中だ。ベルトを賭けて戦う相手は、猛威をふるうモンゴル勢の中でも将来が期待されるファイターの一人、オトゴンバートルだ。この強敵との対戦を前に、今井は自身のことを「ビビりです」と語った。その意味とは。
――タイトルマッチを控えるなか、SNSに「なかなか体重が落ちない」と投稿されてしましたね。
「あぁ、それですね(苦笑)。いつもより落ち方が良くないかな、というぐらいで。最終的には水抜きで落とせる範囲なので大丈夫です」
――今までも、それほど減量で水抜きはやっていないのですか。
「できるだけ水抜きで落とす量は減らしたくて――××キロ未満に抑えたいです」
――水抜きで××キロ以上落とすと、試合当日のコンディションが変わるのでしょうか。
「試合での動きが変わるわけではないですね。ただ、今まで水抜きで××キロ以上落とすと負けている、という変なジンクスがあって。だから、願掛けみたいなものです(笑)」
――なるほど。今回はオトゴンバートルとのフライ級王者決定戦が決まりました。まずオファーが来た時の気持ちを教えてください。
「もともと1月は別の海外選手と対戦する予定だったんですよ。それが選手の負傷とか、いろいろあったと聞いています。それで仕事中に代表(高瀬一平、マーシャルアーツクラブ中津川代表)から『オトゴンバートルとのタイトルマッチ』という連絡が来て、ビックリしました。
僕の中では、オトゴンバートルとベルトを賭けて戦うには、あと1~2試合は勝たないといけないと思っていました。グラジで1月、4月と外国人選手に勝ったら、6月あたりにタイトルマッチがあるかな――と。それがこの1月にオトゴンバートルとのタイトルマッチが組まれて、僕としてはラッキーです」
――それだけグラジのベルトに絡むのは先だと考えていたのですか。
「まだグラジでは2戦しかしていないですからね。でもフライ級戦線を見てみると、まずNavEさんが試合できない。それとクボケン(久保健太)さんと和田教良選手はオトゴンバートルに負けているし、僕しかいないだろうとは考えていました。ただ、さすがに1月はないと思っていましたね」
――逆に「あと1~2試合経験を積んでから……」と、今回のオファーを断ることは考えなかったでしょうか。
「その考えは100パーセントなかったです。もともと僕は今まで一度も試合を断ったことがないんですよ。オファーが来たら戦う。そこに偶然ベルトが付いてきたという感じで。偶然、対戦相手がオトゴンバートルだっただけですね。
それに自分が1~2試合やっている間にオトゴンバートルも試合を経験するだろうし、僕も強くなるけど相手も強くなる。だったら、いつ戦っても同じじゃないですか。それなら今やれる時にやりたいと思いました」
――心強い言葉です。改めてオトゴンバートルの印象を教えてください。
「前回の風我戦は「判定決着でしたけど、僕の中でオトゴンバートルの評価がさらに上がりました。和田選手やクボケンさんとの試合は、鋭いテイクダウンに入られることもなく、早期決着だったので何も分からなかったんですよ。でも風我戦は、良いタイミングのテイクダウンを切る、足を持たれた後の対処、長期戦になっても最後までスタミナが切れずに、しかも攻め切ることができる――思っている以上に強かったです(笑)」
――確かにそうですね。そして、まだどれぐらい強いのかが分からない状態でもあります。
「アハハハ、そうですね。風我の後に『怪我があって練習ができていなかった』というコメントがあったと思うんですよ。今回はベルトが懸かっているから、さらに良い状態で仕上げてくる。試合経験も積み、3Rも経験して、さらに強いオトゴンバートルになっている。だから僕は、オトゴンと戦いたいです」
――オトゴンバートル戦に向け、何か新しく取り組んでいることはありますか。
「もともと岐阜県多治見市にあるGSB多治見に出稽古で行かせてもらっていて、今は打撃のパーソナルトレーニングも受けています。もともと相手が打撃の選手なので、打撃をやろうと思いました。代表の梶田高裕さんから『こういうコンビネーションがあるよ』『こういう考え方もあるよ』と教わっていて。正直、今まで自分は打撃に関して感覚的にやっているところがあったんですよ。でも梶田先生の指導で、いろんな考えを頂いています」
――打撃は感覚的にやっていた……これまで打撃と組みでは、考える割合はどれくらい違いましたか。
「組み8、打撃2――ではないですね。組み9、打撃1ぐらいの割合でした」
――良かったです。「組み8」と言った瞬間に「えっ!?」と思いました。「いやいや、組み9でしょ」と(笑)。
「アハハハ! そうですよね。まだパーソナルトレーニングを受け始めて日は浅いので、まだまだ効果を実感するには時間が掛かると思います。でも今はとにかく新しいことが頭と体に入ってきています」
――それとSNSでは「フライ級の強い選手と練習したい」と投稿していました。
「そうなんです。今の環境で一緒に練習しているフライ級といえば、クボケンさんと前回一緒に取材してもらった廣瀬ぐらいで。二人ともストライカーだから、鋭いテイクダウンを仕掛けてくるタイプとかとも練習したいという気持ちがあります。
でも移動時間を考えたら、他県に行ってもその練習だけで1日が終わっちゃいますよね。それでは時間が勿体ない、と考えてしまうんです。だから、いつもどおり朝レスリングに行って、昼は所属しているマーシャルアーツクラブ中津川、夜がGSB多治見という練習スケジュールになっています」
――朝のレスリングというのは?
「中津商業高校のレスリング部が強くて、そこへ練習に行かせてもらっています。僕は中津商業高校の卒業生ではないんですけど、ジムの代表は顔が広くて」
中津商業高校レスリング部:
岐阜県の名門レスリング部。これまで高瀬代表も含め中部のMMAファイターがレスリングの練習に通っている。現在の成瀬一彦監督は中津商業から日体大に進み、元Grachanフライ級王者の鈴木隼人と同期。レスリング部ではキャプテンを務めた。
――純粋なレスリングのルールで、純粋なレスリングの練習をすることで、何か変わってきた面はありますか。
「結構変わってきましたね。打撃が有る無いで距離も違うじゃないですか。僕もMMAレスリングは結構自信があったんですよ。でもレスリングをやってみると――打撃なしで、どうやってテイクダウンに入るんだろうか、って(苦笑)。でも、そこから崩しとか、いろんなことを教えてもらって。大学のレスリング部で練習させてもらっても、通用するようになってきて。レスリングの試合にも出させてもらったことがあります。岐阜県内のスポーツ大会で、団体戦ですけど3位になりました。最近はMMAでも、ようやくレスリングの成果が出てきているかもしれないです」
――打撃とレスリングの強化、それがMMAに繋がる試合に期待しています。次の大一番に向けて、意気込みをお願いします。
「オトゴンバートルはストライカー寄りのオールラウンダーみたいな感じで来るかなと思います。でも自分は今までアマからプロまで17戦やってきて、一度もKO負けしたことがないし、ダウンしたこともないし、クリーンヒットをもらったことがないんですよ」
――そうなのですね。体が強い、ということなのでしょうか。
「いや、ビビりだからですよ。相手のほうが打撃は強いなと思ったら、僕はすぐに切り替えちゃうので。打撃が強い相手を打撃で倒そうとは、絶対に考えないです。
そんな自分にとってオトゴンバートルは相性が悪い相手だとは思っていません。1月12日は『今まで戦ってきた日本人選手とは一味違うぞ』というところを見せて、岐阜にベルトを持ち帰ります」
■視聴方法(予定)
1月12日(日)
午後3時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル
※メインカードのみ
■Gladiator029対戦カード
<Gladiatorライト級王座決定戦/5分3R>
田中有(日本)
小森真誉(日本)
<Gladiatorフライ級王座決定戦/5分3R>
今井健斗(日本)
オトゴンバートル・ホルドバートル(モンゴル)
<Gladiator暫定バンタム級王座決定戦/5分3R>
吉田開威(日本)
シンバートル・バットエルデネ(モンゴル)
<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)
<ライト級/5分3R>
チハヤフル・ヅッキーニョス(日本)
岩倉優輝(日本)
<フェザー級/5分3R>
水野翔(日本)
桑本征希(日本)
<フライ級/5分3R>
久保健太(日本)
井口翔太(日本)
<ウェルター級/5分3R>
森井翼(日本)
井上啓太(日本)
<バンタム級/5分2R>
ルキヤ(日本)
藤原克也(日本)
<フェザー級/5分2R>
田口翔太(日本)
花園大輝(日本)
<バンタム級/5分2R>
しゅんすけ(日本)
コウ(日本)
<ストロー級/5分2R>
塩川玲斗(日本)
高橋佑太(日本)
<フライ級/5分2R>
古賀珠楠(日本)
八木祐輔(日本)
<バンタム級/5分2R>
野口蒼太(日本)
萩原和飛(日本)
<ウェルター級/5分2R>
後藤丈季(日本)
松生知樹(日本)
<バンタム級/5分2R>
秋田良隆(日本)
熊崎夏暉(日本)
<ライト級/5分2R>
八木敬志(日本)
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)
<ライト級/5分2R>
藤井丈虎(日本)
健椰(日本)
<フライ級/5分2R>
岩崎圭吾(日本)
福島祐貴(日本)
<バンタム級/5分2R>
原田康平(日本)
内田勇作(日本)
<OPバンタム級/5分1R>
岩田虎之助(日本)
小林龍輝(日本)
<OPライト級/5分1R>
LUCKYBOY慶輔(日本)
内山裕太郎(日本)