この星の格闘技を追いかける

【KNOCK OUT64】文明開化の音がする? ラウェイ勢が参戦。スーパー・ヤイ・チャンは番狂わせを起こすか

【写真】左からソー・バー・ヘイン、スーパー・ヤイ・チャン、ダン・マイ・トゥエイ。ラウェイ勢はKNOCK OUTでどんなインパクトを残すか(C)KNOCK OUT

明日15日(金)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるKNOCK OUT64。今大会ではREDルール(MMAグローブ着用のムエタイルール)でKNOCK OUT×ミャンマーラウェイ(以下、ラウェイ)の3対3・対抗戦が組まれている。
Text by Takumi Nakamura

これまでタイを筆頭に世界各国から強豪選手が参戦しているKNOCK OUT。2022年からはカンボジア・クンクメールとの交流をスタートさせ、日本とカンボジアにお互いに選手を派遣する形で対抗戦を行ってきたが、今大会ではミャンマーからラウェイのファイターを招聘し、ゴンナパー・ウィラサクレック×スーパー・ヤイ・チャン、重森陽太×ソー・バー・ヘイン、渡部蕾×ダン・マイ・トゥエイの3試合が組まれている。


ラウェイはグローブを着用せずバンテージのみで戦い、ヒジと頭突きが認められ、故意ではない金的は反則とみなされない非常に危険な立ち技格闘技。判定決着なし・フリーノックダウン制で、ダウンを奪われても約2分間のインターバル中に意識が回復すれば試合が続行される試合形式から“地上で最も過激な格闘技”と呼ばれている。

約1000年の歴史を誇り、ミャンマーを中心に大会が開催されてきたラウェイだが、2000年代に入ってからは日本でもラウェイの試合が組まれるようになり、金子大輝と渡慶次幸平がラウェイのタイトルを獲得している。また2023年からONE Friday Fights(ONE FF)がスタートすると、ミャンマーからも選手が続々とONE FFに参戦するようになり、ラウェイ選手が他競技に打って出る機会が確実に増えている。

ラウェイ選手の武器は素手で殴り合うタフさと絶対に下がらない前進力があること。ラウェイでは足を使って戦うと対戦相手とファイトしていない=反則の対象となるため、必然的に前に出て打ち合う展開が増える。その上で判定決着がないため、ラウェイで勝ち上がる選手は自ずとタフ+前進力を持った選手が多くなる。

その一方で判定勝ちという概念がないため、KO出来なかった場合にポイントを取るための技術がなく、ムエタイ・キックルールで試合をすると細かいテクニック面で差がつくことが多い。テクニカルな試合運びはせずに、勝つ時も負ける時もKO決着で終わる。KO出来れば勝ち、KO出来なければ負けというのがラウェイ選手の特徴だった。

しかし近年はONE FFに参戦するラウェイ選手が戦い方をONE仕様にモデルチェンジしたり、練習の拠点そのものをミャンマーからタイに移す選手も出てきた。またONEをはじめMMAグローブ着用の立ち技ルールが増えていることも、バンテージのみの素手で戦うラウェイ選手にとっては追い風にもなっている。ラウェイを取り巻く環境は確実に変わりつつあると言っていいだろう。

前述した渡慶次は昨年のシーゲームス(東南アジア競技大会)にキックボクシングで出場したミャンマー代表の臨時コーチを務めているが「約10日間、代表チームの強化合宿に参加して、その合宿では僕がポイントの取り方や判定での勝ち方を指導したんですけど、本番のシーゲームでメダルを2~3個獲ったんです。そうやって技術や勝ち方を教えれば結果を出せる。ミャンマーの選手はそういったポテンシャルの高さを間違いなく持っていると思う。ラウェイの選手たちはめちゃめちゃ練習するんですけど、そこでテクニックを教えられる人がいなかった。だからテクニックが一切ないまま、ポテンシャルだけで戦っていたんです。でもその状況が変わりつつあるので、ラウェイの選手がテクニックを覚えたら、これから文明開花が起こると思います」とラウェイ選手の潜在能力を高く評価している。

今回の対抗戦で最も注目されるカードはゴンナパーとスーパー・ヤイ・チャンの一戦だろう。ゴンナパーは新生K-1時代にライト級(62.5キロ)王者となり、現在はKNOCK OUTでREDルール=MMAグローブ着用のムエタイルールで活躍。第3代KNOCK OUT-REDライト級(62.5キロ)王者になるなど、KNOCK OUTのトップファイターとして試合を続けている。

一方のスーパー・ヤイ・チャンはラウェイで35戦23勝(23KO)12分の成績を残し、2024年からONE FFに参戦。ONE FFでは4戦1勝(1KO)3敗と黒星先行となっているが、3敗のうち1敗はプロボクシングで19戦無敗を誇るセーンアティット(サンガルティット)にキックボクシングルールで敗れたもので、スーティン戦はスーパー・ヤイ・チャンの出入りの速いパンチとスーティンのミドル&首相撲という攻防の末でのスプリット判定負け。日本の睦雅に判定負けした試合は、睦雅の首相撲からのヒジ・ヒザで削られての敗戦だったが、ステップインからのワンツーや首相撲の際に右フックを効かせるなど見せ場を作っている。ONE FFの戦績からは判断できない強さを持っていると言っていい。

またスーパー・ヤイ・チャンはフック系の振り回すパンチだけでなく、ジャブ・ワンツーといったストレート系の真っ直ぐのパンチを得意にしており、ゴンナパーが過去にK-1で平本蓮に左ストレートを打ち抜かれてKO負けを喫し、KNOCK OUTで久井大夢のジャブを被弾していることを考えると、VSゴンナパーにおいて相性的がいい部分もある。これまでの実績を考えればゴンナパー有利の一戦だが、スーパー・ヤイ・チャンが乱打戦に持ち込んでストレートを当てる。そんな展開・場面を作ることが出来れば、スーパー・ヤイ・チャンがゴンナパーから番狂わせを起こすこともありえる。

そのほか、重森陽太×ソー・バー・ヘインはテクニシャンタイプの重森がラウェイ選手と戦ってどんな化学反応を生むか。そして渡部蕾×ダン・マイ・トゥエイは日本とミャンマーの新鋭対決として注目したい。今後もラウェイ勢がKNOCK OUTに継続参戦できるかどうか。その鍵を握っている今回の対抗戦だ。

■視聴方法(予定)
5月15日(金)
午後5時45分~ U-NEXT

PR
PR

関連記事

Movie